「中国の夢」「憲法の夢」を掲げる習近平氏が江沢民派から阻まれる(Getty images)
【大紀元日本1月7日】果敢な言論で有名な広東省の週刊紙・南方週末。同紙3日付の紙面に掲載予定だった新年社説「中国の夢、憲政の夢」が中国共産党広東省宣伝部長によって、党賛美の内容にすり替えられた問題が大きな波紋を広げている。この問題は、江沢民派が習近平総書記の唱える「憲政の夢」を阻むためのものかと注目されている。
渦中の広東省宣伝部長の庹震氏は、江沢民派の大黒柱で思想宣伝を司っていた李長春氏の腹心。彼は李氏在任中の人事で、昨年5月に広東省に赴任。その2ヶ月後に、同省の人気紙・新快報の役員異動や解任を行い、南方週末と同じ南方報業グループの評論週刊も8面から4面に減らした。今回の書き換えもその延長線上にあるものの、現任総書記の「憲法の命は実施にあり、憲法の権威も実施にある」との発言に焦点を合わせた南方週末の社説を刈り込むことができたのは、後ろ盾や計画性があったからだと窺える。
在米中国語メディア・博訊によると、庹氏の前職となる新華社の幹部は、庹氏は習氏についてきわめて消極的な発言をしていると証言。「総書記のポストから下されるか、末代の皇帝になるかだ」「5年ほど頑張ればいいほうだ」と周囲に話しているという。
庹氏のバックアップと思わせる談話は、4日、元宣伝部トップで、政治局常務委員の劉雲山氏により発表されている。劉氏は、メディアは「政治的意識を樹立しなければならない」と強調し、習氏が唱える民族復興となる「中国の夢」に触れたものの、憲法の実施を呼びかける「憲政の夢」には言及していない。
この劉氏は、宣伝部トップを務めていた際に、マスコミを厳しく規制し、言論の自由を圧迫してきた経歴を持っている。李長春氏とともに思想・宣伝を厳しく統制してきたと同時に、保守派重鎮として江氏の権威、共産党の独裁政治を守ってきた。習体制の下で、法の実施が強調されれば、これまで共産党統制を実現するための不法な行為やえん罪が見直されることになり、江沢民一派にとって不利な状況は免れない。そのため今回、習氏の唱える「憲政の夢」を阻む行動に出たことも不思議ではない。
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