無錫市人民病院の陳静瑜副院長に続いて、上海市肺科病院の胡楊医師がソーシャルメディアで業績を誇示する肺移植専門医となった。その業績の背後には、中国本土のほぼすべての省で器官移植業務が急速に拡大しているという背景がある。
「半年で60件以上の肺移植手術を実施」
上海市肺科病院の呼吸内科の胡楊副主任医師は、7月27日にウェイボー(中国のソーシャルメディア)に「1日に肺移植手術を3件行い、提供される肺はヘリコプターで運ばれ、肺の新鮮さが治療効果に影響を与える」と題する投稿をした。
胡医師はその中で、「今年の上半期、病院では60件以上の肺移植手術を行った」と明らかにした。
胡医師は投稿の中で、これらの患者の肺疾患の種類には言及したが、片肺移植か両肺移植かについては明言せず、また中国共産党(中共)にとって極めてデリケートな話題である肺の出所についても言及しなかった。
胡医師の説明によれば、現在の肺の大部分は空中経路で輸送されている。病院が空港や鉄道駅から離れているため、肺はまず杭州蕭山に送られ、そこから病院までヘリコプターで運ばれる。費用に関しては、病院とヘリコプター会社が長期的な協力関係を築いており、費用は元の5分の1程度だという。
胡医師よると、今年上半期、上海肺臓病院は月平均10件以上の肺移植を行い、3日間で少なくとも1件の肺移植を行ったという。
彼の上記のウェイボー記事は、メディアによって転載され物議を醸した。
あるネットユーザーは、「半年で60件以上の肺移植、しかもこれは1つの病院のデータに過ぎない」「 この国は1年に何人のドナーの肺を必要としているのだろう?」 「その肺のドナーはどこから来たのか?」「組織があなたを必要とするとき、あなたはそのドナーの一人だ!」とコメントした。
別のネットユーザーは、「昔、よくポストにパンフレットを入れる人がいて、その時は、彼らの言っている生体臓器摘出なんてナンセンスだと思った。しかし今はとても信憑性があると思う 」と述べた。
こうしたネット上の論争を受け、胡医師が再び投稿し
「肺の提供というと、南の某国の邪悪な勢力と結びつける人が多く、彼らは口をそろえて、 売ることも出来なければ、勿論、殺害される事もないというが、ここで説明しなければならない」と釈明した。
胡医師は記事の中で、移植臓器の迅速な輸送について再度強調したが、具体的にどこから提供されたのか、どの病院と連携しているのかについて詳細な説明はせず、単に「肺の提供は無料であり、肺を売買するというのはドナーに対する冒涜だ」と述べている。
移植手術後も、患者は引き続き「お金を使い続けて生命を維持する」
また、肺移植の高額な費用はどこから出てくるのだろうか?
胡医師はこのように述べている。「主な費用は2つある。1つは手術費用で、約8万〜10万元程度だ。もう1つは、主に回復過程の薬代で高級な抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、各種栄養補給薬、免疫排除薬などが含まれる」
「さらに検査費用と入院費用もある。これらの費用は1日あたり約1万〜2万元だ。回復が速い場合、1か月で退院でき、費用は低くなる。回復が遅い場合は2か月以上かかることもあり、その場合は費用も高くなる」
胡医師のミニブログの記録によれば、患者は移植手術を受けた後の数年間、沢山の「お金を支払って生命維持」することになる。
胡医師は、「手術後2年以内の再発病率が最も高く、一部の人々は3か月で骨転移、さらには脳転移が起こることもある。標的薬を数年間服用する必要がある」と明かした。
胡医師と同様に、無錫市人民医院の陳静瑜・副院長も肺移植の専門家として活動し、自身の業績をミニブログで披露している。
テキストから画像まで、手術の生中継を含め、西洋の臓器移植の領域では非常に珍しい人々の注意を引かないような細部までを公開している。
陳医師が担当した肺移植手術の中でかつてセンセーションを引き起こしたケースは、2020年新型コロナウイルスの流行が中国で拡大し続ける中、大々的に公表された。
中共公式メディアは陳医師の医療チームが「世界初例の新型コロナウイルス肺炎患者の両肺移植手術を行った」ものであり、肺の供給源の入手に要した時間が短かったことが外界から疑問視された。
手術を終えた陳医師は、澎湃新聞のインタビューを受けた際に衝撃的な情報を明かした。
彼は、これまで1000例以上の肺移植をこなしてきたため、今回の肺移植手術は通常のルーティン手術であり、通常2〜3日に1件の肺移植手術をするのが日常茶飯事だと語った。
陳医師と胡医師の病院は、中共の臓器摘出犯罪に加担した疑いがある。
この事件は外部からの懸念を呼び起こした。 ハーバード大学の元研究者、汪志遠氏は新唐人とのインタビューで、世界で最も進んだ臓器移植センターであるアメリカでも、このように重要な臓器の移植は通常2〜3年待つ必要があると述べた。
陳医師のチームによる肺移植手術は緊急移植であり、臓器が届くのは驚くほど早く、臓器探し、マッチング、臓器入手に要した日数はわずか3、4日で、これは常軌を逸している。
さらに、汪志遠氏は法輪功への迫害を調査する国際組織(IOPF)の責任者でもある。
IOPFが2014年9月27日に発表した報告によると、江蘇省の無錫人民病院及び当病院の医療スタッフ陳医師らは、法輪功学習者の臓器摘出に関与する疑いのある中国大陸の800以上の病院及びその医療スタッフが載せられた追跡リストの第一陣に含まれている。[1]
また上記の胡医師の所属する上海肺臓病院は、2014年12月22日に追査国際リストに掲載された。[1]
IOPFが発表した調査報告によると、同済大学の付属病院である上海市肺科病院(上海職業病防止病院)は、3A級の専門教育病院に発展しており、2007年5月23日には、中共衛生部によって肺移植を実施する病院として指定された。 2003年1月から2012年8月までの間に、同病院では51件の片肺移植が行われた。
中国大陸のほぼすべての省で拡大する臓器移植
IOPFの報告書によると、2000年以降、中国全省の市や町の大小さまざまな病院で大量のドナー臓器摘出が行われていた。多数の病院が臓器摘出と移植に携わっており、一部の小規模病院や十分な資格を持たない専門病院でも人体臓器移植を行うようになっている。
臓器摘出と移植の急速な成長は、中共による法輪功学習者への集団抹殺的な迫害と時を同じくしている。
そして、2020年3月1日、IOPFは『2019年版IOPFの法輪功学習者に対する生体臓器摘出の現状調査概要』を発表した。
この調査報告の中でIOPFは、法輪功学習者の臓器を摘出した疑いのある中国大陸の医療従事者に対する追跡電話調査を継続的に行い、そこから大量の新証拠、また証拠となる手がかりを得て、「臓器摘出」の闇についてより深い理解を得た。[2]
今回の調査では、IOPFは主に移植資格を持つ178の三級甲等医院に焦点を当てた。 特に臓器狩りの大手業者と、その疑いが濃厚な機関と責任者を中心に調査した。
現在までに、チベット自治区を除く中国大陸のすべての省、自治区、市では、肝臓移植と腎臓移植を中心とする臓器移植が広く行われている。
北京、天津、上海、杭州、広州、鄭州は依然として臓器移植の 「拠点」 となっており、海南、深セン、ウルムチ、昆明は急速に臓器移植事業を拡大している。
[1]追査国際のリストへ
[2] 追査国際の関連レポート
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。