今年秋、5年に1度開催する中国共産党の主要会議、党第19回全国代表大会(19大)を前に、当局は人権活動家などへの抑圧を強めている。13日から行方不明になった著名人権派弁護士、高智晟氏(54)は今も消息が分かっていない。
米カリフォルニアに住む同氏の妻によると、数日前から高氏との電話が通じなくなり、近くに住む親族が13日朝、自宅に訪ねたが高氏の姿はなかった。以来、同氏の所在が不明のままである。
その後、香港紙・明報は高智晟を名乗るユーザーがツイッターで、「無事に逃げ出した。携帯は使用できませんが、アメリカに到着したらまた連絡します」と投稿したと報じた。
これについて、「高智晟の動向を見守るチーム」(中国語:高智晟関注組)は、同アカウントはなりすましの可能性が高いと投稿内容を否定した。「同氏が自ら姿を消したのではなく、当局の監視下に置かれていると推測する」。
高智晟氏はこれまで、中国から離れないとの意思を示していた。
高氏は中国の人権派弁護士でキリスト教徒。長年、弱者層の弁護を無償で引き受けるなどして、その名が全国に知れわたった。2006年ごろ、気功団体・法輪功への弾圧が違法だと主張し、迫害を停止するよう最高指導部宛ての公開状を複数回にわたってインターネットで公開した。のちに「国家政権転覆罪」で懲役3年執行猶予付きの有罪判決を受けた。
執行猶予期間中も法輪功問題を訴え続けた。2011年から行方不明になったが、のちに投獄されたことが判明。2014年8月刑期満了で出所したものの、自由に行動できず、事実上、軟禁されている。
高氏の妻は2009年、支持者の支援を受け、2人の子どもと第三国経由で渡米し、難民として保護された
獄中で受けた拷問の実態などをまとめた自著「2017、起来中国(2017、中国立ち上がれ)」は2016年、香港や台湾で出版された。同氏の妻はメディアの取材で「この本を読み終えるにはだいぶ時間がかかった。リアルで凄惨な拷問の描写に目を向けるのは、言葉で表現できないほどの苦痛だった」とコメントした。
妻は国際社会に対し、高氏などの民主・人権活動家への迫害に関心を寄せるよう呼びかけている。
(翻訳編集・叶清)
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