北京は2035年「3人に1人が高齢者」年金危機に懸念

2026/10/26 更新: 2026/10/26

中国では人口の高齢化が加速している。中国共産党(中共)当局によると、北京では2035年までに60歳以上が人口の3分の1を超え、重度高齢化社会に入る見通しだ。専門家は、長年続いた一人っ子政策などの人口抑制策に加え、年金制度が抱える構造的な問題により、年金財政の悪化が従来の予測より早く進み、経済の重荷になる恐れがあるとみている。

中共北京市委員会の機関紙が10月17日に、2025年末時点で、北京に常住する60歳以上の高齢者は528万8千人に達し、常住人口の24.3%を占めたと報じた。割合は2023年の22.6%、2024年の23.5%からさらに上昇している。

当局は、2035年には60歳以上の割合が33%を超え、3人に1人が高齢者になると予測している。60歳以上が人口の30%を超えると、重度高齢化の段階に入るとされる。

中国投資市場の専門家、徐真氏は、北京で高齢化が急速に進んでいる背景には、主に人為的な要因があり、人口管理政策や高い生活コストが深く関係しているとみている。

徐氏は彭真の時代に『地主・富農・反革命分子・悪質分子・右派』を排除した時から、蔡奇の時代に低所得・低学歴の都市出稼ぎ労働者を排除した時まで、北京では一貫して外来人口を必要な時だけ利用し、その後排除してきたと指摘した。

また、「追い出されたのは、まさに最も若い労働力だ。二つ目は戸籍制度という壁だ。北京の戸籍は取得が非常に難しく、戸籍がなければ子どもの就学や住宅購入など、さまざまな面で制約を受ける。若者は数年働くと北京を離れ、定着しようとはしない。三つ目は住宅価格だ。住宅を買うには家族6人分の蓄えをつぎ込まなければならず、賃貸でも月給の半分が家賃に消える。若者は住み続けることが難しく、子どもを持つことにも踏み切れない」との見方を示した。

北京の状況は、中国全体の人口変化を映す縮図にすぎない。

公式統計によると、2025年の中国の出生数は792万人にとどまった一方、死亡者数は1131万人に達した。人口は339万人減り、4年連続で減少した。一方、60歳以上の人口は3億2300万人に達し、総人口の23%を占めている。

また、0~15歳の割合は16.4%で、65歳以上をわずか0.5ポイント上回るにすぎない。高齢者を60歳以上とすれば、高齢者の割合はすでに若年人口を大きく上回っている。

徐真氏は「1960年代、70年代生まれの世代が相次いで退職期を迎える一方、出生数は急激に落ち込んでいる。北京は、中国全体が今後直面する人口構造の変化を先取りしている。『前の世代が木を植え、後の世代がその恩恵を受ける』という言葉があるが、中共はむしろ、後の世代に重い負担を残した。数十年にわたる一人っ子政策によって、人口構造は逆ピラミッド型になった。年金を支える現役世代は減り、受給者は増える。年金財政の収支悪化は避けられない」と述べた。

中国社会科学院が2019年に発表した研究では、都市部の企業従業員を対象とする年金について、2028年にも単年度収支が赤字に転じ、2035年には累積残高を使い果たすとの試算が示された。

人口構造の変化に対応するため、中共は出産を促す補助制度を導入する一方、2025年から法定退職年齢を段階的に引き上げている。さらに、2030年から基礎年金を受給するための最低納付期間を、15年から段階的に20年へ延長する計画だ。

米国の経済学者、黄大衛氏は、定年延長や出産奨励策には限界があり、中国が長期的に抱える年金問題の解決にはつながりにくいとみている。

「今生まれた子どもが、今後10年間の年金支払いを支えることはできない。高齢者の増加が、現在の出生数を大きく上回っているからだ。退職年齢を引き上げたからといって、それに見合う雇用が確保されるとは限らない。2035年に年金の積立金が底をつくという警告は、今も現実味があると思う。実際には、それより早まることもあり得る」

中共官製メディアが高齢化問題を報じる際には、介護施設の整備や「シルバー経済」の発展に重点を置くことが多い。

一方、黄氏は、年金制度を長期的に維持できるかどうかに加え、政府・国有部門と、それ以外の「体制外」、さらに都市部と農村部の間にある年金給付の格差も避けて通れない問題だと指摘している。

「年金の大部分は体制内の人々に使われ、一般市民が受ける恩恵は限られている。中国の年金制度は二重制度となっており、欧米の年金制度とは仕組みが異なる。行政支出を減らさず、中国の政治・経済構造も変えないのであれば、年金問題を解決することはできない」

国際通貨基金が以前発表した研究報告書では、人口高齢化だけでも、中国の2024~2050年の年間平均GDP成長率を約2ポイント押し下げると試算した。同時に年金支出も膨らみ、GDPに占める割合は10ポイント近く上昇すると見込んでいる。

関連特集: 中国