予備自衛官の処遇改善へ 自営業者にも給付金 防衛省が新制度を計画

2025/02/25 更新: 2025/02/25

防衛省は2025年度から、自営業やフリーランスの予備自衛官向けに、新たな給付金制度を導入する方針を明らかにした。この制度は、緊急時に招集された際の経済的損失を補填することを目的としており、日当とは別に1日あたり3万4千円を最大90日間支給する予定だ。

現行制度では、企業に雇用されている予備自衛官が招集された場合、雇用主に対して労働力の補償として給付金が支払われていた。しかし、自営業者やフリーランスに対する同様の制度は存在しなかった。新制度の導入により、働き方の多様化に対応するとともに、予備自衛官の確保を目指す。

背景には、自衛隊全体の人手不足がある。防衛省の発表によると、2023年度の自衛官の採用充足率は1万9598人を募集したところ、9959人の採用にとどまり、過去最低の51%にとどまった。正規自衛官の定員24万7千人に対しては、実際の人員は22万3千人程度で、約1割の欠員が生じている。予備自衛官についても、定員4万8千人弱に対し充足率は7割程度で推移しているに過ぎないと言う。

予備自衛官は、大規模災害や有事の際に招集され、正規自衛官の後方支援を担う重要な役割を果たす。過去には東日本大震災や能登半島地震などで活動した実績がある。

新制度では、予備自衛官本人への処遇改善も計画されている。現行では月々4千円の手当と、訓練参加時に1日あたり8千円程度が支給されているが、これらの引き上げも検討中だ。3年間の任期を務めた場合、現行と比べて、約40万円増の70万円弱を受け取れるようになる見込みだ。

防衛省は、この新制度を「予備自衛官事業継続給付金(仮称)」として2025年度に立ち上げる予定で、今国会で関連法案の成立を目指している。

専門家からは、平時の人員不足は、何とか対応できているものの、有事の際の対応力に、懸念の声が上がっている。新制度の導入が、予備自衛官の確保に、どの程度効果を発揮するか、今後の動向が注目される。

大紀元エポックタイムズジャパン記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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