一般的な認識とは異なり、研究によると、米国では過去100年間にわたり、極端な暑さと寒さの双方が緩和する傾向が示されている。
米国の作家マーク・トウェインは、「困った事態に陥るのは、何も知らないからではない。思い込み(本当は違うこと)を絶対の事実だと信じ込んでいるからだ」という有名な言葉を残した。
同様に、データをさらに深く掘り下げていくと、一見したときとは異なる姿が浮かび上がることがある。元アラバマ大学の気候学者ジョン・クリスティ氏は、全米1200か所以上の気象観測所の記録を詳しく分析し、「極端な高温が以前より頻繁になっている」という一般的な認識に疑問を投げかけている。
今年春、学術誌『Theoretical and Applied Climatology』に掲載された同氏の報告書によると、データは極端な気温の増加を示しておらず、むしろ過去100年間で気温がより穏やかになってきたことを示しているという。
クリスティ氏はエポックタイムズに次のように語った。
「米国には体系的な観測記録があり、それを見ると、暑さという点では1920年代、30年代、50年代の極端な高温は、現在よりもはるかに深刻だったことが分かる」
「現在、いわば『1930年代』のような状況を経験している米国西部を含めたとしても、国内のほかの地域は同じような傾向をたどっていない」
「全体として見れば、全米規模の極端な現象が起きているわけではない」
米海洋大気庁(NOAA)は、1850年以降、平均気温が華氏2度(約1.1℃)上昇しており、その上昇ペースはここ数十年で加速しているとしている。
NOAAによると、2024年は世界的な観測記録が始まった1850年以来、最も気温の高い年となった。また、この期間における最も暖かかった10年間は、すべて2015年から2024年までの10年間に集中している。

その原因について、米海洋大気庁(NOAA)は「人間活動によって排出された温室効果ガスにより、地球が宇宙へ放出するエネルギーよりも多くのエネルギーを吸収するようになったため、地球の平均地表気温は上昇している」と説明している。
しかし、クリスティ氏の研究によると、米国では異常気象が増加しているどころか、全体として気温の極端さが和らぐ傾向がみられるという。NOAAの見解とは対照的に、クリスティ氏の分析では、1899年以降、極端な高温と極端な低温のいずれも減少していることが示されている。

アルゴリズムと極端な気温
クリスティ氏とNOAAが同じデータを見ているにもかかわらず、なぜこれほど大きな違いが生じるのだろうか。
クリスティ氏によると、その違いは主に二つの要因から生じている。第一に、NOAAのグラフが年間平均気温を示しているのに対し、クリスティ氏は最も暑い季節と最も寒い季節に記録された最高気温と最低気温に注目した。こうした極端な気温は、動植物が生きる「環境上の境界」を決めるものであるため、気候科学においてより重要だと同氏は述べている。
結果が異なる第二の理由について、クリスティ氏は、NOAAが誤りや異常値の可能性があると判断したデータを除外するアルゴリズムを使用していることを挙げた。
クリスティ氏の研究では、元の観測報告までさかのぼり、NOAAが計算から除外した極端な値のデータを収集した。
研究には1世紀以上にわたる気象観測所の記録が含まれている。初期の陸軍通信隊や気象局による手書きの記録から、現在の軍や連邦政府機関による観測データに至るまでを対象としており、これらはすべてNOAAが管理する中央ネットワークに集約されている。


クリスティ氏によると、NOAAの数値には疑問を感じる点があり、それがさらなる調査につながったという。NOAAのデータで近年の「観測史上最高気温」とされているものの一部が、自身の経験や記憶と一致しなかったためである。
「デジタル化された連邦政府のデータを調べていたところ、政府のウェブサイトには、オレゴン州ニューポートの観測史上最高気温は華氏94度(約34.4℃)と記載されていた」と、クリスティ氏は述べた。「私は西海岸で育ったので、この地域についてはよく知っていた」
そこで同氏は、その観測地点の手書きによる当時の気温記録までさかのぼって調査した。その結果、1925年6月に華氏100度(約37.8℃)を記録していただけでなく、ニューポートでは華氏94度を上回った日がほかにも10日あったことを突き止めた。
クリスティ氏は、こうした欠落していた数値をデータに加え、さらに全米1200か所以上の観測所の記録についても同様の調査を行った。

これらの極端な気温が誤記ではないことを確認するため、クリスティ氏は近隣のほかの観測所の記録と照合し、同様の気温が観測されていたことを確認した。
「これには膨大な量の手作業が必要になる。現在では、あらゆる処理がAIやコンピューターのアルゴリズムによって行われているため、こうした作業はほとんど行われていない」と同氏は述べた。しかし、元の観測データがなければ、「気候の本当の姿や、実際に起こる急激で極端な気温変化を正確に把握することはできない」という。
「私のデータセットは、連邦政府が科学研究者に提供しているものより、はるかに完全なものである」とクリスティ氏は述べた。
NOAAの広報責任者モニカ・アレン氏は、「NOAAは外部の研究結果についてコメントしない」とした上で、「NOAAでは、科学的に検証された品質保証アルゴリズムを使用し、誤りの可能性がある観測値を特定してフラグを付けている。また、観測所の移転や観測機器の変更といった自然現象以外の要因によって生じた可能性のある、各観測所の過去のデータにおける急激な変化も検出している」と説明した。
さらにアレン氏はエポックタイムズに対し、「NOAAは利用者からの情報提供も受け、過去のデータセットに含まれる誤った観測値の特定、検証、記録を行っている」と述べた。


