中共に迫る三重の危機 政治不安・経済低迷・財政基盤の弱体化

2026/10/28 更新: 2026/10/28

米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の報告書は、中国共産党(中共)が現在、政治の混乱、経済の構造的な低迷、政府の財源確保能力の低下という「三重の危機」に直面していると分析した。

PIIEの上級研究員アービンド・スブラマニアン氏とエコノミストのナブニーラジ・シャルマ氏は10月23日、国際的な論評サイト「プロジェクト・シンジケート」に共同で論考を発表し、中国が直面する政治・経済・財政上の問題を分析した。

報告書はまず、政治面での権力集中と、将来の指導者交代に伴う混乱のリスクを指摘した。

中共指導部は長年にわたり、大規模な粛清と権力集中を進め、多くの党・政府・軍の幹部を失脚させてきた。内部の政治情勢が極めて不透明なため、失脚した幹部らの間に蓄積した不満や屈辱感が、今後の権力移行や後継者問題をきっかけに、一気に噴き出す恐れがあるという。

経済面では、複数の構造的な問題と海外からの政策的圧力が、成長の足かせとなっている。

中国経済は、人口の高齢化、不動産市場の長期低迷、高止まりする若年層の失業率、民間企業に対する政府の敵対的な姿勢など、多くの構造的な制約に直面している。

また、長年にわたり経済成長を支えてきた輸出部門も、中国製品の大量流入による「チャイナ・ショック2.0」への反発が広がるなか、米国やEUなどの西側諸国による貿易政策の厳格化という圧力にさらされている。

さらに、報告書は中共当局の財源確保能力が大幅に低下していると指摘した。

データによると、中国のGDPに占める税収の割合は、社会保険料を除くと、2012年の18.4%から2025年には12.6%へ低下した。13年間で5.8ポイント下がったことになる。

報告書は、この税収比率は通常、低・中所得国で見られる水準だと指摘している。

中共はこれまで、国有企業の利益や土地使用権の売却収入に大きく依存してきた。土地売却収入は、ピーク時には政府の財政資源の約4分の1を占めていた。

一方、正常に機能する財政制度を構築してこなかったため、財政・税制の仕組みには依然として不透明な部分が多い。

報告書は、政府が財源を確保する能力を失えば、国内の統治体制を維持し、海外で影響力を行使するための重要な資金基盤が弱まる恐れがあると分析した。

また、中国の危機が世界にも波及しかねないと警告している。中国経済が政治的・金融的な大混乱によって突然崩壊する事態に至らなくても、従来の経済成長モデルは静かに行き詰まり、内部から崩壊しつつあるという。

その連鎖的な影響は、新型コロナウイルスのパンデミックや地政学的な戦争に続き、国際秩序を揺るがす新たな重大危機につながる恐れがあると指摘した。

こうした中国経済の問題について、台湾の財信メディア会長、謝金河氏も10月26日、Facebookに「自国だけでなく、他国も過当競争に巻き込む! 世界が直面する中国問題」と題する文章を投稿し、中国の不動産市場や株式市場、産業発展が抱える問題を分析した。

謝氏は、中国では住宅価格の下落と内需の低迷が続く一方、企業が長期にわたる値下げ競争から抜け出せない状況にあると指摘した。

資金を確保するため、中国企業は輸出をさらに拡大せざるを得ず、大量の工業製品を欧州や東南アジアに送り出し、現地の産業に打撃を与えている。

米国や欧州が中国製品に高関税を課すなか、中国の膨大な過剰生産能力を欧米市場では吸収しきれなくなっている。その結果、中国企業は参入障壁の比較的低い東南アジア市場に一斉に目を向け、インドネシアの製造業に壊滅的な打撃を与えていると指摘した。

謝氏は、こうした動きを、中国国内の激しい過当競争を意味する「内巻」が海外市場にまで広がり、現地の産業を圧迫する「外巻」の典型例だと分析した。

さらに、中共当局が補助金政策の重点をAI産業に移すなか、EV産業も厳しい局面を迎えつつあると指摘。中国では今後、デフレ圧力が一段と強まる恐れがあると警告した。

任義
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