ストレスを受けた植物は、人間の耳では聞き取れない「音」を発していることがイスラエル・テルアビブ大学の研究により明らかになった。研究は3月30日付で科学雑誌『Cell』に掲載された。
研究チームは、トマトとタバコ(ナス科の植物)をそれぞれ「水を与えない」、「茎を切る」、「ストレスを与えない」といった条件下に置き、防音音響室と温室内で超音波マイク録音を行った。その結果、ストレスに晒されたトマトとタバコは、人間の耳には聞こえない40~80kHzの周波数でポップ音やクリック音を発していることがわかった。
また、ストレスを強く受けている植物ほど音を発する回数が多いことも判明した。例えば、ストレスを受けていないトマトが発する音は1時間に1回以下なのに対し、茎を切ったり脱水状態にあるトマトは1時間あたり約35回の音を発していたという。
トマトのほか、小麦やトウモロコシ、ピンクッション・サボテン、ホトケノザからも同様の音が確認された。
研究チームによれば、この音は植物にストレスがかかることで木部(水などを運ぶ導管など)に気泡ができ、膨張し潰れることによって発せられている可能性があるという。
研究主任のライラック・ハダニー氏はタイムズ・オブ・イスラエル紙の取材で「音には情報が含まれおり、音により植物の状態を知ることができる」と指摘。「長い間の科学的論争を解決することができた」と付け加えた。
研究チームは、気候変動により干ばつが増加し、生態系や食料安全保障が脅かされる中、水や病気のモニタリングなど、精密農業に役立つ可能性があるとしている。
植物に「感情」があるとする研究はこれが初めてではない。1966年には、米国の科学者クリーブ・バクスター氏がうそ発見器(ポリグラフ)を牛舌蘭につなぎ花の根元に水をかけたところ、感情的な反応を示したという。同実験は、超心理学財団の『国際超心理学雑誌(The International Journal of Parapsychology)』に掲載されている。
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