米司法省(DOJ)は23日、スパイ活動など国家安全保障における中国共産党の脅威に対処する取り組み「チャイナ・イニシアチブ」を終了すると発表した。人種差別や偏見を煽っていると結論付け、今後は敵対国家に対し幅広いアプローチを採用すると述べた。
オルセン米司法次官補は記者会見で「中国共産党がもたらす重大な脅威に引き続き注視していく」としたうえで「戦略的な必要性と優先事項に最も適した」新たなアプローチが必要だと説明した。
司法省は2018年のトランプ政権から中国共産党の産業スパイや技術窃盗などの摘発を担うチャイナ・イニシアチブを開始。その一環として中国共産党が進める海外高度人材招致プログラム「千人計画」への関与について虚偽申告をしたハーバード大学のチャールズ・リーバー教授を起訴した。
オルセン氏は、この取り組みが「国家安全保障上の脅威となる中国共産党の課題にアプローチ」する反面、中国人への人種差別を煽っていると指摘。「中国共産党と中国人を区別する重要性」を訴えた。
アリゾナ大学と米中関係の改善を目的とした非営利団体「Committee of 100」が実施した調査では、中国系科学者の42%以上がチャイナ・イニシアチブにより「米政府の人種プロファイリングが行われているよう感じる」と回答した。
中国共産党は軍事機密や最先端技術を掌中に収めるため、米高官や技術者を標的とした大規模なスパイ活動を行ってきた。米中央情報局(CIA)は昨年10月、中国共産党を「最も重大な地政学的脅威」と位置付け、中国に特化した専門組織「中国ミッションセンター(CMC)」を新設。FBIは約12時間ごとに中国の諜報活動に対する新たな調査を行なっている。
司法省は今後も中国といった敵対国からの国家安全保障上の脅威に対し「絶え間ない努力を続けていく」としている。
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