中共、瀋陽の秘密収容所の存在を否定、証拠消滅の疑惑

2006/03/31 更新: 2006/03/31

【大紀元日本3月31日】中国遼寧省瀋陽市に設置されている秘密収容所に監禁される法輪功学習者が、生きたまま臓器を摘出され、手術後の遺体が焼却されるという事件がある中国人ジャーナリストによりリークされてから3週間が経った28日、中共外交部は初めて沈黙を破り、事実を完全否認するコメントを発表した。評論家は、この秘密収容所の存在を証明する証拠はすでに消滅されたと懸念している。

中共のスポークスマン・秦剛氏は、28日の定例記者会見で、最近海外で伝わっている、中国で死刑囚が臓器移植のドナーとして使われているうわさは、嘘であり、中国の司法制度に対する悪意の攻撃だと話した。さらに、秘密収容所の所在地とされる遼寧省血栓中西医結合医院には、6千人の法輪功学習者を収容できないと説明、秘密収容所の存在を完全に否定し、記者が現場で事実を確認してよいと発言した。同収容所の存在を初めてリークした中国人ジャーナリストが同時に明かした日本領事館員の自殺事件の真相や中国国内に鳥インフルエンザの感染者が多数存在するということについて、秦剛氏がまったく触れなかった。また、遼寧省血栓中西医結合医院に勤めていた関係者の親族の証言にもコメントしなかった。

28日の中共外交部の定例記者会見の内容が、中共外交部のホームページで公表されているが、死刑囚からの臓器摘出と秘密収容所を否定するコメントだけが削除された。臓器摘出と秘密収容所のことについての秦剛氏の発言も、中国国内でも報道されていない。

秦氏の発言に対して、米国在住の中国情報センター責任者、民主活動家ハリー・ウー(Harry Wu)がRFAの取材に応じ、中国の病院が毎年一万件以上の臓器移植手術を行っているが、それらの臓器は一体どこから来たのかと不信感を示し、中共衛生部の黄潔夫副部長は昨年、死刑囚から臓器を摘出していると認めたが、秦剛氏の今回の発言は中共自身の発表と矛盾していると指摘した。

時事評論家・陳勁松氏は「約3週間前から法輪功学習者は世界各地で抗議集会を開き、この秘密収容所の存在を暴露し続けてきたが、中共政権がこの3週間の間に完全に沈黙していた。どうして3週間前中共がこのような事実を否定しなかったのか?どうして当初から記者を現場に案内すると言わなかったのか。 恐らくこの3週間の間で、この秘密収容所の存在を示すすべての痕跡と証拠が完全に消滅された」と分析している。

米国法輪大法学会のスポークスマン・陳鈞氏は、中共政権による事実の完全否認は予想通りのことだったとコメントし、「偽善者を装い、事実から言い逃れるのは中共の常套手段だ。記者に証拠が隠滅された現場を公開、茶番劇を演出するのも無用だ。国家犯罪の真実から逃れることはできない。一番重要なのは、国際社会はこの秘密収容所に対して独立した調査を行なうことだ」と国際社会による調査を強調した。

秦スポークスマンは発言の中で、遼寧省血栓中西医結合医院には6千人の法輪功学習者を収容できないことを裏づけとして挙げている。これは中共が慣用する狡猾な言葉のすり替え術だと陳鈞氏は指摘した。なぜならば、6千人の法輪功学習者を監禁するのは、この病院の医療施設ではなく、地下にある秘密収容所なのだ。国内の各方面からの情報では、秘密収容所の所在地とされる瀋陽市の蘇家屯地区には、多くの地下建築物が存在することが明らかになっている。中共の官製メディアも、過去に蘇家屯地区には戦争中に旧日本軍が建設した大規模な地下弾薬倉庫が存在していると報じていた。

一方、評論家の胡平氏は、国際社会に対し、真相に対して全面的で独立して調査する必要があると提案した。「中共のスポークスマンは、記者に対して現地を案内すると公言した。それならば、必ず調査しに行くべきだ。国際社会がすぐにでも現地を広範囲かつ詳細に調査する必要がある。それだけたくさんの臓器が随時随所に提供・売買されているのだから、いったい本当の臓器提供者はだれなのか。さらに、すべての迫害真相を完全に調査すべきだ。6年の間に大勢の法輪功学習者が殺害されたり、行方不明になったりしている。国際組織とメディアによる真相の解明を期待している」と語った。

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