年金を再生可能エネルギーへの賭けに投じるのはやめよ

2026/04/20 更新: 2026/04/20

論説

年金基金の受託者は、受給者に対する不必要なリスクを避け、保守的に資金を管理することが期待されている。しかし、カナダ最大級の年金基金のいくつかは、気候変動対策に焦点を当てた投資に数十億ドルを投じている。これらの投資はしばしばリターンが低く、あるいは不確実であり、カナダ国民の老後の安全を危険にさらしている。

例えば、2025年末時点で2,794億ドルの総資産を運用するオンタリオ州教職員年金プラン投資委員会や、2024年末時点で128億ドルを運用するオンタリオ州大学年金プランなどは、リスクがあるにもかかわらず、気候関連投資への比率を高めている基金の一例である。

この傾向はオンタリオ州にとどまらない。『Pension Benefits Monitor』の報道によれば、ケベック州寄託投資公社(CDPQ)は「気候変動対策およびエネルギー転換に合致する企業への投資を拡大し、2030年までに4千億ドルにする」計画だという。つまり、2025年末時点で5,170億ドルであった資産の大部分が、5年以内に「環境に優しい」投資に充てられることになる。

投資の集中と不透明なリターン

このように、優れた運用実績が見込めるかどうかが不明確な分野へ投資を集中させることは、極めて危うい行為だ。アルバータ州の公的セクター資産運用会社であるAimcoは、投資哲学の中で環境問題への懸念を認めているが、具体的なコミットメントは避けている。ブリティッシュコロンビア州投資管理公社(BCI)も気候変動への配慮を認めているものの、リスクヘッジ姿勢を崩していない。

2025年3月31日時点で7,144億ドルを運用するカナダ年金プラン投資委員会(CPPIB)も同様の問題に直面している。2025年度の年次報告書において、気候変動への言及は冒頭から22ページ目までほぼ皆無だ。23ページ目以降に、5つの原則として申し訳程度に触れられているのみである

最も示唆的なのは「原則4」である。そこには、「我々は、自らの投資方針と専門知見に基づき、責任あるエネルギー転換を支援する。つまり、世界的な脱炭素化を加速させるには、単に化石燃料から一斉に資金を引くのではなく、高度で長期的な戦略が必要である、というのが我々の考えだ」と記されている。平たく言えば、投資対象が他を凌駕するという明確な証拠がないまま、投資を継続する余地を残しているということだ。

報告書はさらに言葉を和らげ、「これらの原則は、ステークホルダーとの関わりや資本の展開方法を枠付けるものである」などと続く。この文言は明確な戦略へのコミットメントを避けつつも、パフォーマンスではなく政策目標に資本を向けることを可能にしている。

環境学者ビョルン・ロンボルグが引用した数字を含め、見積もりによれば、この種の取り組みにはすでに21兆ドル以上が費やされている。これほどの規模の資金が、リターンに直結するかどうかが不明確な投資に向けられている事実は重い。

義務は「リターン」であって「政策」ではない

政府は年金運用担当者に、資産投資における広範な裁量権を与えている。しかし、その自由には単純な義務が伴う。それは「政策の成果」ではなく、「リターン」を出すことだ。業界の権威、CFA(Chartered Financial Analyst:公認財務アナリスト)協会が定める倫理規定によれば、投資のプロは常に「妥当な注意」を払い、何ものにも縛られない「独自の専門的判断」を下さなければならない。これが運用担当者としての本来のあり方である。

ここに問題がある。第一に、リターンがリスクに見合わない場合、グリーンエネルギーやその他の気候変動対策投資に資金を誘導することは、その義務に抵触する可能性がある。

近年の実績は芳しくない。2024年にエネルギー政策と市場に特化した専門ニュースサイト「Real Clear Energy」が指摘したところによれば、S&P 500が急騰する一方で、世界の再生可能エネルギー指数は2021年以降横ばいである。電気自動車(EV)、バッテリー、風力タービン、充電インフラへの投資が低迷していることが要因だ。

第二に、これらの投資を避けるべき別の理由がある。これら事業の多くは、政府の補助金や強制的な政策、減税措置なしには成立しない。つまり、自力で収益を上げているのではなく、公的な支援に依存しているのである。これらの支援策は急速に変化する可能性があり、変化した途端、投資は瞬く間に破綻しかねない。

慎重な資産運用担当者であれば、こうした政策的な不確実性を、政情不安な地域や汚職が蔓延する国への投資と同じようなリスクと見なす。そして、それらへの投資比率を厳しく制限するはずだ。

これは決して一部の極端な懸念ではない。20兆ドル以上の資産を管理する少なくとも8つの資産運用会社が、国連主導の「ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)」への加入を拒否している。

年金受託者は政策立案者ではない。彼らの仕事はリターンを出すことだ。投資判断がパフォーマンスではなく政府の政策によって主導されるとき、そのツケを払わされるのは、これらの年金に頼って生活するカナダ国民なのである。

Ian Madsen(イアン・マドセン)は、フロンティア公共政策センター(Frontier Centre for Public Policy)のシニア・ポリシー・アナリストである。

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