AIの登場はサイバー犯罪グループを勢いづかせ、金銭をだまし取るための手口は、これまで以上に大胆かつ複雑になっている。
以下は大紀元がまとめた、よく見られる20種類の詐欺手口である。十分な注意が必要だ。
詐欺1 CAPTCHA詐欺
まず、比較的新しい手口である「CAPTCHA詐欺」について見ていく。
CAPTCHAは「Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart」の略で、コンピューターによる自動操作か、人間による操作かを判別するための認証方式である。
これは企業のウェブサイトなどでよく使われている。「あなたはロボットですか」と表示された後、自転車やバス、信号機などが写った画像を選択するよう求められる形式が一般的だ。
しかし最近では、詐欺犯が偽のサイトを作り、偽のCAPTCHA認証を設置する手口が現れている。
利用者は「Windows+R」を押した後、「Ctrl+V」、続いて「Enter」を押すなど、一連の操作を求められる。だが、これは安全確認ではなく、利用者のパソコン上でマルウェアを実行させるための手順である。
昨年オーストラリアでCAPTCHA詐欺が初めて報道された。その後、米連邦取引委員会(FTC)は今年6月、この手口が米国内でも確認されているとして警告を出した。

詐欺2 ロマンス詐欺
ロマンス詐欺は年齢や性別を問わず被害に遭う恐れがあるが、特に多いのは、50歳以上の離婚経験者や配偶者を亡くした人だ。
詐欺犯は若い美男美女の偽写真を使い、マッチングアプリなどを通じて被害者に接触する。時間をかけて信頼関係を築き、恋愛関係にあると思い込ませる。
その後、緊急事態を装って送金を求めたり、直接会うための航空券代などとして金を要求したりする。
2023年には、ナイジェリア出身のロマンス詐欺犯アコホメン・イゲドイセが、郵便詐欺と電信詐欺の共謀罪で、米フロリダ州タンパの裁判所から17年6か月の禁錮刑を言い渡された。
米フロリダ州中部地区連邦検察局は声明で、次のように説明している。
「被害者の多くは、配偶者を亡くした高齢女性や独身、離婚した高齢女性で、出会い系サイトで偽の交際相手と恋愛関係を築かされていた。これはいわゆる『ロマンス詐欺』の一環だった」
「その後、女性たちは投資機会を名目に、米国内の銀行口座へ送金するよう説得された。送金された資金には、退職後のための貯蓄の全額や、住宅資産を担保に借り入れた資金が含まれていた」
イゲドイセは、ナイジェリアを拠点とする犯罪ネットワーク「Black Axe」のメンバーだった。同組織は4月、ヨーロッパの警察当局に摘発された。
ただ、ロマンス詐欺を行う犯罪グループや個人は今も数多く存在している。
詐欺3 「殺猪盤」詐欺
近年、「殺猪盤(ピッグ・ブッチャリング)」と呼ばれる長期型の詐欺が急増している。時間をかけて被害者の信頼を得た後、偽の暗号資産投資に誘い込む手口だ。
「殺猪盤」は中国語に由来する言葉で、こうした詐欺の多くは、中国の組織犯罪グループが東南アジアに設けた大規模な詐欺拠点で行っている。
詐欺犯は若い女性の偽写真を使い、マッチングアプリや無作為に送ったメールで被害者に接触する。少しずつ距離を縮め、時間をかけて信用させる。この段階を、豚を太らせることになぞらえて「養豚」と呼ぶ。
十分に信用させたところで、詐欺犯は偽の暗号資産投資を持ちかける。金をだまし取ると連絡を絶ち、そのまま姿を消す。
詐欺4 ランサムウェア詐欺
ランサムウェア詐欺は、一般の個人よりも、企業や富裕層を狙うケースが多い。
FBIによると、ランサムウェアはマルウェアの一種で、パソコン内のファイルやシステム、ネットワークへのアクセスを遮断し、元に戻す代わりに身代金を要求する。
身代金はほとんどの場合、ビットコインなどの暗号資産で支払われるため、通常の銀行振り込みより追跡が難しい。
英トラック運送会社KNPロジスティクス・グループの元取締役ポール・アボット氏は昨年、大紀元に対し、ランサムウェア攻撃を受けたことで、同社は2023年9月に事業を停止し、730人が職を失ったと明らかにした。
詐欺5 発信者番号偽装詐欺
サイバー犯罪者は発信者番号を偽装し、銀行や税務当局、警察などからの電話だと被害者に信じ込ませる。
銀行や警察などの職員を装って信用させた後、銀行口座やカードの情報、パスワードなどを聞き出す。しかも、「サイバー犯罪から守るための本人確認」などと説明して情報を求めるケースもある。
情報を入手すると、それを使って被害者の口座から金銭を盗み取る。
