中国:中央政府と地方政府、激化する矛盾

2006/01/12 更新: 2006/01/12

【大紀元日本1月12日】 太石村事件、汕尾村鎮圧事件、松花江汚染事件、止まない炭鉱事故及び炭鉱に出資し私利を貪る官僚の問題など、最近の中国では民衆と地方政府の抗争事件が多発している。これらの事件の背後には、一部において、中央政府の地方当局に対するコントロールが効かず、命令が通じないという問題があると専門家は分析している。VOAが伝えた。

*中央の多くの命令が下に通じない

「中央の政策が快晴と言えば、地区では曇り、県に伝わって雨に変わり、鎮に下れば人が溺れ死んでいる。」

「上に政策あれば下に対策あり」

中国の民衆の間では、中央からの政策の下達のプロセスを、語呂良く形容している。

少し前に教育部副部長を辞した張保慶は、中国青年報に対して次のように語った。「現在の中国における最大の問題は、命令が通じないことであり、中南海(中国共産党の中枢地区)が制定したものが、時に中南海の域を出ないことがある。例えば、生活が困難な学生に対する補助貸付けについて、下は全く命令を聞かなかった。こうした政策さえも執行しないのだから、他に到ってはなおさらのことである。」

香港虎報の署名評論によると、張保慶の話は、中国の政治の現実を鮮明に描写しており、もはや強固な中央集権制ではなくなっている。地方は、ますます強大な経済力を有し、ますます多くの政策決定に係る発言権を要求している。この問題を解決することが、胡錦濤や新指導者層への試練でもある。

*胡星斗氏:中央政府は相対的に開明的

北京理工大学人文学院教授である胡星斗氏は、取材に対して次のように述べている。「現在の中国政府は相対的に開明的であるといえるだろう。河北省定州の事件、汕尾事件の処理など、最近のケースから見ると、中央政府がとった矛盾緩和のための措置は、次第に開明的になっていることが分かる。しかし、いずれにせよ、当地における一部の幹部は、なおも処分を実施しており、ひいては何十人もが逮捕されている。この点について、私は多くの事例を見ている。例えば、黒龍江省のいくつかの事案においては、胡錦濤自らが、陳情者を逮捕してはならないと指示を出したが、その一方で、ある省の党委員会書記は、こうした事案の処理をうまく行うことができず、失脚した」。

*中央と地方の矛盾は未解決

米民間の外交関係協議会の専門家・シーガル氏によると、地方の武装警察は地方政府の支配下にあり、時に北京が彼らをコントロールすることが難しくなっているという。

彭博通信社は、香港浸会大学の政治学者ディグラー氏のコメントとして、意思決定の主体が中央政府にあるのか、それとも地方政府にあるのか、これまで激しく議論されているが、こうした権力の問題は未解決のままであると伝えている。

最近、中共中央は、黒龍江、貴州、湖南、重慶の省・市党委員会責任者の人事異動を行った。香港・サウスチャイナモーニングポストの報道によると、今回の人事は、胡錦濤の権力固めと、地方に対する北京のコントロール強化である。胡錦濤の中央及び地方官僚の異動については、彼の任期4、5年後にこれを強化し、中央の地方官僚に対するコントロールを強化して、腐敗防止をはかる狙いだ。

*中央の利益より地方利益を優先

多くの人は、地方の利益と中央の利益の矛盾が諸問題の原因のひとつであると考えている。一部の地方指導者は、地方の利益に基づいて中央からの政策に対応しており、「有利な場合にあっては執行に忙しく、不利な場合にあっては放置する」。

四川の学者である王怡氏は次のように述べている。「80年代における財政請負制の体制改革及び権限委譲の経済改革以後、財政の単一制による中央集権型の政治体制は既に存在していない。これによって、危機に対応するための財政支出の手段に根本的な変化が生じた」。

*原因は単一政体

胡星斗氏によると、問題は中国の単一政体にもあるという。「中央の多くの政策はマクロ的側面から検討されたものであり、これは全国の大局から見ればおそらく正しい。しかし、これは各地区、各省に常に適合するというわけではない。例えば、マクロ調整において金融の引締めが必要であると中央が判断した時、全国が一斉に金融の引締めを行って融資を認めなかった。その結果、収益の高かった企業までもが融資を得られなくなり、損失を出して最後には倒産したケースが多発した。05年のマクロ調整の時には、経済が過熱していると言われていたが、実際は、西部の多くの省においては経済が発展しておらず、過熱の問題は全く存在していなかった」。

胡星斗氏は続けて、次のように述べている。「従って、こうした一律的な行政命令のようなマクロ調整は、多くの面で一部の地方の状況に適合していない。一部の地方は、臨機応変に中央からの指示を回避しているが、私はある程度合理的な判断であると考える」。

胡星斗の見解によれば、現在においては、民衆による、下からの官僚に対する問責、メディアによる監督を強化すべきであり、長期的には連邦制の導入が問題の解決であるとしている。