中国の小児臓器移植急拡大に闇 調査報告「待機期間ほぼゼロ」

2025/09/19 更新: 2025/09/19

9月13日、中国共産党による法輪功学習者への迫害実態を調査するNGO「追査国際」が調査報告「追査:中国児童・乳児の臓器移植激増の背後」を発表し、中国で児童や乳児の臓器移植件数が急増し、ドナーが潤沢に確保され、臓器の待機時間が極めて短いという異常な現象を明らかにした。

追査国際(正式名称:追査迫害法輪功国際組織)は、1999年に江沢民が法輪功への迫害を開始して以降、大量の法輪功学習者が生きたまま臓器を摘出され、同時に中国の臓器移植産業が爆発的に拡大し、全国規模で巨大な臓器摘出産業チェーンが形成されたと指摘している。そして2017年以降、中国の小児臓器移植が急速に拡大し、小児肝移植は米国を超えて世界最多となったと述べている。

調査報告は、異常な小児臓器移植を複数の観点から明らかにしている。

第一に、移植件数の多さである。たとえば上海交通大学医学院附属仁済医院は、これまでに小児肝移植を累計3千件以上実施したと公表し、「年間件数は世界最多」としている。

第二に、児童臓器の待機時間が極端に短く、同日に複数件の手術が行われていること。心臓移植の拠点とされる武漢協和医院では、小児心臓移植が100例を超え、同日に3件の小児移植手術が行われたこともある。国際的には極めて異例である。

第三に、臓器提供が「過剰」と思われる事例である。吉林大学第一医院肝臓移植センターは、1か月で10人の児童を対象とした無料肝移植を実施した。さらに、ドナープール拡大のため、極低出生体重児 [1]や乳幼児の臓器を成人に移植している実態もある。

極低出生体重児とは、出生時の体重が1500g未満の乳児

また、摘出時の温虚血時間 [2]がゼロ、あるいは極端に短いことが確認されており、これは臓器が生体から摘出された可能性を示している。

温虚血時間とは、手術中に動脈が結紮(結紮)されて臓器の血流が遮断されてから、臓器摘出までの間の体温下にある時間

なぜ小児や乳児の臓器が利用されるのか。調査によると、これらの臓器は再生能力が高く、腎臓は移植後6〜9か月で成人に近い大きさに成長する。また乳児の臓器には幹細胞が含まれ、拒絶反応が少なく免疫抑制剤の使用を減らせる。さらに臓器提供数を増やす狙いもある。

追査国際はまた、9月3日に北京で行われた閲兵式で習近平とプーチンが「臓器移植を繰り返すことで150歳まで生きる」という話題を交わしたこと、そして301病院が2005年に開始した「981幹部健康プロジェクト」に触れ、乳幼児臓器の利用は中共高官の延命プロジェクトに関わっている可能性があると指摘した。

2023年の電話調査では、小児臓器を成人に移植することが既に多数の病院で行われている事実も確認された。天津第一中心病院移植センター副主任医師の馮剛は「ある。もちろんある」と答え、対象年齢について「数か月の乳児から数歳まで様々だ」と説明した。

調査の中で、追査国際は極めて小さな乳児が臓器提供者にされている事例を確認した。中国本土の報道によると、浙江省で最も小さな提供者は生後わずか4日、安徽省では生後10日の新生児がドナーとされていた。さらに、生まれたばかりの新生児や早産児、さらには人工的に早産させられた乳児までもが含まれている。

では、これらのドナーはどこから来るのか。追査国際は複数の証言を挙げて説明している。

法輪功迫害が始まった二十数年前から、中国共産党(中共)当局は「臓器需要に応じて人を殺害し、臓器を摘出する」行為を続けてきた。1994年に瀋陽陸軍総医院泌尿器科で研修した鄭治医師は、『看中国』で証言し、2005年に政治局常務委員の側近から「湖北省公安庁(武漢)の裏庭の地下に、法輪功学習者の成人や子供が多数監禁され、臓器バンクとして使われていた」と聞いたと明かした。

鄭治氏はまた、1990年代後半の瀋陽の病院で新生児から臓器が摘出された事例も挙げた。知り合いの兵器工業部のある幹部の肝臓が壊死した際、病院の産婦人科は新生児を事前に検査し、母親に「赤ん坊は死んだ」と告げた上で、産婦人科と外科が連携して移植を行い、その幹部は少なくとも10年間延命したという。

こうした「臓器需要に合わせた殺害」の罪は、社会の根幹をも蝕んでいる。2025年3月には、中国犯罪組織がタイ女性を国外に誘拐し代理出産を強要、卵子を強制的に採取した事件が報じられた。逃げ出した女性は、胎児が「臓器の予備」として予約されていたため追跡された。若い女性たちは人身売買組織の標的となり、卵子を摘出された後に売買され、体外受精によって胚や子どもがつくられ、さらに第三国へ転売されている。

中南大学湘雅第二医院移植科の研修医・羅帥宇氏は、移植と研究のために12人の小児ドナーを探すよう要求された。これを拒否した後、不審な転落死を遂げた。父親が羅氏のパソコンや携帯電話から、息子が過去3年間に収集していた病院による臓器摘出の実態を暴く大量の資料や録音を復元した。

その中には、臓器を「提供した」とされる11歳の少女「呉某紅(読み取りによる記録)」は、「父親」と名乗る人物に連れられて「白い家」(病院)に送られ、「脳死」と判定された実例も含まれている。署名したその「父親」は「謝(音)」という姓で、少女の姓とは異なっており、羅氏の遺族はこの人物が本当に父親なのかを疑っている。

別の事例では、児童の入院理由も臓器提供理由も「脳死」と記され、住所欄には「派出所(交番)」が記入されていた。

追査国際は結論として、中国で児童・乳児の臓器移植が急速に拡大している一方で、中共当局は公共安全管理において全く透明性がなく、多くの真実がいまだに覆い隠されていると警告した。

「児童臓器の供給経路を独立した第三者が逐一検証できる体制が整って初めて、市場化や大規模化が倫理的な一線と衝突せずに済み、中国における児童や乳児の臓器の違法売買や乱用を阻止することが可能になる」と強調した。

 

詳細については「追査:中国児童・乳児の臓器移植激増の背後――追査国際による深層調査報告」をご覧ください。

李潔思
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