米国防総省 中距離ミサイルシステム「タイフォン」を日本へ配備する計画を明らかに

2024/09/10 更新: 2024/09/10

アメリカ国防総省は、インド太平洋地域の安全保障を強化する一環として、新型の「タイフォン」中距離ミサイルシステムを日本に配備する計画を進行中であることを明らかにした。

9月4日、アメリカ陸軍のクリスティーン・ウォーマス長官は、ワシントンで防衛・安全保障に特化した専門メディア「Defense News」が主催するシンポジウムに出席し、8月初めに東京を訪れた際に言及した問題について話した。訪日中、ウォーマス氏は日本の防衛大臣、木原稔氏と会談した。

ウォーマス氏は「『多領域作戦部隊』(MDTF)が、演習などを通じて日本で活動することをアメリカは期待している」と述べた。

MDTFはアメリカ軍の新しい作戦部隊であり、その編成にはネットワーク、電子戦、そして遠距離火力が含まれている。将来的に、MDTFはアメリカ陸軍の基盤となり、中国共産党(中共)やロシアとの戦闘が発生した際には、この部隊が空中、宇宙、海上、ネットワーク、そして陸上のさまざまな領域で敵に対抗できるようになる。

MDTFは中距離能力を備えた陸上発射ミサイルシステム、別名「タイフォン・システム(Typhon Weapons System)」を装備している。このシステムは、1千マイルを超える射程を持つ「トマホークミサイル」と、射程290マイルの「スタンダード6型ミサイル」を発射することが可能だ。

ウォーマス長官は「私たちは日本の自衛隊に対して、私たちの意向を示した」と述べた。

長官は、将来的にアメリカ軍が日本の南西諸島に装備や兵士を展開する可能性があることを指摘した。南西諸島は台湾に非常に近いため、中共がアメリカと衝突する可能性があるホットスポットの一つと見なされている。

また「どのような配備も日本が受け入れられるペースで行われていくだろう」と述べた。以前には、「タイフォン」システムが日本に派遣されたことはなかった。

ウォーマス長官は「私たちは日本との適切な選択肢について引き続き話し合うことを楽しみにしている」と述べた。

地域協力について触れる中で、ウォーマス長官は「再度日米韓の同盟関係の重要性を強調し、これがアメリカにとって大きな利益をもたらす」「私は、中共によるこの地域での多くの脅迫行為が、日本と韓国の相互協力を促進する要因の一つになったと信じている」と語った。

中共に対する抑止力と地域安全保障の強化

今年4月、「サラクニブ 24(Salaknib 24)」演習の一環として、ワシントン州にあるアメリカ陸軍第1多領域作戦部隊(1st MDTF)は、フィリピンに「タイフォン」ミサイル発射器を派遣し、北ルソン島に展開した。

これは、アメリカが2019年8月に「中距離核戦力全廃条約」から脱退して以来、初めて外国に地上配備ミサイルを展開することを示している。

「中距離核戦力全廃条約」は1987年に署名され、アメリカが射程500~5500キロメートルの陸上発射型弾道ミサイルおよび巡航ミサイルを所有、製造、または試射することを長期にわたり禁止した。

しかし、中国は「中距離核戦力全廃条約」には参加しておらず、近年、ミサイル兵器の開発を急速に進めてきた。これを受けてトランプ政権はこの条約から撤退し、アメリカの武器庫の再構築に取り組み始めた。

今年4月、「タイフォン」ミサイルシステムがフィリピンに数か月間配備された。射程は1千マイルと見込まれ、このミサイルが北ルソン島から発射されると、中国の上海に到達することが可能で、これは中共に不安を引き起こした。フィリピンは「タイフォン」が9月に撤退することを発表した。

ウォーマス長官は9月4日のシンポジウムで、「数か月にわたる進展が今後の模範となるだろう」と述べた。また彼女は、「ワシントンがフィリピンなどの地域の同盟国と引き続き『対話』を行い、『タイフォン』システムをインド太平洋地域に配備することを目指している」と述べた。

また長官は、「アメリカ陸軍の目標は、国際日付変更線の西側に位置するインド太平洋地域において、(毎年6か月以上の期間)できるだけ多くの信頼性のある戦闘能力を維持することである」と述べた。

「タイフォン」システムについて言及した際、ウォーマス長官は「これは非常に印象的な能力だ」

「このような戦闘能力を示すことによって、その地域の抑止力を強化することが可能となる」「これが中共の関心を引いたと思う」と述べた。

8月の初めに、日本の陸上自衛隊の代表団がワシントン州にあるルイス・マッコード統合基地(JBLM)を訪れた。この訪問は、日本における同様の展開の基礎を築くものと見なされている。

アメリカ国防総省の最新の人員統計によれば、日本には約5万5千人の米軍が駐留しており、これはアメリカ本土を除いて、他のどの地域よりも多い数となっている。

陳霆
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