米カリフォルニア州の連邦地裁は6日MLBのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告に対し、銀行詐欺罪などで禁錮4年9か月の実刑判決を言い渡した。判決は検察側の求刑通りであり、服役後には3年間の保護観察が科される。
「前例のない規模の詐欺」
ジョン・W・ホルコム判事は「この規模の窃盗は驚くべきものだ」と述べ、「一般の人が一生かけても稼げない額だ」と指摘した。
水原被告は、銀行詐欺というその納税申告の罪について、有罪を認めていた。裁判所から総額約1800万ドル(26億円)の賠償命令が下された。そのうち約17億円は大谷選手に返還され、残りは米内国歳入庁に支払われる。
大谷選手のキャリアを支えながら裏切り
裁判資料によると、水原被告は2013年から大谷選手のキャリアを支え、2018年にともに渡米。幼少期に日本からアメリカへ移住し、その後日本へ戻ってプロ野球チームの通訳を務めた経歴を持つ。2021年のMLBオールスター・ホームランダービーでは、大谷選手の投手役を務めるなど、長年にわたり密接に関わっていた。
しかし、検察側は「支えるべき立場にあった人物による計画的な裏切り」として、水原被告の行為を厳しく批判した。2021年から大谷選手の口座に不正アクセスし、セキュリティ設定を変更して資金を違法に送金していたとされる。
この不正行為は、カリフォルニア州の違法スポーツ賭博に関する捜査の過程で発覚した。水原被告は違法賭博にのめり込み、ラスベガスのカジノを通じて資金を流用していたとみられる。
「大谷選手の信頼を裏切ったことを深く後悔」
水原被告は法廷への書簡で、「私は大谷翔平選手を野球選手としても人間としても心から尊敬している。最高のプレーができるよう彼に人生を捧げるつもりだった」と述べ、「彼の信頼を裏切ったことを深く後悔している」と謝罪した。また、判決前には「裁判所に寛大な判断をお願いしたい」とも訴えた。
検察によると、水原被告は2024年までに数千万ドル規模の違法賭博を行っていた。サッカー、NBA、NFL、大学フットボールなどに賭けていたが、野球への賭けは一切行っておらず、大谷選手もこの詐欺には関与していなかったとする。
今後の展開と返済の見通し
弁護側は水原被告について「ギャンブル依存症に陥り、取り返しのつかない過ちを犯した」と主張し、禁錮18か月の軽減を求めた。しかし、ホルコム判事はこの主張を退け、3月24日までに当局へ出頭し収監されるよう命じた。
また、判事は「被告がこの莫大な賠償金を返済できるかは不透明だ。だが、返済に向けた努力が求められる」と述べた。
大谷選手は昨年、ドジャースと10年で総額7億ドル(約1050億円)の契約を結び、今シーズンも大きな注目を集めている。
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