トランプ・ネタニヤフ会談 5つの要点

2025/12/30 更新: 2025/12/30

トランプ米大統領は12月29日、フロリダ州パームビーチにある自身の邸宅「マー・ア・ラゴ」にイスラエルのネタニヤフ首相を招いた。両首脳は、ガザ地区の将来に関する最新状況や、イスラエル周辺地域で続く安全保障上の脅威について協議した。

トランプ氏は、イランが核兵器開発を再開すれば追加攻撃を行うと警告した。また、テロ組織ハマスが武装解除に応じなければ、彼らにとって「恐ろしい」事態になると述べた。さらに、第1次トランプ政権で成立した「アブラハム合意」を拡大する意向を示し、トルコ、シリア、レバノンとの関係についても言及した。

記者会見の冒頭、ネタニヤフ氏はイスラエル建国以来初めて、非イスラエル人であるトランプ氏に「イスラエル賞」を授与すると発表した。

マー・ア・ラゴでのトランプ・ネタニヤフ会談から得られた5つの要点は以下の通りである。

1. トランプ氏へのイスラエル賞授与

ネタニヤフ氏は、トランプ氏にイスラエル賞を授与することで、イスラエルは「慣例を破る、あるいは新たな慣例を作る」ことを決定したと述べた。首相によれば、1948年の建国以来、同賞が非イスラエル人に授与されるのは初めてのことだという。

イスラエルのヨアブ・キッシュ教育相が月曜日の昼食会で正式に発表を行い、「イスラエルとユダヤ人への多大な貢献」を理由にトランプ氏へ授与することを決めた。

ネタニヤフ氏は「これは極めて適切なことであり、大統領、もしあなたが独立記念日にイスラエルを訪問してくださるなら、我々にとって光栄なことだ」と語った。また、「これは、あらゆる層のイスラエル人の圧倒的な感情を反映している。彼らは、イスラエルを助け、テロリストや文明の破壊者に対する共通の戦いを支援してくれたあなたの行動に感謝している」と付け加えた。

ヘブライ大学によれば、イスラエル賞は、イスラエル文化に多大な貢献をした人物や、その分野で卓越した功績を挙げた人物に贈られる、国内で最も権威ある重要な賞である。

2. 米大統領がイランを警告

トランプ氏とネタニヤフ氏の会談のわずか2日前、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は、今年初めに米国が同国の核施設を爆撃したことを受け、イラン政権は米国、欧州、イスラエルと全面戦争の状態にあると述べていた。

月曜日、トランプ氏はイランが核兵器施設の再建を試みていないことを願うと述べた。

トランプ大統領は「もし再建しているのなら、我々は即座にその増強を根絶する以外に道はない」と断じた。

「イランが兵器などを増強しているという情報を目にしているが、そうでないことを願う。もしそうであれば、彼らは我々が破壊した場所ではなく、おそらく別の場所を使っているのだろう」

トランプ氏は、自政権が「彼らがどこへ行き、何をしているかを正確に把握している」と述べ、米軍のB-2爆撃機を再び派遣して新たな核施設候補を攻撃するために、37時間の飛行にかかる「燃料を無駄に」したくはないと示唆した。

3. トランプ氏「ハマスは武装解除すべき」

ガザ紛争終結に向けた和平合意の重要事項である「期限内の武装解除」をハマスが拒否した場合、米国の次なるステップはどうなるかとの問いに対し、トランプ氏は彼らにとって「恐ろしいことになるだろう」と答えた。

「そうなってほしくはないが、(ハマスは)武装解除するという合意を交わしたのだ」とトランプ氏は述べた。

またトランプ氏は、イスラエル以外の国々も、ハマスが自発的に武装解除しないのであれば、彼らを「一掃する」用意があると自政権に伝えてきていることを明かした。

「彼らが武装解除すると言うなら、それでいい。もし武装解除しないと言うなら、それらの国々が乗り込んで一掃するだろう。中東以外の59カ国がハマスを一掃したがっている。彼らはイスラエルを求めておらず、イスラエルを必要ともしていない」

4. アブラハム合意の拡大

2020年後半にトランプ第1次政権の仲介で成立したアブラハム合意は、中東の4カ国(アラブ首長国連邦、バーレーン、スーダン、モロッコ)がエジプトとヨルダンに続く形で、イスラエルとの国交正常化に向けた外交プロセスを開始する足がかりとなった。

先月、トランプ氏はカザフスタンがアブラハム合意への参加意向を示したと言及した。ただ、同国は1992年からイスラエルと完全な外交関係を維持している。そのため、同合意への参加は(実利的な変化というより)「イスラエル支持」という姿勢を改めて示す象徴的な意味合いが強い。

トランプ氏は当時、アブラハム合意をさらに多くの国に広げたいとの希望を語り、サウジアラビアとシリアをイスラエルとの外交開始の主要なターゲットとして挙げていた。

月曜日のネタニヤフ氏との会見で、トランプ氏は複数の国が参加に関心を示していると述べ、サウジアラビアが次になる可能性を示唆した。

「サウジアラビアは、私に関する限り非常に良好だ。彼らは我々が求めるすべてを行っており、イスラエルともうまくやっている。そしていつか、彼らはアブラハム合意に署名するだろう」

5. トルコ、シリア、レバノンの最新状況

トランプ氏はまた、イスラエルおよび米国と、トルコ、シリア、レバノンとの関係についてもいくつか最新情報を伝えた。

2023年末にハマスがイスラエル南部を攻撃し、その後にイスラエル軍が反撃を開始して以来、トルコのエルドアン大統領はネタニヤフ氏を繰り返しアドルフ・ヒトラーになぞらえ、ガザでの民間人の死は第二次世界大戦でドイツが行ったジェノサイド(大量虐殺)に似ていると主張してきた。

月曜日にこれらの発言について問われたトランプ氏は、エルドアン氏とネタニヤフ氏は互いに尊敬し合っているとの考えを示唆し、エルドアン氏はトルコで「素晴らしい仕事をした」と述べた。

「私は彼(エルドアン)を全面的に支持している。ビビ(ネタニヤフ)も全面的に支持している。何も(問題は)起きないだろう」とトランプ氏は語った。

昨年、武装勢力がアサド政権を打倒したシリアについては、米国は「シリアに関する理解」を共有していると述べた。また、新大統領のアハメド・アル・シャラ氏(元アルカイダのメンバーで、米軍に数年間拘束された後にテロ組織との決別を宣言した人物)を尊重していると語った。

「彼は非常に強力な男だ。シリアに必要なのはそういう人物だ」とトランプ大統領は述べた。

トランプ氏は、米国の最大の関心事はシリアとの平和な国境を維持し、近隣の国境の安全も確保することだと強調した。

レバノンのテロ組織ヒズボラに対するイスラエルの攻撃の是非を問われると、トランプ氏は「様子を見よう」と答えた。

「レバノン政府はヒズボラに足を引っ張られ、統治能力を失っているようなものだ。しかし、ヒズボラがこれほど不当な振る舞いを続けている以上、今後の展開(イスラエルの対応)を見守るしかない」。

エポック・タイムズで国家政治、航空宇宙、航空業界を担当する記者である。以前は「サラソタ・ヘラルド・トリビューン」でスポーツ、地域政治、速報ニュースを担当していた。