習近平訪米で抗議拡大 海外の反中共運動に5つの変化

2026/10/01 更新: 2026/10/01

習近平の3日間にわたる訪米では、大規模な抗議活動が行われた。主催者側によると、少なくとも39団体がワシントンで抗議に参加し、規模は過去最大となった。

9月24日、ホワイトハウスのイーストルームで国賓晩餐会が開かれている間、街頭の抗議は最高潮に達した。ホワイトハウスの門外ではシュプレヒコールが響き、軍楽隊の演奏や会場内の声をかき消すほどだった。AP通信も、習近平の訪問に合わせ、ホワイトハウス周辺でチベット、香港、新疆、台湾などをめぐる大規模な抗議が行われたと伝えた。

興味深いことに、晩餐会で軍楽隊と合唱団がミュージカル『レ・ミゼラブル』の「ワン・デイ・モア」を演奏した。公開された映像では、曲中の「民衆の歌が聞こえるか?」というフレーズも歌われていた。

また、トランプ米大統領は同日、中国の記者団について「最も友好的だ」と冗談を飛ばした。

一方、国境なき記者団によると、中国では現在、記者108人とメディア関係者3人の計111人が拘束されている。国境なき記者団は中国を「世界で最も多くの記者を拘束している国」としており、2026年の報道自由度ランキングでは180か国・地域中178位だった。下位は北朝鮮とエリトリアのみである。

習近平は2012年11月に中国共産党(中共)党首に就任して以降、今回を含め6回訪米している。そのたびに抗議活動が起きてきた。2023年11月、APEC首脳会議出席のためサンフランシスコを訪れた際にも大規模な抗議が行われ、中共支持者と抗議者の間で暴力を伴う衝突が発生した。

香港民主委員会とスチューデンツ・フォー・ア・フリー・チベットが2024年に発表した共同報告書は、2023年の習近平訪米時に、中共支持者による抗議者への暴行、威嚇、嫌がらせなど34件を記録したとしている。

なぜ2026年9月の抗議はこれほど大規模になったのか。今回、主催者側によると、中国民主活動家、香港人、台湾人、チベット人、ウイグル人、宗教関係者などで構成する少なくとも39団体が参加した。ホワイトハウス周辺や中共駐米大使館などで集会を行ったほか、サンフランシスコでも抗議活動を展開した。

その背景に、中共による国内統制の強化や越境弾圧が、立場の異なる海外の抗議団体を結びつける要因になっていると分析する。具体的には、次の5つの変化がある。

一、若い世代が海外の抗議運動に加わる

従来の海外民主化運動は、参加者の高齢化や内部対立などから、街頭での動員力が低下する傾向にあった。

しかし、2019年の香港反送中運動以降、海外に暮らす香港人の抗議活動が活発化した。さらに、2022年の白紙運動後に海外へ渡った若い留学生や移民、近年メキシコ経由で米国に密入国した中国人なども加わっている。

こうした若者の多くは中国国内の厳しい統制を身近に経験しており、シグナルやテレグラムなどの通信アプリにも慣れている。2023年と2026年の抗議では若い世代が高い行動力を示し、抗議の方法もより創意に富み、組織に縛られない分散型の動きが目立つようになった。

二、個別の抗議から、団体を超えた連携へ

これまでの抗議では、民主化団体やチベット、新疆、香港などの団体がそれぞれ独自に活動し、別々の場所で異なるスローガンを掲げることが多かった。

2023年のサンフランシスコでの抗議では、風刺的な演出や機動的な活動が目立った。反体制活動家が小型飛行機を使って上空に巨大な反共産党の横断幕を掲げたほか、くまのプーさんに扮した抗議者がホテル周辺を歩くなどした。

一方、2026年9月のワシントンでは、複数の団体が連携し、共同で抗議やキャンドル集会、多言語による訴えを展開した。「独裁への抵抗」と「越境弾圧への反対」という共通のテーマを軸に、民族や地域を超えた連携が形成された。

三、個別の救済要求から体制そのものへの批判へ

2013年や2015年ごろの抗議では、個別の被害救済を求める訴えも多かった。例えば、強制立ち退きの被害者が自らの問題の解決を求めるケースなどである。

現在では、「一党独裁の終結」「中国共産党(中共)の解体」「すべての政治犯の釈放」など、政治体制そのものを批判するスローガンが目立つようになった。

習近平個人に期待する声も薄れ、現在ではスローガンや風刺的なパフォーマンスでも習近平を直接批判する傾向が強まっている。

四、米政府に「越境弾圧」への対応を求める動き

近年、習近平の海外訪問に合わせ、中共支持団体による歓迎集会も大規模化し、抗議者との衝突が相次いできた。

2024年に発表された「輸出される弾圧」と題する共同報告書は、2023年11月のサンフランシスコで、抗議者に対する暴行や威嚇、嫌がらせなど34件を記録している。同報告書は、中共の統一戦線に関係する団体や人物の関与についても指摘している。

