中国 庶民に広がる怒りと絶望

給料未払いからごみ箱あさりまで 中国庶民の厳しい現実

2026/10/17 更新: 2026/10/17

中国では、テレビをつければ、祖国の偉大さをたたえ、経済発展や豊かな暮らしを紹介する番組が目につく。そして、その繁栄をもたらしたのは中国共産党の指導だと強調される。

しかし、そんな華やかな中国の裏側で、庶民はどんな暮らしをしているのか。

国有大手でも給料が支払われず、年金の保険料すら払えない人には、地方当局が銀行からの借金を勧める。街では高齢者だけでなく、働き盛りの若者までごみ箱を回り、捨てられた食べ物や廃品を探している。

10月12日、湖北省当局は国有建設大手「中国建築第七工程局」による賃金未払いを公表した。同社が手がける建設現場では、半年間に2度も賃金未払いが問題となり、対象者は当初の18人から118人に増加。未払い総額は約360万元(約8500万円)に達した。行政から是正を命じられても、期限内に改善されなかった。

同社は、世界有数の巨大国有建設グループ「中国建築集団」の中核企業だ。そんな大企業ですら、現場で汗を流した作業員に給料を払わず、行政の是正命令にも期限内に従わなかった。

ネット上では「行政が命令しても払わない。いったい誰が責任を取るのか」と、巨大国有企業の対応に怒りと疑問の声が広がっている。

一方、中国各地では、年金の保険料を払えない人に銀行からの借り入れを認める制度が登場している。

湖北省や重慶市などでは、収入が不安定な自営業者らが銀行からお金を借りて社会保険料を納め、将来受け取る年金から返済する仕組みが導入された。制度によっては、年金の65~80%が返済に充てられるという。

当局は生活に困る人を助ける制度として宣伝しているが、ネット上では「保険料も払えない人に、さらに借金を背負わせるのか」「老後の生活費まで銀行への返済に消えてしまう」と批判が噴出している。

さらに、中国のSNSでは、ごみ箱から食べ物を探す高齢者や子供、若者の映像が相次いで拡散している。

陝西省西安市では、市場が閉まる頃、大勢の人が捨てられた野菜を拾う様子も撮影された。夜中にヘッドライトを着け、道具を持って廃品を探し歩く若者もいる。ごみ箱が一晩に何度もあさられるほど、競争が激しくなっているとの投稿もある。

 

中国でごみ箱をあさり、食べ物や廃品を探す市民たち。(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

もちろん、ごみ箱から食べ物を探す人は日本やアメリカにもいる。こうした映像だけで中国全体の貧困状況を判断することはできない。

ただ、今回注目したいのは、本来なら働いて収入を得る世代まで、捨てられた物を拾って生活の足しにしようとしていることだ。若者の就職難や収入減が続く中国で、こうした映像が関心を集めている。

国有大手ですら給料を払わない。保険料を払えない人には借金を勧める。わずかな収入を求め、ごみ箱を回る若者もいる。

テレビが伝える「繁栄する中国」と、SNSに投稿される庶民の暮らし。その落差はあまりに大きい。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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