世界人権デーの10日、医療倫理団体によるオンラインセミナーが開催された。出席した各国の議員らは中国共産党による臓器移植の産業化を非難し、国家的な人道に反する罪の即時停止に向けた動きが必要だと広く呼び掛けた。中国共産党は良心の囚人から生きたまま臓器を強制的に摘出し、莫大な利益を生み出していると複数の人権団体は指摘している。
生命倫理問題に取り組む医師会「臓器の強制摘出に反対する医師会(DAFOH)」が主催したオンラインセミナーに参加したスコット・ペリー米下院議員は「人間の良識の基本的基準を無視する中国共産党の邪悪な意図に挑戦しなければならない」と述べ、一刻も早い臓器狩りの停止を呼びかけた。
同氏は、近日中に強制臓器摘出の加害者に責任を負わせることを目的とした「the Falun Gong Protection Act(仮邦訳:法輪功保護法)」を提出すると表明。中国共産党政権に対し、強制臓器摘出、不当な投獄、強制労働など、法輪功に対する残酷で退嬰的な殺戮政策を停止するよう迫るものだという。
2019年にイギリスで行われた独立民衆法廷「中国民衆法廷」は、中国共産党の一党支配に置かれている中国本土では、長年にわたり移植手術を目的とした「強制的な臓器摘出が、相当な規模で行われている」と結論を下した。中国共産党は、生きている良心の囚人から臓器を摘出し、海外からの観光客や国内の移植希望者に販売し、巨万の富を築いている。同法廷では、主な犠牲者は法輪功学習者だとし、現在もこの蛮行は続いていると警鐘を鳴らした。
法輪功は「真善忍」という3つの理念を指針とする精神修養法だ。心身の健康と道徳性の向上に顕著な効果が見られるとして1992年に伝えだされて以来、わずか7年間で数千万人が学んだ。しかし、中国共産党はこれを脅威とみなし、99年7月から弾圧政策を実施。今なお、その迫害は続いている。
商業化された殺人
世界各地で開催されている人体標本の展覧会「リアルボディー」の展示物に、共産党当局に弾圧され、失踪した法輪功学習者の遺体が含まれている可能性があるとして、物議を醸している。
英国上院議員フィリップ・ハント氏は、2018年にバーミンガムで開催された展示会は「人体の内部構造を探求する」という「興味深い」キャッチコピーを用いているが、遺体利用の明確な同意文書もなく使用されていたと指摘した。その上で、2013年まで大連には法輪功学習者に拷問を加え思想を変えさせる強制労働収容所が存在していたとも付け加えた。
「身体を商業的に利用することは、非倫理的で不愉快だ。ましてそれが権威主義国家による大量殺戮によるものだとわかったとき、私たちは傍観しているわけにはいかない」とハント氏。臓器強制摘出は、「商業化された殺人であり、間違いなく最も重大な犯罪だ」と発言した。
同氏は同国国内での出所不明の人体の展示を禁止し、英国市民による中国への渡航移植を防ぐことを目的とする「The Organ Tourism and Cadavers on Display Bill(仮邦訳:臓器移植ツーリズムと人体展示に関する法案)」を提出。この法案は、上院で第二読会を通過したが、いまだ可決には至っていない。
行動の呼びかけ
前出のペリー氏によると、中国共産党による新疆ウイグル自治区でのウイグル人をはじめとする少数民族に対する弾圧が公的機関から「ジェノサイド」と認定されているのとは対照的に、法輪功に対する迫害は十分に取り上げられていないと指摘。同氏が提出する法案「法輪功保護法」は、米国務省に対し、法輪功に対する迫害が「人道に対する罪」や「ジェノサイド」に該当するかどうかを正式に決定するよう働きかけると強調した。
カナダの国会議員ガーネット・ジェネス氏は、祖母がホロコーストの生存者であったことを挙げ、現在進行中の迫害を終わらせるためには、自由を手にした人々が声を上げる必要があると訴えた。
「第二次世界大戦後、世界はこのような恐ろしい虐待を『二度と繰り返さない』と誓った。しかし、それは失敗に終わった。今世界が果たすべき責任は、可能なうちに(中国共産党の迫害を)阻止することだ」
ベルギー連邦議員のアニック・ポンティエ氏は、2019年の「中国民衆法廷」より初めて中国共産党による臓器狩りの真実を知ったという。同氏は、自国や欧州連合(EU)が「中国共産党の共犯者」になることを避けるため、中国との投資取引を終わらせるべきだと語った。
「中国当局は、内部の共産主義的なアジェンダを推進したり、世界的な超大国になるという野望の達成のためでなければ、人命を顧みることはない」と述べ、権威主義モデルを世界に流布する中国共産党政権への姿勢は「世界中の人権を守る姿勢」となるだろうと発言した。
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