2023年5月、英サイバー犯罪者テジェイ・フレッチャーは、13年4か月の禁錮刑を言い渡された。
フレッチャーは、ウェブサイト「iSpoof」の共同創設者兼管理者だった。同サイトは詐欺に必要なサービスを提供する「詐欺ショップ」として利用され、世界で20万人が被害に遭った。このうちの多くは高齢者で、被害額は最大1億ポンド(約217億円)に上った。
詐欺6 セクストーション詐欺
金銭を目的としたセクストーションとは、犯罪者がKik、Telegram、Signalなどの通信アプリを使い、相手をだまして性的な画像を送らせたり、性行為を撮影した動画を送らせたりした後、公開しないことと引き換えに金銭やギフトカードを要求する手口である。
被害者が子どもや10代の若者の場合、深刻な事態を招くこともある。
2025年11月6日、15歳のブライス・テイトさんは、米ウェストバージニア州の自宅で銃を使って自ら命を絶った。その約3時間前、Snapchatを通じて脅迫者から最初のメッセージを受け取っていた。
脅迫者は17歳の少女を装い、テイトさんをだまして自分の裸の写真を送らせていた。
FBIは2023年6月、セクストーションの犯罪者がディープフェイク技術を使い、無害な画像や動画を加工して偽の性的コンテンツを作成しているとして警告した。
詐欺7 災害救援を装った慈善詐欺
FBIは2024年3月、慈善活動を装った詐欺が増えているとして警告した。
犯罪者は、自然災害やガザ紛争などの国際的な危機の後、人々の善意につけ込んで金銭をだまし取ろうとする。
当時、FBIデトロイト支局を率いていたチェイボリア・ギブソン氏は、「残念ながら、紛争や危機は犯罪者にとって格好の機会になる。犯罪者は、自らも被害を受けて不安を抱えている人や、他人を助けたいと考えている人、あるいはその両方に当てはまる人につけ込む」と述べた。
FBIによると、偽の慈善募金はメールやSMS、街頭での募金活動などを通じて行われることがある。
詐欺8 フィッシング詐欺
「詐欺は1通のSMSから始まる」
Googleは2025年11月、中国の詐欺グループを相手取って起こした訴訟で、こう警告した。
詐欺メッセージでは、荷物の配送に問題が発生したとして、受信者にリンクをクリックさせ、住所を修正した上で少額の配送料を支払うよう求める場合がある。
また、高速道路料金や罰金が未払いだと警告し、本物そっくりの料金支払いサイトへ誘導する手口もある。
詐欺犯は、アカウント確認を名目に、わずか1ドル(約159円)程度の少額決済を求めることもある。こうした操作をきっかけに、被害者のアカウント情報が盗まれる恐れがある。
詐欺9 親しい人を装うSMS詐欺
スマートフォンに、息子や娘、孫、あるいは親しい友人を名乗るSMSが届く。
「自分のスマートフォンの充電が切れたため、今は他人の端末を借りている」「トラブルに巻き込まれ、急にお金が必要になった」などと訴えてくる。
被害者が心配して応じると、詐欺犯は振込先の銀行口座を伝えて送金を求める。しかし実際には、被害者の不安や同情につけ込み、金銭をだまし取ったり、口座へのアクセス権を得たりする詐欺である。
詐欺10 音声クローン詐欺
AIは現在、人の声を複製し、親族や友人、同僚を装った音声メッセージを作ることができる。こうした音声を悪用したフィッシング詐欺は「ビッシング(vishing)」と呼ばれる。
サイバー犯罪者はこの技術を使い、親しい人を装う詐欺をさらに巧妙化させている。
例えば、困った状況にある親族を装った音声メッセージを送り、「急いでお金が必要だ」などとして銀行口座への送金を求める。
リトアニアのサイバーセキュリティ専門メディア「Cybernews」の編集長ユルギタ・ラピニテ氏は昨年、大紀元に対し、現在のAI音声クローン技術はあらかじめ用意された台本に沿って話すことはできるが、質問や返答にリアルタイムで自発的に応答することはできないと説明した。
そのため、ビッシングでは、あらかじめ録音・生成された音声メッセージが使われるという。

詐欺11 訪問詐欺
現在では以前ほど多くないものの、詐欺犯が突然自宅を訪れ、金銭や個人情報をだまし取ろうとするケースもある。
例えば、調査を装って生年月日などの個人情報を聞き出し、なりすましなどに悪用する。
また、慈善団体の関係者を名乗ったり、屋根の修理を持ちかけたり、保険や商品、サービスを売り込んだりして、手付金の支払いなどを理由に銀行口座やクレジットカードの情報を求めることもある。
詐欺12 住宅購入時の送金詐欺