しかし、アルゴリズムによって除外されたデータを再び取り入れ、平均気温ではなく極端な気温に焦点を当てたクリスティ氏の分析によると、極端な高温が最も多く記録された時期は、しばしば報じられている近年ではなく、1930年代だったという。
クリスティ氏によると、過去100年間で極端な暑さの発生は大幅には増えておらず、一方で極端な寒さは減少している。
そして、平均気温が上昇している主な要因は、極端な低温が和らいできたことにあるという。
都市化と夜間の放熱
さらに、クリスティ氏が確認した気温上昇の大部分は夜間に起きており、日中の気温はおおむね横ばいだった。同氏は、このことがCO2排出だけではない別の要因の影響を示しているのではないかと推測している。
「過去120年間で、夜間の気温は大幅に上昇した」とクリスティ氏は述べた。
「これは気象観測所周辺の人間による開発が原因である。夜間の気温は、日中の気温に比べて、駐車場や建物の建設、森林の伐採といった都市化の影響をはるかに受けやすいからだ」
同氏によると、過去100年間で、かつて農村部だった多くの気温観測地点にも都市化や郊外化が広がり、アスファルトやコンクリートの構造物が建設されるようになった。
こうした構造物は日中に熱を吸収し、夜間にその熱を放出する。さらに、かつて日陰を作っていた樹木が伐採されたことも影響しているという。
「これを温室効果ガスだけのせいにすることはできない。これらの観測所では都市化の影響があまりにも明白だからだ」と同氏は述べた。「都市のヒートアイランド現象を生み出すのに、大規模な開発は必要ない。農村部の観測所の隣に駐車場を一つ造るだけでも、ヒートアイランド現象は始まる」


クリスティ氏によると、気温の傾向は米国内でも一様ではなく、現在は西部の州で熱波が以前より多く発生している一方、東部の州では20世紀と比べて少なくなっているという。
しかし、メディア報道は最も気温が高い地域に焦点を当てる傾向があり、その結果、「極端な高温が全米で増加している」という一般の認識が強められていると同氏は指摘する。
クリスティ氏は、カリフォルニア州フレズノで育った10代の頃から気象パターンの解明に強い関心を持ち、その関心は大学で数学を学んでいた時代にも続いた。
大学卒業後、クリスティ氏はアフリカで気象観測所の設置に携わった。その後、イリノイ大学で気候力学の博士号を取得し、さらにアラバマ大学で数十年にわたり、大学生に大気科学を教えた。
クリスティ氏は、共著者のロイ・W・スペンサー氏とともに、1991年にNASAの「卓越した科学的功績メダル」を受賞した。また1996年には、「実用極軌道衛星を用いて地球の気温に関する全球的かつ精密な記録を構築し、気候を監視する能力を根本的に前進させた」功績により、米国気象学会から特別賞を授与された。
さらにクリスティ氏は、1990年代に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書作成にも貢献した。
「私は60年前に自分で記録したデータまでさかのぼることができる」とクリスティ氏は述べた。「そういう意味では、私は人生を通じて非常に多くの気候を自ら直接経験してきたのである」



異論を乗り越えて
クリスティ氏によると、今回の最新の研究成果を学術誌に掲載するまでの道のりは決して容易ではなかった。
「査読者たちは、論文を却下するための理由を何とか見つけようとしていた。それに対応するには、長い時間と多大な労力が必要だった」とクリスティ氏は述べた。
「私は多くの異論を乗り越えなければならなかった。そのため、『これがあなたの指摘だ。私はその指摘について検証した。その結果、それは正しくないことが分かった』ということを繰り返し示しながら、査読者を納得させる必要があった」
「ほかにも、どうしても掲載することができなかった論文がある。それは残念なことだ。なぜなら、このような研究の成果を世界の人々が目にする機会を失うことになるからだ」
今回の研究結果が、気候変動に対する米国人の見方に影響を与えるかどうかは分からないと、同氏は述べた。
「もし『極端な気象現象はますます悪化している』という考えが政治的信念になっているのであれば、それはほとんど宗教のようなものなので、その考えを変えるのは難しい」とクリスティ氏は述べた。
「しかし、先入観を持たずに情報を見ようとする人であれば、私が過去50年間取り組んできた役割は、可能な限り質の高いデータセットを構築し、まさにこうした問題について、そのデータに問いかけられるようにすることだった」
NOAAは、科学者がそれぞれの手法で分析できるよう、膨大な量のデータを公開している。

アレン氏によると、NOAAは「nClimGrid-Daily」プログラムを使用し、全球歴史気候ネットワークの日別データセット(GHCN-Daily)から得られたデータを分析している。
「このデータセットでは、米国の気温を分析する際に、広範囲にわたる多数の観測所の日別データを使用している。これにより、NOAAだけでなく、一般の利用者や科学界も、私たちが保有するデータを幅広く検証することができる」と、アレン氏は付け加えた。
アレン氏は、平均気温と極端な気温は「互いを補完する科学的な知見をもたらす」と述べた。
「平均気温は、極端な気象条件を特定するために用いられる過去の基準値を確立する。一方、極端な気温は、熱波や寒波などによって生じるリスクを評価するのに役立つ」と同氏は説明した。
NOAAが豊富なデータを提供しているにもかかわらず、クリスティ氏は、気候をめぐる主流の見解に疑問を呈する研究者にとって、研究助成金を獲得したり、論文を学術誌に掲載したりすることは難しいと考えている。
「気候変動のような問題に関しては、これほど異論に不寛容な分野はほとんどない」と同氏は述べた。
「しかし、ここアラバマにいられることには感謝している。ここでは今でも疑問を投げかけ、実際のデータを検証することができ、それを理由に職を失うこともないからだ」
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