【軍事】米中の潜水艦競争が激化 西太平洋の優位を左右する性能と建造能力

2026/10/24 更新: 2026/10/24

西太平洋で、アメリカと中国共産党(中共)軍の潜水艦を巡る競争が激しさを増している。アメリカはバージニア級原子力潜水艦のミサイル搭載能力を強化し、中共側は新型「095型」の開発を進める。優位を左右するのは性能だけではない。建造能力に加え、宮古海峡などの監視や、日本を含む同盟国との対潜水艦作戦の連携も焦点となる。

米シンクタンク、レキシントン研究所のレベッカ・グラント所長は、同研究所が10月20日に公開したインタビューで、米海軍のバージニア級原子力潜水艦は、中共の新型潜水艦に対してなお大きな優位を保っているとの見方を示した。長年にわたる技術開発に加え、太平洋での運用経験や、同盟国の対潜水艦戦力がアメリカを支えているという。

米海軍  バージニア級原潜のミサイル搭載能力を強化

アメリカ海軍が進めているのが、バージニア級原子力潜水艦の火力強化である。原文によると、アメリカ海軍は8月3日、同級のうち19隻について、攻撃型原潜を示す「SSN」から、巡航ミサイル原潜を示す「SSGN」へと分類を変更すると発表している。ミサイル搭載能力の拡大を、艦種の区分にも反映させる措置である。

対象となる潜水艦には、船体の中央部にミサイルなどを搭載する追加区画を設ける。この区画には大型の発射管4基を備え、それぞれに巡航ミサイル「トマホーク」を7発ずつ収めることで、1隻当たりの搭載数を28発増やす。

背景には、オハイオ級巡航ミサイル原潜の退役に伴う戦力低下への懸念がある。同級は1隻で最大154発のトマホークを搭載できる。米海軍は、バージニア級の搭載能力を引き上げることで、潜水艦から遠方の目標を攻撃する能力を維持しようとしている。

ただし、計画を支える建造体制には課題が残る。原文が紹介した米議会向け報告書は、造船能力の不足や納期の遅れ、部品供給網の問題を指摘している。高性能な潜水艦を開発しても、必要な数を予定通りに配備できなければ、戦力の維持は難しくなる。

中国の新型原潜「095型」とは 性能や静粛性に不明点

中共側で注目されているのが、新型の攻撃型原子力潜水艦「095型」である。原文によると、2026年2月に撮影した商業衛星画像に、遼寧省葫蘆島市の渤海造船所で建造中の新型潜水艦が写っており、分析関係者は095型の可能性があるとみている。

船体は全長約110メートル、幅約12メートル、水中排水量は9千~1万トンと推定されている。複数のミサイルを搭載できる垂直発射装置を備えている可能性を指摘しているが、いずれも衛星画像などに基づく分析であり、確定した仕様ではない。

原文は、その後の画像分析で、推進器を覆いで囲むポンプジェット方式や、X字形の尾部舵を確認したとの報道も紹介している。中共が航行性能や静粛性の向上を目指しているとの見方につながっているものの、実際にどの程度まで騒音を抑えられているかは明らかではない。

潜水艦の能力を判断するうえで重要なのが、相手に発見されにくい静粛性である。グラント氏は、アメリカが積み重ねてきた騒音低減技術や探知能力、運用経験を踏まえ、095型の登場だけで米中の水中戦力の均衡が変わるわけではないとみている。

第1列島線と宮古海峡 中共潜水艦の外洋進出を巡る監視

中共にとって、自国沿岸に近い海域で活動できることは強みとなる。黄海や東シナ海には水深200メートル未満の浅い海域が広がり、中共の通常動力型潜水艦は、遠くまで移動せずに待ち伏せできる。陸上基地の航空機や地上配備の対艦ミサイルによる支援も受けやすい。

一方、東シナ海や南シナ海は商船の往来が多い。船舶が出す音は、米軍による潜水艦の探知を難しくする一方で、中共の潜水艦自身が周囲の音を聞き分ける際にも妨げとなる。浅い海域では、大型の原子力潜水艦が自由に動ける範囲も限られる。

中共の潜水艦がフィリピン海などの外洋へ進出する場合には、宮古海峡やバシー海峡といった水道を通る必要がある。こうした海域は、日本列島から台湾、フィリピン方面へ連なる「第1列島線」の出入り口に当たる。アメリカや同盟国にとっては、潜水艦の動向を監視するうえで重要な場所である。

P-8A哨戒機と同盟国の連携 日本も担う対潜水艦作戦

アメリカの対潜水艦作戦を支えるのが、P-8A哨戒機などによる空からの捜索である。P-8Aはレーダーに加え、海中の音を捉える「ソノブイ」を投下・運用し、潜水艦の捜索や追跡に当たる。

グラント氏は、米軍単独の能力だけでなく、同盟国や協力国との連携を重視している。原文は、日本やオーストラリアとの共同哨戒・水中監視の協力に加え、オーストラリア、韓国、ニュージーランド、インドもP-8系列の哨戒機を運用していることを挙げ、地域全体で対潜水艦作戦の基盤が広がっていると論じている。

無人潜航機も、今後の競争を左右する要素である。アメリカ海軍が試験を進める超大型無人潜航機「オルカ」などを、AIを活用した音響情報の分析と組み合わせることで、水中の監視手段を増やせると見ている。

さらに、原文は宇宙からの監視や目標位置の把握、遠距離攻撃に必要な情報の共有にも言及している。西太平洋の水中戦力を巡る競争は、潜水艦同士の性能比較にとどまらない。艦艇や航空機、無人機、宇宙システムを結び付け、必要な戦力を継続して建造・配備できるかが、今後の焦点となる。

夏洛山
大紀元時報(中国語)記者。長い従軍経験があり、軍事番組「Military Focus」を主宰する。
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