カナダ議会は移民・難民保護法の改正案が成立する見通し。違法な臓器取引を防止する取り組みとして、永住権保持者や外国人が臓器売買に関連する活動に従事した場合、カナダへの入国を拒否する。
サルマ・アトーリャジャン上院議員が提出した法案S-223は、インフォームド・コンセント(医師と本人の十分な合意)を得ていない人物から摘出した臓器を移植のために受け取ることを刑事犯罪とする。
この法案は5月、下院の第二読会を通過して外交委員会に提出され、11月23日に非公開の公聴会が開かれ、審議が行われた。法案は委員会を通過し、同28日に自動的に下院に戻されることになる。
法案を推す自由党のサミア・ズベリ議員はエポックタイムズに対して、「違法な臓器狩りは国として認められない。具体的に対処するというシグナルを送るものだ」と述べた。
15年の歳月を経て
野党・保守党の国際開発担当影の大臣を務めるガーネット・ジェニス議員は、法案の成立を確信していると述べた。ジェニス氏は2008年に国会で初めて「臓器の強制摘出と人身売買に対抗する」ための立法措置を求めて以来、長い道のりを歩んできたと付け加えた。
「この法案は15年の歳月をかけて作られたものだ。強制的な臓器摘出と人身売買の問題を本当に特定し、世界に暴露したのはカナダ人なのに、立法化するのにこれほど時間がかかってしまった」と、ジェニス氏は23日、エポックタイムズに語った。
「年内に法案が法制化されると楽観視している。その結果まで努力するつもりだ」
臓器売買を撲滅するための最初の法案は、2008年に元自由党議員のボリス・ウルゼスニュスキー氏によって提案された。法案C-500はその年の2月に提出されたが、議会の解散により廃案となった。2009年、彼は法案C-381で2度目の試みを行ったが、これも解散により廃案となった。
2013年には、当時の自由党議員アーウィン・コトラー氏が同様の法案C-561を提出したが法制化には至らなかった。コトラー氏の引退後、ジェニス氏が第42回国会でC-561を再提案した。
2019年12月、アトーリャジャン議員も同様の法案S-204を提出したが、2020年にトルドー首相が議会を停会後、すべての立法業務が停止し、法案は上院で第一読会を通過したのみであった。
臓器狩り
大紀元は2006年、「中国共産党は営利目的のために、法輪功信者の臓器強制摘出に関与している」と報じた。その後、デービッド・マタス人権弁護士とデビッド・キルガー元閣僚がこの人道犯罪の疑いについて調査を始めた。結果、疑惑は真実であると結論づける報告書『血塗られた臓器狩り』を発表した。
この報告を受けて、世界各地で臓器の強制摘出や売買に関する調査が行われ、各国は 「臓器ツーリズム」のような行為を阻止するための努力を行っている。
英国の人権活動家でありジャーナリストでもあるベネディクト・ロジャーズ氏は、良心の囚人からの強制臓器摘出を調査した独立法廷である『中国民衆法廷』などのような第三者機関の裁定は、「中国共産党の臓器摘出犯罪をさらに暴く上で極めて重要だ」と指摘した。
民衆法廷の議長は、ハーグの国際犯罪法廷でユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチ元大統領を訴追した元検察官ジェフリー・ニース卿が務めた。
「非常に優れた弁護士が議長を務める独立機関が、この蛮行は中国で広く行われており、人道に対する犯罪であると述べた」とロジャーズ氏は23日、大紀元に語った。
医師や弁護士、迫害経験者らから公聴した民衆法廷は、「強制的な臓器摘出の調達先、恐らくは主要な調達先として法輪功が利用されたことを確信する」と最終的に判定した。
(翻訳・大室誠)
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