中国軍事 制裁を逃れるために社名を変えた商社を利用して、ロシアに必要な軍事物資を輸出する中共

ロシアとウクライナの戦争の行方:中露同盟の不安定性とその可能性

2024/05/04 更新: 2024/05/06

ロシアウクライナ戦争が続く中、中国共産党とロシアの関係は微妙なバランスを維持している。中国共産党は「三つのノー」政策を強調しつつも、実際にはロシアへの支援を続けている。この戦略的関係が、戦争の長期化とともにどのように変化していくかを分析し、中露同盟の不安定性とその潜在的影響について考察する。

ウクライナは、西側の支援を受けて軍事力を強化しており、ロシア軍の戦場での優位性は次第に薄れている。長期的には、ロシアの戦争遂行能力が限界を迎え、中露同盟の不安定性が、深刻な問題を引き起こす可能性がある。

中国共産党の戦略的変化:中露同盟の動向

4月8日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が中国を訪問し、中国共産党の外交トップである王毅外相と会談している。この会談は、中国共産党が、ロシア・ウクライナ戦争に対する態度を微妙に変え始めていることを示唆する。ロシアがウクライナへの侵攻を開始する直前の2022年2月、中国共産党はロシアとの「無限のパートナーシップ」を宣言していたが、現在では「三つのノー」の原則、すなわち非同盟、非対抗、第三国を対象としないという方針を強調している。これは中国共産党が、ロシアの軍事行動から距離を置こうとしている兆候とみられる。

ただし、これらの発言は中国共産党の一時的な戦略である可能性が高い。ロシアの戦争で利益を得ようとする一方、国際社会には中立の立場をアピールしている。実際には中国共産党はロシアへの支援を慎重に行っている。

ラブロフ外相の中国訪問の翌日、ロシア専門家である北京大学教授の馮玉軍(ひょうぎょくぐん)氏が「エコノミスト」誌に寄稿し、ロシアが戦争で敗北し、ウクライナで占領した地域、クリミアを含むすべての領土から撤退する可能性を予測している。馮氏のコメントは、中国共産党政府が、ロシアの戦争遂行能力に懸念を抱いており、クレムリンとの関係を再考している兆しでもある。

北京大学国際関係学院は、中国共産党政府の非公式な代弁者と見なされており、その教授である馮氏の発言は、政府の意向を示していると考えられている。彼の発言から、中国共産党がロシアとウクライナの戦争に対する政策を、再検討している可能性がうかがえる。

中国共産党とロシアの軍事協力の現状

中国共産党は、ロシアとの失敗の可能性のある関係を深めたくないと考えているが、ロシアの侵略を公然と批判することは避け、戦略を見直している。馮氏のコメントは、中国共産党とロシアの関係における変化の兆しと解釈される。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官が中国訪問を終えた後、中国共産党外交部は、中国とアメリカがパートナー関係を築くべきだと表明したが、ブリンケン氏は公式にこのような発言をしていない。これは、中国共産党が直接対立を避けながらも、対話を通じて、自国の利益を追求していることを示している。

実際、中国共産党はロシアの戦争を利用して、自国の利益を拡大しようとしている可能性がある。ブリンケン氏はG7サミットで、中国がロシアの防衛産業の重要な供給国となり、その軍事産業の復興を支えていると述べたが、このような戦略には、ロシアへの依存が中国共産党に悪影響を及ぼすリスクもある。

1990年代から2000年代にかけて、ロシアの防衛産業は大打撃を受け、多くのサプライヤーが市場から消え去った。ウクライナ侵攻の開始時点で、これらの失われた供給網により、モスクワの軍事産業は西側諸国からの輸入品、特に電子機器への依存が深まっていた。この状況は、特に集積回路や無線機器などの軍民両用技術で、アメリカによる制裁の影響を大きくした。

しかし2022年には、中国共産党がロシアの武器製造に対する制裁を回避する手助けをしていることが明らかになった。中国共産党はモスクワの軍需品の供給源として、ワシントンの懸念材料となっている。ブリンケン氏はG7サミットで、中国が機械工具や半導体などの軍民両用技術をロシアに提供し、防衛産業の復興を支援していると指摘し、中国はこの状況を継続すべきではないと警告した。

今年4月12日、米政府関係者は、ロシア製のミサイル、戦車、航空機で使用されている電子部品の90%近くが中国からのものだと発表した。さらに中国は、火薬の原料である硝化綿の供給不足を補う支援を行っている数少ない国の一つだ。

カーネギー・ユーラシア・センター所長のアレクサンダー・ガブエフ氏は、外交誌「フォーリン・アフェアーズ」で、中国とロシアの関係は、1950年代以降で最も強固になっていると指摘した。この関係はロシアの武器システムの持続的な生産を支え、中国は、S-500対空ミサイル、航空エンジン技術、ステルス潜水艦、潜水戦技術などの最先端技術を獲得していると指摘した。

中国共産党の外交政策と西側諸国への対応

中国共産党の「三つのノー」政策には矛盾があり、中国共産党が重要な時期にロシアを見捨てる可能性が指摘されている。中国共産党とロシアの協力は無制限ではなく、中国の国益に基づいて調整されている。ラブロフ外相の中国訪問で示された「三つのノー」政策は、中国共産党が戦略的余地を確保しようとしている兆候のようだ。

この戦略は、中国共産党にとってリスクを伴う。ロシアの軍事産業支援が制裁を招く可能性があり、この微妙なバランスの維持は、中国共産党にとって困難で、戦争が長引くほど困難さは増す。

中国共産党はロシアとの同盟関係を維持しながら、西側諸国の制裁を避けようとしている。この相反する立場は、中国共産党の外交政策にとって大きな挑戦だ。西側諸国との関係を損なわずに、ロシアとの同盟を維持する適切なバランスを見つける必要がある。

中国共産党とロシアの関係は今後も変わり続けるであろう。ウクライナが西側からより先進的な武器を得る中、ロシアは中国共産党からさらなる支援を求める可能性がある。この微妙なバランスの維持は、今後ますます困難になると考えられる。

 

 

夏洛山
大紀元時報(中国語)記者。長い従軍経験があり、軍事番組「Military Focus」を主宰する。
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