中国人の「あばら骨」を握って離さない中共【現代中国キーワード】

2023/02/14 更新: 2023/02/14

軟肋

「軟肋(ルヮンレイ)」は肋骨(あばら骨)のことだが、骨折しやすい部位であることから「弱み」の意味でも使われる。

昨今の中国では、この「軟肋」が悪辣な場面で使われる。例えば、中共の当局者が正当な権利を主張する市民を威圧する時に、これを言うのである。例えば「余計な波風を立てるな。おまえは自分の肋骨を考えろ」と。

背景を知らない日本人には、不可解な会話にしか見えない。それもそのはずで、中国共産党統治下の中国では、日本では想像もつかないほどの個人情報を当局が握っており、それをあからさまな脅迫に使うからだ。

海外に出て、中国の民主や人権を主張する中国人にとっては、国内に残留する親族が「軟肋」になる。人質、といってよい。

国内にいる親族や友人と連絡をとるには、どうしてもウィーチャット(微信)を使用するしかないが、そこで通信は筒抜けになる。海外にも(もちろん日本にも)中共のスパイがいて、在外中国人の動向を監視しているのだ。

ネット上には「中国の若い世代は結婚しないし、子供ももたない。軟肋をあえて作りたくないから」という言葉が並ぶ。上海ロックダウンの際に流行語になった「我々は最後の世代だ」は、もう軟肋(弱み)はないぞという決意の表明である。

中共を思想として支持する中国人は、たとえ党員であっても、もはや存在しない。

しかし彼らは厳重に監視されているため、革命の旗を揚げることもできない。中国人も、辛いのである。