住宅やマンションの購入では、新居を確実に手に入れようと支払いを急ぐあまり、冷静な判断ができなくなることがある。
詐欺犯はこうした状況につけ込み、メールやSMSで不動産仲介業者や住宅ローン担当者を装い、頭金や取引費用をだまし取る。
「振込先が直前に変更された」などと偽り、実際には詐欺犯自身の口座へ送金させる手口だ。
住宅購入時の送金詐欺は、住宅所有者を狙う数多くの詐欺の一つである。
詐欺13 偽の過払い詐欺
SNSが広く使われる現在、InstagramやTikTok、Facebookなどで見知らぬ人から声をかけられ、投稿した写真や動画を褒められることも珍しくない。
人は褒められると警戒心が緩みやすい。詐欺犯は「あなたの写真を使いたいので報酬を支払う」などと持ちかけ、小切手を送る。
その後、「誤って多く支払いすぎた」と偽り、小切手が入金される前に差額を返すよう求める。
別の手口では、「賞金に当選した」と知らせた上で、税金や手数料を先に支払うよう求めるケースもある。
詐欺14 前払い金詐欺
前払い金詐欺は、古くからある詐欺手口の一つで、ナイジェリアの犯罪者が考案したとされる。
「419詐欺」とも呼ばれ、その名称はナイジェリア刑法の詐欺に関する条文に由来する。また、「ナイジェリア王子詐欺」と呼ばれることもある。
この手口では、政府高官やその未亡人、亡くなった富豪の代理人を名乗る弁護士、あるいは巨額の資金をあなたの銀行口座に移したいという実業家などを装ったメールが届く。
手口にはさまざまなパターンがあるが、共通するのは、多額の利益を受け取れると持ちかけながら、事前に少額の「手数料」を支払うよう求める点だ。
こうした支払いをきっかけに、詐欺犯が被害者の口座にアクセスすることもある。
詐欺15 荷物の不在通知を装うSMS詐欺
現在では多くの人がネット通販を利用し、宅配便を受け取る機会も多い。そのため、UPSやFedEx、米郵便公社を名乗るSMSで「荷物を届けられなかった」と通知されても、不自然に感じにくい。
詐欺SMSでは、再配達の手続きとしてリンクをクリックするよう促す。
リンク先で個人情報を入力させたり、「確実に再配達するため」などとして前払いを求めたりして、金銭や情報をだまし取る。
詐欺16 有料道路料金を装う詐欺
米連邦通信委員会(FCC)は、有料道路の運営会社を装ったSMS詐欺について警告している。
メッセージでは、「通行料金が未払いになっている」「口座に未納金がある」などと通知する。中には、支払わなければ運転免許が停止されると脅すものもある。
こうしたメッセージでは、ギフトカードや電信送金など、通常とは異なる方法で通行料金を支払うよう求めることが多い。
送信元は海外の電話番号であることが多く、複数の電話番号が含まれる一斉送信の場合もある。
詐欺17 偽の求人詐欺
詐欺SMSには、例えば次のような文句が書かれている。
「週に30~60分働くだけで、月9千ドル(約143万円)以上稼ぎませんか?」
魅力的に聞こえるが、話がうますぎる場合は詐欺を疑う必要がある。こうしたSMSやメール、突然届くSNSのダイレクトメッセージの多くが詐欺だ。
「覆面調査員」などの求人を装うこともあるが、実際には給与を支払うふりをして、被害者の銀行口座情報を盗み取るのが狙いだ。

詐欺18 偽の請求通知詐欺
「お支払いありがとうございます」
詐欺犯はこうしたSMSやメールを送り、Amazon Primeの会員更新料やウイルス対策ソフトの料金など、高額な費用を支払ったと誤認させる。
メッセージには、注文のキャンセルや返金手続きを促すリンクが付いている。しかし実際には、リンクを開くとマルウェアをダウンロードさせたり、銀行口座の認証情報を入力させたりする。
詐欺19:「口座が不正利用された」詐欺
銀行口座が不正利用されたり、スマートフォンが乗っ取られたりした場合、金融機関の不正対策部門からSMSで警告が届くと思う人もいるだろう。
しかし、その警告を装ったSMS自体が詐欺の場合がある。実際には口座は不正利用されていない。
SMSに記載されたリンクを開いたり、電話番号にかけたりしてはいけない。詐欺犯の狙いは個人情報を盗むことだ。
詐欺20 偽のサブスクリプション更新詐欺
詐欺犯が、利用者の契約しているサービスや更新時期まで把握していることもある。
「このリンクから更新すれば割引を受けられる」などとSMSを送り、偽サイトへ誘導する。
狙いは、個人情報を盗んだり、マルウェアをダウンロードさせたりすることだ。
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