中共5中全会で大規模粛清か 習近平が陳希の「陳家軍」を標的に=専門家

2026/10/27 更新: 2026/10/27

中国共産党(中共)の第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が10月26日、北京で始まった。会議は29日まで非公開で行われ、党内で新たな大規模粛清が行われるのかに注目が集まっている。オーストラリア在住の法学者、袁紅氷氏は、今回の粛清は習近平政権の人事を長年取り仕切ってきた陳希が築いた勢力「陳家軍」を主な標的にしていると分析した。

袁紅氷氏は10月26日、大紀元の取材に対し、過去3年間にわたる大規模な粛清に続き、中共が今回の5中全会で「全面的な厳しい党内統治」を名目に新たな粛清を進めようとしているのは、党幹部に習近平への「絶対的忠誠」を徹底するためだと述べた。

袁氏によると、今回の政治的粛清で真っ先に標的となるのは陳希であり、より正確には陳希が10年以上前に、中央組織部の実権を握って以来育ててきた勢力だという。

「今回の5中全会で進められる大規模な粛清は、やみくもに行われるものではない。狙いは極めて明確で、陳希が中央の組織・人事を取り仕切っていた時期に育て上げた『陳家軍』を一掃することだ」

中共の機関誌『求是』は15日、習近平が今年1月12日の第20期中央規律検査委員会第5回全体会議で行った演説を掲載した。習近平は、腐敗が依然として「最大のリスク、最大の脅威、最大の試練」だと強調し、表向きは忠誠を示しながら、裏では別の思惑を抱く「二面人」への警戒も求めた。

10月22日に失脚した北京市党委員会常務委員兼筆頭副市長の夏林茂と、今年6月に失脚した北京市政治協商会議主席の魏小東は、いずれも陳希に近い人物だ。一方、同じ福建派に属する政治局常務委員の蔡奇とも密接な関係にあるという。

習近平の人事を支えた陳希 中央組織部で築いた人脈

陳希は福建省莆田市の出身で、清華大学化学系に在籍していた当時、習近平と同級生だった。陳希は清華大学の幹部だった時期、習近平の博士号取得を支援したとされる。習近平も権力を掌握した後、陳希を要職へと引き立ててきた。

陳希は2013~17年まで中央組織部で日常業務を統括する副部長を務め、2017年からは中央政治局委員、中央書記処書記、中央組織部長、中央党校校長を兼任した。

2022年10月23日、当時69歳だった陳希は第20期中央委員会第1回全体会議後に政治局委員と中央書記処書記を退任した。ただし、中央組織部長の職を離れたのは翌2023年4月だった。

今年6月には、70歳を超えた蔡奇が、73歳を迎えようとしていた陳希に代わり、中央党校校長と国家行政学院院長を兼任することになった。この人事を異例とみる向きもある。

袁紅氷氏は、2022年の第20回党大会後、習近平は軍から党・政府機関に至るまで、自らに近い幹部で固めたと考えていたと分析している。

しかし、袁氏によると、党大会から半年もたたないうちに、李尚福と魏鳳和の政治的な不忠誠をめぐる重大な問題が明るみに出た。その後、苗華と何衛東についても、政治的に不忠誠で、問題の性質が極めて深刻だとされる事件が発覚し、さらに張又侠による「反乱」へと続いたという。

袁氏は、こうした一連の出来事が習近平に深刻な政治的打撃を与えたと指摘。その衝撃は、かつて林彪事件が毛沢東に与えたものに匹敵すると分析した。

「習家軍」の内部で進む粛清 狙いは陳希の影響力排除か

袁氏によれば、張又侠が軍内部における習近平の最後の重要な支えだったのに対し、陳希は党・政府機関で習近平政権を支える重要人物だった。

しかし、陳希は中央組織部や中央党校を率いていた時期、人事権を利用し、習近平にとって脅威となり得る幹部を引き立て、庇護してきたという。

袁氏は、習近平の側近とされてきた幹部も、実際には陳希が育てた「陳家軍」だったと指摘した。

そのため袁氏は、習近平が陳希の影響力を排除するため、陳希が人事に関わった党・政府の幹部に対する大規模な粛清に乗り出すとみている。

袁氏はまた、習近平が2027年の第21回党大会までに、自らに絶対的な忠誠を誓う幹部を新たに育てようとしていると分析する。

ただ、現在の中共内部には、表向きは忠誠を示しながら本心では従わない「二面人」が至る所におり、習近平に心から忠誠を誓う人物はいないと主張した。そのため、習近平は秘密警察を使った監視と統制に頼って、個人独裁体制を維持するしかないという。

陳希への直接処分は回避か 専門家が狙いを分析

陳希が中央党校校長を退任した後、インターネット上では、副国家級から副庁級へと大幅に格下げされたうえで引退したとの情報が一時広まった。

しかし、陳希は8月17日、当局が開催した江沢民の生誕記念行事に姿を見せた。さらに9月30日には、中秋節の連休の祝賀レセプションにも出席し、楊潔篪らと同じテーブルに着いていた。このことから、副国家級の待遇は少なくとも現時点では維持されているとみられる。

袁紅氷氏は、陳希の置かれた状況は、習近平政権発足後、最初の中央規律検査委員会書記を務めた王岐山に似ていると指摘した。

習近平は、両者が登用した幹部や側近を次々と排除する一方、本人に対しては同じような対応を取る可能性があるという。

袁氏は、陳希や王岐山が事実上の軟禁状態にあるか、行動を厳しく制限している可能性があるとの見方を示した。

また、習近平がこうした古参幹部への厳しい処分を控えているのは、第21回党大会を前に大きな政治的混乱が起きるのを防ぐためだと分析した。

袁氏によると、習近平は第21回党大会での再任を確実にし、さらには終身にわたる権力維持まで視野に入れているという。

唐兵
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。
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