中国が国を挙げて支援する自動車メーカー大手BYD(比亜迪)をはじめ、通信機器大手のファーウェイ(華為)の「AITO(アイト、問界)」、スマホ大手シャオミ(小米)の「SU7」など、中国産電気自動車(EV)による「安全性に関わる事故」が相次いでいる。
このほど、山東省青島ナンバーの「蔚来(NIO)」のEVを所有する男性が、「車が高速道路で突然制御不能になった」「死にかけた」などとSNS上で抗議している。
先月のメーデーの連休中、男性は家族で蔚来の車で旅行に出かけた。しかし彼の車は高速道路に入る前、しっかりと充電していたにも関わらず、高速道路上で突然電池切れになり、アクセルもブレーキもすべて効かなくなったという。
突然の制御不能の非常事態に直面した男性は、とっさにハザードランプ(非常灯)を点滅させて車をガードレールの外側へ強行突入させた。幸いにもその過程で後続車両に追突されずに済み「命拾いした」という。
男性は「蔚来」社に対し、事故が起きた日の車のデータ提供を求めたが拒否された。そこで、ネットで調べたところ、自分と同じ遭遇の人が少なくないことがわかったという。彼は自分と同じ痛い目に遭った他の「蔚来」車主に対し、「一緒に権利擁護の声をあげるよう」呼びかけている。
(「高速道路上で突然制御不能になった」と訴える「蔚来」車の所有者)
「蔚来」車に関しては、地下駐車場に入る際に「制御不能」になり事故ったという告発も上がっている。車主は事故が起きた日(2024年5月17日)の車のドライブレコーダー録画を公開しており、それによると、地下車庫に入る際に車が突然加速し出し、他の車にぶつかるまでブレーキも効かず、全く制御不能だったと語っている。こちらの災難の車主も「蔚来」社に相手にされず、致し方なくSNSを通じて告発している。
(「地下駐車場で突然制御不能になった」と訴える「蔚来」車の所有者)
「突然の制御不能」については、別の中国EV大手BYDのオーナーからも訴える声が聞かれる。
自然発火、あるいは突然の故障などで国産EVの事故が頻発しており、こうした車両トラブルの証拠動画もどんどんSNSにあげられている。
国産EV業界は中国共産党(中共)の国家戦略であり、重要な保護対象となっているため、こうした国産EV事故の被害者の権利擁護は困難を極めている。
しかし当局がいくら関連ニュースの封鎖を試みても、こうした信じられない故障トラブルを涙ながらに証拠動画付きで告発され、時折ネットにも流出しており、巷でも人づてに噂になっている。
情報を制限される中だからこそ、中国本土に生きる人々の不安は大きくなるばかりだ。
そんななか、堪忍袋の緒が「ついに」切れたあるBYD車の所有者は、自分の車の後ろに電光掲示板を載せて「BYDはゴミだ」「買えば必ず後悔する」といった抗議セリフを繰り返し流し、民衆にその危険性について警告していた。
(「BYDはゴミだ」「買えば必ず後悔する」の抗議セリフを繰り返す電光掲示板)
「国産車を買って後悔している」のトピックスに寄せられたコメントのなかには、「中共の愛国プロパガンダに騙された可哀そうな人だ」「これが中共のプロパガンダを信じた『ツケ』だ」といったコメントが目立つ。
このほか、国産EV事故が報じられるたび、コメント欄に必ず書き込まれる定番コメントがこれだ。
「EV買うなら米テスラ社のを買え! 事故が起きたら(中国が)国を挙げて討伐してくれる。国産車買ったら一巻の終わり、何が起きようと泣き寝入りするしかない」
これはジョークではなく、赤裸々な事実であり、中国のリアルである。とても笑えない。
(「車買ったら後悔した」「訴えるところもない」などの横断幕を広げてファーウェイへ抗議する同社EVの所有者たち。2024年6月2日、河南省鄭州市)
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