日本政府は24日、福島第一原子力発電所の処理水放出を開始した。これに対し中国当局は猛反発、日本の水産物の輸入を全面停止した。いっぽう、在中国日本大使館は「不測の事態が発生する可能性は排除できない」として、在留邦人に注意を呼びかけた。
処理水の放出は24日午後1時3分から始まった。トリチウムの濃度は1リットルあたり43から63ベクレルであり、国の基準の6万ベクレルを大きく下回った。政府や外務省は国内外に対し科学的根拠に基づく説明を行い、風評被害の軽減に努めている。
しかし、中国当局は「核汚染水」の呼称を用いて、「断固たる反対と強烈な非難」という喧伝文句で日本を非難。検閲の厳しい中国系SNSには根拠のない投稿が拡散している。なお、日本の垂秀夫大使は中国側に対し、「汚染水」ではなく「ALPS処理水」を使うべきだと申し入れを行なっている。
こうしたなか、在中国日本大使館は24日、在留邦人に対し注意喚起を行なった。現時点では「ALPS処理水の海洋放出に起因して日本人が何らかのトラブルに巻き込まれた事例は確認されていない」としつつ、「不測の事態が発生する可能性は排除できないため、注意するようお願いします」と呼びかけた。
岸田首相は、中国が日本の水産物の輸入を全面禁止したことを受けて、中国側に即時撤廃を求める申し入れを行ったと明らかにした。垂大使は「科学的根拠に基づかない措置は受け入れられない、EU諸国等が輸入規制の撤廃を進めている中で、中国のみが流れに逆行している」と指摘した。
韓国や台湾、フィリピンなどは処理水の放出に一定の理解を示し、日本政府及びIAEA(国際原子力機関)を尊重する姿勢を取っている。
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