米上下両院の超党派議員らは20日、拡大する中国からのデジタル脅威を念頭に、台湾とのサイバーセキュリティ分野の協力を強化する法案を提出した。
法案は、下院の対中問題を扱う「中国特別委員会」のマイク・ギャラガー委員長やジャッキー・ローゼン上院議員を含む4人の議員が発表した。台湾に対する中国のサイバー攻撃の脅威が高まっているとして、台湾とのサイバーセキュリティ訓練や、軍事インフラやシステム防衛、台湾に対する悪質なデジタル活動を排除することを国防長官に求める。
ギャラガー氏は声明で「中国共産党は、影響力工作から重要な軍事・公共インフラを標的にした攻撃に至るまで、サイバー空間ですでに台湾への攻撃を開始している」と指摘。「法案は両国間のパートナーシップを強化し、サイバー領域における台湾の武装を支援する」と意義を強調した。
法案を共同提出したクリシ・フラハン氏も「重要な戦略的パートナーである台湾の重要インフラを維持することは、自由で開かれたインド太平洋を維持するためにも欠かせない」と述べた。
議員らは、中国は2019年に台湾に対して1カ月あたり最大4000万件のサイバー攻撃を行った指摘。こうしたサイバー攻撃は後に米国に対しても使用されたとし、台湾の安全保障は「米国の国家安全保障にとって不可欠」と強調した。
防衛省防衛研究所が昨年11月に発表した「中国安全保障レポート2023」によれば、中国が台湾の政治・経済・軍事の重要機関へ仕掛けたサイバー攻撃は1年で14億回以上に上る。標的とした機関のデータ破壊や有害情報の流布、情報窃取などその手法は多種多様となっている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。