湖南省邵陽市で今月1日の午後5時ごろ、下校途中の10歳の男児が小学校から約50メートル離れたところで、リード(引き綱)がついていない飼い犬に襲われて重傷を負う事件が発生した。
犬は、50キロ近い大型犬の「アラスカン・マラミュート」。事件発生当時、男児の悲鳴を聞いた近所の高齢の男性が棒を持って駆け付け、男児に噛みついている犬の口をこじ開け、犬を追い払った。
男児は病院へ搬送されたが、非常に重傷であったため、前後して5つの病院を転院した。事件から2日経った3日午前8時時点では、男児は湖南省児童医院のICU(集中治療室)に入っている。
中国メディア「極目新聞」によると、男児の頭部には複数の裂傷があり、耳は欠損し、肩や腕などは血だらけで「形を成さない」ほど噛まれていた。車で病院に向かう途中、男児は泣きながらこう尋ねていたという。「怖いよ。ぼく死んじゃうの?」。
両親はともに深センへ出稼ぎへ行っているため、男児は普段、祖父と暮らしている。
事件の知らせを聞いて、出稼ぎ先から駆け戻った母親は、別の中国メディアに対し「息子は犬に数分間も噛まれ続けた。もし救ける人が来てくれなかったらと思うと、ぞっとする。子供の後頭部に出来た大きな傷をみると、心が張り裂けそうになる」と話した。
中国メディアによると、男児を襲った犬は事件の後、飼い主によってリードをつけられ、翌日には「地元当局者によって、叩き殺された」という。
現時点で、男児の家族は2万元(約41万円)ちかい医療費を支払っているが、そのうち犬の飼い主が負担したのは半額の1万元ほどだという。
事件は3日に中国SNSのトレンド入りした。コメント欄には「また起きたのか!」「なぜリードをつけないのか?」「犬の飼い主の責任だ」といった怒りの声が殺到した。
最近の1カ月の間に、中国メディアに報じられているだけでも、中国では「飼い犬が人を噛む事件」が相次いでいた。
四川省で10月16日、2歳の女児がリードをつけられていない犬に咬まれて負傷した。この時も、近くにいた町の清掃業者が女児の母親とともに、モップなどを使って犬を追い払った。事件後、犬の飼い主は刑事拘留されている。
この翌日、今度は同じ四川省内の別の都市でも、突然現れたリードなしの大型犬が、街中で幼児2人に襲いかかる事件が起きた。犬は、付近の市民によって追い払われた。同様の事件は、北京でも起きている。
こうした事例を受けて、ペットとして飼われている犬の調査が進められるとともに、リードをつけずに犬の散歩をする飼い主の行為に対し罰則が導入された。また各地では、野良犬や野良猫の捕獲や処分が強化されている。
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