近年、中国国内では、各地のツアーガイドが中国人観光客を脅迫し、指定する店で高額な買い物を強要するなどの良からぬ事例が頻繁にニュースになっている。

とくに雲南省の観光地で、この悪弊が強いという。買い物を強要された観光客がそれを拒否すると、怒ったツアーガイドがその客をバスから降ろすなど「事件」に発展するケースもある。

中国国内の観光地では、顧客が購入した商品価格のなかからツアーガイドに支払われる金銭、いわゆる「キックバック 」は一般的に10％～30％とされる。観光地の土産店やレストランは、そうしてツアーガイドや旅行会社とつながっているのだ。 

このほど、雲南省の景勝地である麗江を旅行中の家族が、案内された玉器の店で「5万元（約104万円）のブレスレットを買わなかった」という理由により、ツアーガイドによってバスから降ろされるという、ほとんど暴力にちかい「事件」が起きた。

関連トピックスは、中国の大手検索サイト百度（バイドゥ） のホットリサーチ（2月17日）入りして「熱い議論」を巻き起こした。

報道によると、田さん一家（子供をふくむ5人）が参加したのは総額1.7万元（約35万円）という、決して安くはないツアーだった。

一家は出発前に、旅行社に対して「旅行中に強制的な商品購入はあるのか」について、あらかじめ尋ねてみた。旅行社は「店へ案内はするが、購入は強制ではない」と回答している。

ところが、ツアー2日目。現地の玉器の店へ連れていかれた際に、田さん一家はツアーガイドから「ここで5万元（約104万円）のブレスレットを購入しないと、ツアーから追い出す」と脅された。

中国メディアの取材に対し、田さんは「あのブレスレットに5万元の価値などない。実際は5百元（約1万円）もしないんじゃないか」と語っている。

また田さんは、こうも明かした。

「同じバスに乗っていた他の観光客のほとんどが、ことを穏便に済ませるため、玉器を買わざるを得なかった。一番高いもので20万元余り（約417万円）使った人もいる。同じバスに乗っていた観光客が購入した総額は、80万元（約1670万円）以上になる」

他の観光客は高額な玉器をしぶしぶ買ったが、田さん一家は最後まで購入を断った。その結果、家族5人は本当にガイドによってバスから降ろされ、ツアーの一行から追い出されてしまった。

この一件の後、田さんは現地の観光管理当局に苦情を伝え、ツアーガイドから直接謝罪させるよう求めた。しかし、帰ってきたのは「当該のツアーガイドは現在、他のツアーに出向いており、あなたに直接謝罪する時間がない」という、全く誠意のない答えだった。

とんだ災難に見舞われた田さん一家は、やむを得ず旅行を早めに切り上げ、航空チケットを買って自宅に戻った。

関連する話題をめぐり、ネット上では、雲南省で「被害」を受けた田さん一家への共感の声が多く寄せられた。

「私も雲南省でのツアー旅行中に、連れていかれた店で物を買わないと食事させない、と脅されたよ」

「また雲南か」「雲南のツアーは、ブラックが多いな」

さらには「同様のことは何度もニュースになっているのに（雲南の）現地政府は何をしているのか」と、現地政府の不作為に怒りを爆発させる声も少なくない。

なお、麗江市は雲南省の中でも特に有名な観光地で、3つの世界遺産を持つ街である。