ヨーロッパとアフリカの連合空軍を指揮する米空軍のジェームズ・B・ヘッカー大将は、元北大西洋条約機構(NATO)パイロットに対し、中国が支援する航空関連企業での就職を控えるよう警告した。
「一度でも我々のチームで飛行した以上、たとえ退役後であっても、戦術・技術・手順を守る責任がある」と、ヘッカー氏は2月28日に米空軍ヨーロッパ司令部の公式サイトで発表した。
中国による西側パイロットの引き抜き
この発表は、米国家情報長官室(DNI)が昨年発表した報告書を受けたものだ。同報告書では、中国軍が元および現役のNATO軍人、さらには他の西側諸国の軍関係者を標的にし、軍事能力の強化を図っていることが明らかにされた。
具体的には、中国は中国国内および南アフリカの民間企業を隠れ蓑にし、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、オーストラリア、アメリカの元軍人パイロットを雇用しているとされる。
また、同報告書によると、中国側は「珍しいジェット機を操縦できる」と高額な契約を提示し、雇用主の詳細を明かさないことで元軍人を引き込んでいるという。
この計画には、南アフリカのテスト・フライング・アカデミーや、中国の航空技術企業である北京中国航空技術公司、ストラトスなどが関与しているとDNIは指摘している。
米同盟国の対応——法改正と取り締まりの強化
米空軍特別調査局を指揮するエイミー・バムガーナー准将は、このような外国企業への就職が「西側の軍事人材に関する情報を中国に提供することになり、現役の軍人や元軍人の安全を脅かす」と警鐘を鳴らしている。
米国および同盟国はこの問題に長年取り組んでおり、2022年には元米海兵隊パイロットのダニエル・ダガン(55)がオーストラリアで逮捕された。ダガンは米国の武器輸出管理法(Arms Export Control Act)違反の罪に問われ、最高60年の禁錮刑を受ける可能性がある。
ダガンはオーストラリア国籍を取得して13年が経過していたが、南アフリカのテスト・フライング・アカデミーを通じて中国人パイロットを訓練していたとして起訴され、2024年12月にオーストラリアの裁判所が米国への引き渡しを承認した。
また、2023年6月にはドイツのピストリウス国防相が、シンガポールで開催された「シャングリラ・ダイアログ」の安全保障会議の場で、中国共産党の李尚福国防相(当時)に直接、ドイツの元パイロットの採用を即刻中止するよう要求していたと、ドイツメディアが報じている。
NATO加盟国の法改正と対策強化
米空軍ヨーロッパ司令部によると、イギリスとベルギーは2023年および2024年に、外国軍への軍事サービス提供を行った元軍人への罰則を強化する法改正を実施した。また、ドイツも同様に防衛法を改正し、他のNATO加盟国も同様の措置を検討中とされる。
ヘッカー大将はこれらの動きを歓迎し、「同盟国が、敵対国の支援を受けて雇用を得た者が、チームメイトの安全を脅かす行為に対し、責任を追及することを証明するものだ」と述べた。
バムガーナー准将もこれに同調し、「同盟国の法執行機関や防諜機関と連携しながら、米空軍の作戦能力を脅かす敵対者を追跡し続ける」と強調した。
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