中国AI大手DeepSeek 追加資金調達を停止 輸出規制半導体をめぐる発言流出か

2026/07/27 更新: 2026/07/27

中国のAI新興企業DeepSeekが、2回目の資金調達を急きょ停止したと報じられた。

DeepSeekは、低コストで高性能な生成AIモデルを開発したとして注目を集めた中国企業である。今回の資金調達停止には、創業者の梁文鋒が投資家向け会合で行った発言の流出が影響した可能性がある。

ブルームバーグは7月25日、事情に詳しい関係者の話として、DeepSeekが投資家に対し、新たな資金調達を当面見合わせると口頭で伝えたと報じた。再開時期は決まっていないという。

関係者によると、梁文鋒は投資家向け会合での発言がネット上に流出したことに強い不満を示し、資金調達の見合わせを決めたとされる。

流出したとされる音声には、DeepSeekの内部情報や中国AI業界の現状に加え、アメリカの輸出規制対象となる半導体の調達や利用に関する内容も含まれていたという。

英紙フィナンシャル・タイムズは7月14日、DeepSeekが今年6月に初回の資金調達を終え、総額500億元、約74億ドルを調達したと報じた。調達後の企業価値は約500億ドルとされた。

米テクノロジー情報サイト「ジ・インフォメーション」によると、初回の資金調達では、梁文鋒自身が200億元を出資した。

テンセントと車載電池大手CATLは、それぞれ100億元と50億元を出資し、最大の外部株主となった。京東集団、網易(ネットイース)、IDGキャピタルはそれぞれ30億元、国家人工知能産業投資基金は10億元を出資したという。

初回調達後、DeepSeekは複数の投資家候補と、2回目の資金調達に向けた協議を始めていた。

新たな資金調達が成立すれば、企業価値は約710億ドルに達し、初回調達後に比べ37%上昇する見通しだった。

ブルームバーグは7月14日、DeepSeekが新規株式公開の準備を始めており、早ければ年内にも上場申請を行う可能性があると報じていた。

中国のAI計算能力「米国と約10倍の差」

ネット上に流出したとされる音声では、梁文鋒が、中国のAI企業が訓練できるモデルの規模は、アメリカ企業の約10分の1にとどまるとの見方を示している。

梁文鋒によると、DeepSeekが現在保有する計算資源は、米半導体大手エヌビディアのHシリーズ約2万枚分に相当し、その多くは直近1、2か月に入荷したものだという。

一方、現在の計算資源では、アメリカ企業に匹敵する最先端のAIモデルを訓練することは困難だとの認識を示した。

梁文鋒は「現在、最大規模のモデルを訓練するだけの力はない。500億元をすべて投じたとしても難しい。仮にモデルを構築できても、運用コストを賄えない」と語った。

さらに、アメリカの最大規模のモデルでは、実際の演算に使われる「アクティブパラメーター数」が約800億に達する一方、中国の最大モデルは数十億規模にとどまると説明した。

アクティブパラメーター数とは、AIモデルが入力を処理したり、トークンと呼ばれる処理単位を生成したりする際に、実際に稼働するパラメーターの数を指す。

ファーウェイ製半導体「4枚でエヌビディア1枚分」

アメリカ製AI半導体を中国製品に置き換える動きについても、梁文鋒は、中国国内で示されてきた楽観的な評価とは異なる見方を示した。ファーウェイのAI半導体「昇騰950」の性能と投入時期について、エヌビディア製品との差を指摘した。

「ファーウェイ製4枚で、エヌビディア製1枚分に相当する。性能だけでなく、出荷時期でも約2年の差がある」と述べた。

梁文鋒によると、昇騰950スーパーノードの出荷は今年第3四半期か第4四半期になる一方、エヌビディアのGB200は約2年前に出荷されたという。

この発言は、ファーウェイが今月発表した「昇騰950スーパーノード」のシステム全体の計算能力が、エヌビディアの同等システムの6.7倍に達するとの説明と大きく異なる。

ファーウェイは7月17日、1024枚のAI半導体で構成される「Atlas 950 SuperPoD」を初めて公開した。

中国銀河証券の報告書は、144枚のAI半導体を搭載するエヌビディアの「NVL144」と比べ、昇騰950スーパーノードの総演算性能は6.7倍に達するとしている。

「輸出規制対象の半導体も購入できる」

梁文鋒はまた、中国製AI半導体の生産能力が依然として大きな課題だと指摘した。

ファーウェイからDeepSeekに供給される半導体は約1万6千枚にとどまり、大手インターネット企業が十数万枚規模を確保していることに比べると少ないという。

梁文鋒は「ファーウェイの課題は、やはり生産能力の不足だ。われわれに割り当てられるのは約1万6千枚だが、大手インターネット企業は十数万枚規模だ。これがファーウェイの現在の供給力なのかもしれない」と述べた。

さらに、アメリカの輸出規制対象となっている半導体も購入できるとの趣旨の発言をした。

「われわれは規制対象の半導体も購入できる。ファーウェイの昇騰950を購入する目的は、同社のAI半導体をめぐる開発環境の整備を後押しすることにある」

梁文鋒は、ファーウェイ製1万6千枚について「エヌビディアのBシリーズ約4千枚分にしか相当せず、実用面での効果は限られる」と述べた。

中国向けの不正輸出か

中国のAI企業が、アメリカの輸出規制対象となっているエヌビディア製AI半導体を入手していたとされる事例は、これまでにも複数報じられている。

今年3月には、カリフォルニア州サンノゼに本社を置くサーバー大手スーパーマイクロの共同創業者、廖益賢と、台湾籍の仲介業者、孫廷偉が米当局に逮捕された。2人は、中国向けに半導体を不正に販売した疑いを持たれている。

6月には、台湾のコンピューター機器メーカー、青雲科技が台湾の検察当局による大規模な捜索を受けた。

同社の当時の総経理と、スーパーマイクロ台湾法人の営業担当者2人が拘束された。

米中両国の規制当局が関心を強める可能性

流出したとされる発言には、輸出規制対象となる半導体の調達に関する内容が含まれているため、DeepSeekが米中双方で調査や監督の対象となる可能性が指摘されている。

アメリカは最近、AI半導体が海外に設置されている場合でも、利用者や親会社が中国に所在していれば、輸出規制の対象になり得るとの見解を繰り返し示している。

DeepSeekは記事掲載時点で、流出したとされる音声の真偽や、資金調達の停止についてコメントしていない。

高杉
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