英政府、中国資本による半導体最大手の買収を審査 安保上の懸念

2022/05/26 更新: 2022/05/26

英国のビジネス・エネルギー・産業戦略大臣のクワシ・クワーテング氏は25日、中国半導体大手の聞康科技(Wingtech)の100%子会社である蘭ネクスペリア(Nexperia)による英半導体最大手、ニューポート・ウェハー・ファブ(以下、NWF)への買収案を審査すると発表した。

大臣は同日ツイッター上で、同買収案について「新しい国家安全保障・投資法に基づき、完全な審査を行う」と表明した。また、「英国は外国からの投資を歓迎するが、それが英国の国家安全保障を脅かしてはならない」と強調。

英国では昨年4月末に国家安全保障・投資法が成立した。同法の下で、英政府は国家安全保障を脅かす可能性のある外国企業や投資家による英企業への買収・合併について、政府の調査・介入が可能となり、対抗措置を強化できるようになった。

同法は、防衛、人工知能、通信、先進ロボット工学、軍民併用技術など国家安全保障上の懸念が生じやすい17の主要産業における特定の取引を対象とする。
ネクスペリア社は6300万ポンド(約100億円)でNWF社を買収しようとしている。

NWF社が英政府との間で防衛分野を含めて複数の重要契約を結んでいるため、英議員らは同社を巡る買収案に対し神経をとがらせている。

英下院外交特別委員会は同買収案を巡り、4月5日に調査報告書を公開した。委員会は声明で、「中国共産党とつながりのあるネクスペリア社によるニューポート・ウェハー・ファブ社の買収は、英国の貴重な資産の一つを戦略的競合他社に売却することを意味し、国家安全保障を脅かす可能性がある」と警告した。

いっぽう、米議会でも英半導体最大手の買収案に関して懸念の声が出ている。米下院議員で構成する政策提言組織「チャイナ・タスクフォース」は4月19日、バイデン大統領に宛てた書簡の中で、国家安全保障上の脅威があるとして大統領がネクスペリア社によるNWF社の買収を阻止するよう呼びかけた。

書簡は、英政府がネクスペリア社の買収を認めた場合、バイデン政権は安全保障上の観点から、対米投資を規制する対米外国投資委員会(CFIUS)の届け出を免除する「ホワイト国」リストから英国を除外するなどを含めて対応策を検討する必要があると示した。

張哲
張哲
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