9月3日に北京天安門広場で開催される抗日戦争勝利70周年の記念行事である閲兵式に関して、中国政府は保安と大気汚染の対策として、工場の大規模操業停止や、交通規制、レース鳩の飛行禁止などを実施することがわかった。また、軍部当局者は「閲兵式は日本などをけん制するためではない」と表明したが、現地日本人社会では、反日行為を警戒する動きもある。
ロイター通信によると、閲兵式当日の青い空を確保するため、深刻な大気汚染に悩まれている北京市周辺の工場や建築現場1万カ所以上が操業停止の命令を受けた。複数の関係者の話では8月中旬からすでに実施している。閲兵式の沿道の住民は「当日は窓に近づくな」という政府通達を受けたという。
中国紙によると、車の通行量を普段の半分に抑える交通規制や、地下鉄の運休と減便も実施。空の安全のため、模型飛行機などは危険物として販売禁止。レース鳩の飛行も禁ずる。一部ガソリンスタンドとホテルは休業。北京の2大空港は当日午前9時半から12時半まで閉鎖。長距離列車の本数も減らされる。
■日本をけん制するものではない
中国国防部の報道官は先週の記者会見で「閲兵式はいかなる国をけん制するためではない、今日の日本国や日本国民に対するものではない」と述べた。
一方、国営新華社通信は日本軍の残虐行為の実録として写真付きの報道を出すなど政府系メディアは関連報道を増やしている。北京市内各所の政府掲示板に日本軍の侵略行為を伝えるポスターが張り出されている。
こうしたなか、2012年の反日デモの記憶が残っている現地日本人は不安を隠せない。上海市在住の日本人女性通訳者はロイター通信の取材に対し、閲兵式当日は外出を控えると話した。
若者が日本のアニメに夢中になるにしても、中国人観光客の大群が日本に押し寄せ爆買するにしても、小学校入学の日から日本の侵略戦争の歴史教育を受けてきた中国人の反日感情は「爆竹のようにすぐに引火し爆発する」とAP通信は評した。
9月3日の閲兵式で、ロシアのプーチン大統領、スーダンのパヒル大統領とベネズエラのマドゥロ大統領など30カ国の首脳陣は習近平主席と肩を並べ、約1・2万人の軍人隊列と「中国の新型武器・装備」などを観閲する予定。一方、中国の極端な軍事力とナショナリズムのアピールであると懸念を抱く欧米主要諸国の首脳陣は出席しない。安倍首相も招待を辞退した。
(翻訳編集・叶子)
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