バイデン大統領は6月4日、南部国境での亡命申請件数が1日平均2500件を超えたら、それを停止するという大統領令を発表した。
国境は、少なくとも1週間連続で1日あたりの申請件数が1500件を下回るまで閉鎖する。
既に日々の申請数が許容範囲を超えているため、この命令は即座に施行され、11月の選挙を控え、多くの有権者が注目する移民問題に対処するための、行政の最近の動きの中で最新のものだ。
バイデン氏は、メキシコとアメリカの国境沿いの地域議員数名とともに大統領令に署名した。
同氏は「私は共和党の妨害を乗り越え、大統領として行使できる行政権限を使い、国境問題に対処するために自分でできることをやるつもりだ」と述べた。
国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス長官とメリック・ガーランド司法長官は共同で、「不法に、あるいは無許可で南部国境を越える人々に対して、国境での遭遇率が高まっている期間中は、亡命資格を一般的に制限する」という暫定最終規則を発表する予定だ。
この措置は、移民及び国籍法の第212(f)条と215(a)条に基づく宣言として発令した。ある政府高官が言うには、「南部国境での遭遇率が、我々の迅速な対応能力を超えた場合」に、南部国境を不法に越えた移民の亡命を受けることを禁じることだ。
これはトランプ前大統領が任期中に引用したのと同じ法令だ。
高官らは、この措置は一時的なもので、不法入国者にのみ適用され、宗教に基づくものではなく、全体としては人道的であるなどとして、前政権のアプローチとは一線を画した。
バイデン大統領はその違いを強調した。
「私は決して移民を悪者扱いしない。国境で子供たちを家族から引き離すようなことは決してしない。宗教的信条を理由に入国を禁止することはない」
新たな措置は、南部国境沿いの入国港の間で、不法移民が1日平均2500人を7日間連続で超えた時点で発効し、1日平均1500人を7日間連続で下回ってから14暦日経過するまで有効となる。
ただし、制限には重要な例外が残っている。
自国への帰国の恐怖を表明する、または訴追や拷問の恐れがあり、「庇護担当官による信頼できる恐怖のスクリーニング」にかけられる不法移民、そして同伴者のいない未成年者は例外とする。
また、この新規則は、CHNV亡命プログラムのような「合法的な入国経路」を利用してアメリカに入国する人々には適用されない。このプログラムは毎月3万人を受け入れており、CBP Oneアプリを通じて毎日1400人が入国していると、当局は確認している。
当局はさらに、アメリカは亡命が認められない人々に対しても、迫害や拷問の可能性が合理的にあると判断される場合、除去の保留や拷問防止条約に基づく保護のスクリーニングを行い、国際的な義務と約束を守り続けるとしている。
これらの新たな措置は、中国や西半球以外の国からの不法移民にも適用する。当局は「移民がどの国から来たかに関係なく、即座に迅速な処罰を課す」能力に自信を示した。
バイデン大統領はまた、移民の流入を抑制するためにパートナーとして取り組むメキシコや他のラテンアメリカ諸国との政権の協力を宣伝し、次期大統領クラウディア・シャインバウム氏とも、現在のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領と同様に緊密に協力する意向を表明した。
この大統領令は、一日の不法越境者数が特定の数値を超えた場合に亡命申請を停止し、不法移民の入国を自動的に拒否する法案が、議会で成立しなかったことを受けて発令されたものだ。
共和党と民主党の上院議員が共同で策定したその法案には、1日平均で不法移民が5千人以上に達する、あるいは一日に不法移民が8500人以上に達した場合、国境を7日間連続して閉鎖する計画が含まれていた。
さらに、税関・国境警備局(CBP)の職員1500人と、移民・税関執行局(ICE)の新規職員1200人の増員も盛り込まれている。
政府高官らは、行動を起こさなかった共和党議員らを激しく非難した。
ある政府高官は「その時点で、人々は移民問題を政治の道具にすべきではなく、政党よりも国を優先すべきだと理解していた」と語った。
「今日、超党派の法案が成立していない理由は、非常に単純だ。他の政権、つまり前政権の人が『それを実行するな。ジョー・バイデンに勝利をさせるな』と言ったからだ」
「それは国の運営方法としては適切ではない。選挙の年であっても、国民のために仕事を進めることを妨げるべきではない」
一方、この法案に反対する人々も、自らの反対理由を表明した。エリック・シュミット議員はXで、この法案に反対すると書き込んだ。その理由として「不法移民に市民権を与えること」や「キャッチ・アンド・リリース(国境で不法移民を逮捕したら米国国内で解放)」プログラム、「アプリを通じた不法入国」を正式に認めることなどを挙げた。
シュミット氏は、提案された法案が、将来の大統領の国境を守る権限を大幅に削減し、毎日一定数以上の不法移民を受け入れることを義務付けることで、「侵略レベルの移民流入を恒久化させる」と指摘した。
バイデン氏は、就任初日にトランプ前大統領の複数の移民政策を撤廃した。その中には「メキシコに留まる」方針も含まれている。
多くの不法移民、家族も含め、亡命請求が処理されるまでの間、アメリカに一時的に滞在することは許可されているが、その手続きには数年を要することがある。移民裁判所には200万件を超える未解決の案件が積み上がっている。
バイデン大統領は演説の中で、就任初日からアメリカの「機能不全に陥った」移民システムの改善に取り組んでいると述べ、新たな法律の制定や、追加の亡命審査官、1500人以上の境界警備隊員、100人以上の裁判官への資金増強を引き続き訴えた。
同氏は、「国境の安全を確保し、ドリーマーに市民権を得る道を提供する」という「総合的な移民改革案」に向けて引き続き取り組んでいると述べた。
トランプ氏は自身の「トゥルース・ソーシャル」でバイデン氏の移民政策を批判した。
「ジョー・バイデン氏は我々の南の国境を事実上放棄した。彼の弱さと過激主義は、かつて見たこともないような国境侵犯をもたらした。他の国々は自国の刑務所や精神医療施設から犯罪者や問題を抱えた人々を送り込んだ。麻薬密売や人身売買、テロ行為が増加した」
「何百万もの人々が我々の国に押し寄せてきた。そして今、約4年間の失敗した政策の後、バイデン氏は国境問題に取り込むように見せかけている。しかし実際には、3週間後に討論会があることを彼は知っているので、その行動は単なる見せかけに過ぎない」
トランプ前大統領とバイデン大統領は、6月27日に初めての大統領討論会に臨む予定だ。
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