こうした事件を受け、米国内で中共による越境弾圧を国家安全保障や法執行の問題として扱う動きが強まった。

その結果、2026年9月の抗議では、中共側が動員した歓迎団体の参加者も、以前ほど強硬な行動を取りにくくなった。

五、街頭抗議から政治への働きかけへ

中国から西側諸国へ移住する人が増える中、海外の中国人による政治的な働きかけも活発になっている。

9月24日、ペロシ元米下院議長も抗議集会で演説した。ラジオ・フリー・アジアによると、ペロシ氏はチベット人らのデモ参加者を前に、人権や人間の尊厳について声を上げる重要性を訴えた。現在では、抗議活動は街頭だけでなく、議会公聴会や議員事務所への働きかけにも広がっている。こうした政治活動が新疆や香港、チベットなどをめぐる米国の政策形成にも影響を与えてきた。

今回の抗議では、チベット青年会議などの団体も大規模なデモを実施した。主催団体はトランプ政権に対し、中国の人権問題を習近平との協議で取り上げ、すでに成立している「2020年チベット政策・支援法」などの法律を徹底して実施するよう求めた。9月24日には3千人以上のチベット人が集まったと主催者側は発表している。

こうした一連の変化は、中共が国内外で抱える問題の深刻化を示すものだ。

一方、1999年に中共が法輪功への大規模な弾圧を始めて以降、法輪功学習者が海外で中共に抗議する主要な勢力の一つとなってきた。米国務省の当時の報告によると、中共当局は1999年7月20日に法輪功への一斉摘発を始め、同月22日に活動を禁止した。

大紀元の社説『共産党について9つの論評』は中共の本質を論じたもので、その後、「三退」と呼ばれる運動につながった。「三退」とは、中共とその関連組織である共産主義青年団、少年先鋒隊からの脱退を表明する運動である。大紀元側の集計では、これまでに4億6千万人以上が脱退を表明したとしている。

法輪功学習者の抗議方法は、ほかの団体とは大きく異なる。長年にわたり「平和、理性、非暴力」を掲げ、整然と隊列を組んで功法を実演したり、静坐して迫害の犠牲者を悼んだりする形式を取ってきた。

その中心的な要求は、中国国内での迫害を停止するよう中共に求めることだ。また、法輪功学習者らは、中国で拘束された学習者を対象とする強制的な臓器収奪が行われていると長年訴えてきた。

法輪功は国際社会から広く同情と支持を集めてきた。関連する人権団体や明慧ネットの集計では、過去20年以上に各国政府や議員から寄せられた表彰、支持書簡、決議などは1万3千件を超える。このうち、米連邦政府や各州政府による表彰だけで半数以上を占めている。

9月28日には、米上院が「法輪功と強制臓器収奪被害者保護法案」を修正付きで全会一致により可決した。

法案は、中国で強制臓器収奪に関与、またはこれを支援した人物への制裁を定めるとともに、国務長官に中国の臓器移植制度などについて議会へ報告するよう求めている。

法案は、中国で法輪功学習者などの良心の囚人に対する生体臓器収奪に関与、または協力した人物を厳しく制裁することを目的としている。制裁には、米国の個人・団体との取引禁止、米国内資産の凍結、米国への入国禁止、ビザや仮入国許可(パロール)の資格停止、移民上の給付資格の取り消しなどが含まれる。

保護対象は法輪功学習者に限らず、宗教的信条や民族的背景などを理由に中共当局の標的となった人々にも及ぶ。法案は、こうした人々に対する強制臓器収奪も対象としている。

すなわち、この法案は、中共による生体臓器収奪から、より多くの人々を守ることにもつながる。

27年にわたり、今なお続く苛烈な迫害を受けながらも、法輪功は衰えるどころか、国際社会で存在感を高めている。中国人に希望を与え、被害を受けた人々が声を上げる後押しにもなってきた。少なくともその意味で、海外の抗議運動は法輪功に敬意を払うべきだ。

王赫
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