2026年米中間選挙 5つのポイント

2026/11/05 更新: 2026/11/05

民主党が連邦議会の主導権を奪回し、国内の民意の変化を印象づけた。

民主党は11月3日の選挙で地滑り的勝利を収め、上下両院の過半数を獲得したほか、少なくとも4つの州で知事ポストを奪取した。

現職大統領の与党が中間選挙で議席を減らすこと自体は珍しくないが、その規模には濃淡がある。

上院において、民主党は南部や中西部で共和党が長年維持してきた議席を覆した。

投開票日に起きた出来事と、専門家が分析する今後2年間の展望は以下の通りである。

 

「青い波」の到来

11月3日、全米を「青い波(民主党躍進の波)」が襲った。民主党は上院で6議席を上積みして多数派を奪還した。波は下院にも及び、民主党は20議席以上を新たに獲得した。

この夜、最初に当選確実が出たのはノースカロライナ州で、民主党のロイ・クーパー前州知事が共和党全国委員会(RNC)のマイケル・ワットリー前委員長を破った。

サウスカロライナ州では、民主党で小児科医のアニー・アンドリューズが、現職のダーリン・グラハム共和党上院議員を破った。グラハム議員は今年初めに死去した実兄のリンジー・グラハム元上院議員(共和党・サウスカロライナ州)の議席を引き継いでいた。

カンザス州の牧師で民主党のアダム・ハミルトンは、現職のロジャー・マーシャル共和党上院議員を破り、同州選出の上院議員としては94年ぶりとなる民主党員となった。

最大の波乱はおそらくテキサス州で起きた。民主党の州下院議員ジェームズ・タラリコが、共和党の州司法長官ケン・パクストンを破った。タラリコは、1971年から1993年まで務めたロイド・ベンツェン以来となる、同州選出の民主党上院議員となる。

オハイオ州では、民主党のシェロッド・ブラウンが上院補欠選挙で現職のジョン・ヒューステッド上院議員(共和党・オハイオ州)を破り、上院への復帰を決めた。この選挙はJD・ヴァンス副大統領の上院任期の残り2年を埋めるために行われた。ブラウンは2007年から2025年まで同州選出の上院議員を務めていた。

アイオワ州では、民主党の州下院議員ジョシュ・トゥレックが共和党のアシュリー・ヒンソン下院議員を破り、不出馬を表明していたジョニ・アーンスト共和党上院議員の空席を獲得した。同州選出の民主党上院議員は、2015年に引退したトム・ハーキン以来となる。

サウスカロライナ州チャールストンのチャールストン・マリオットで2026年11月3日に行われた選挙開票速報パーティーで、上院議員に選出されたアニー・アンドリュース氏(サウスカロライナ州選出)が演説を行った(Win McNamee/Getty Images)

下院では、2024年の選挙でトランプが2桁の得票差で勝利した選挙区の一部でも、民主党が議席を奪った。

 

経済と支持率が結果を左右

専門家は、中間選挙の結果を左右する要因として「現職大統領の支持率」と「経済」の2つを挙げる。今回、その双方が共和党にとって極めて不利に働いた。

ロイター/イプソスの世論調査によると、登録有権者の約48%が、今回の選挙で最大の争点は生活費であると回答した。全米自動車協会(AAA)によれば、11月3日のガソリン価格は1ガロンあたり平均約4.15ドルと、選挙日としては過去最高を記録した。

出口調査でも、有権者の意識に経済問題が重くのしかかっていたことが裏付けられた。調査対象となった有権者の87%が給油時の支払いに不安を感じていると答え、インフレについては57%が「適度な生活苦」をもたらしていると回答した。

リアル・クリア・ポリティクスが集計した世論調査の平均値によると、大統領の職務支持率は選挙当日で39%にとどまっていた。

ノートルダム大学の政治学教授ケン・コールマンはエポックタイムズに対し、「共和党にとってのファンダメンタルズ(基礎的条件)は、考え得る限り最悪に近い状態だった」と語った。

ダーリーン・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)は、2026年10月30日、サウスカロライナ州コロンビアのパルメット州立兵器庫で行われた選挙運動イベントで、9mmピストルを手に持ちながら販売員と話をしている(Win McNamee/Getty Images)

それでも、選挙結果における最大の要因は大統領本人にあったと、サザンメソジスト大学の政治学教授マシュー・ウィルソンは指摘する。

「大局的に見て、この結果を招いた主な張本人は大統領だ」とウィルソンは述べる。国民の幅広い支持を得られていない強制送還政策やイランとの戦争に加え、共和党の岩盤支持層には人気があるものの一般有権者への訴求力に欠けるケン・パクストンやダーリン・グラハムといった候補者を擁立した点を取り上げた。

 

民主党支持者の結集

今回の中間選挙における期日前投票は中間選挙としては過去最高を記録し、投開票日前に投じられた票は6100万票に達した。前回の中間選挙と比べて約1500万票の増加である。

期日前投票者の党派登録を公表している州では、民主党員(42%)が共和党員(33%)を上回った。これは2022年の水準とおおむね一致している。

この勢いは投票日当日も続いたと見られる。

「投票率は非常に高く、特に民主党側で高かった」とウィルソンは述べる。「民主党支持者はトランプ政権への不満を表明しようと手ぐすねを引いていた」

共和党側にはそうした熱意が見られず、今年は投票を見送った有権者も多かったと見られる。

テキサス州の共和党ストラテジスト、ジョセフ・ロペスはエポックタイムズに対し、「共和党の熱心な支持層の間には明らかな無気力感が漂っている」と語った。

 

トランプ大統領の反応

ドナルド・トランプ大統領は、党の敗北に対して反発と現実的な態度を交互に見せた。

自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」上では、おおむね反発の姿勢を崩さなかった。大統領は、自身が投票用紙に載っていれば共和党は勝利していただろうと述べた。

また、フォックス・ニュースがビル・デブラシオ前ニューヨーク市長ら民主党員を定期的に出演させ、政権を批判させたとして同局を非難した。

さらに、落選したテキサス州のグレッグ・アボット共和党知事について、「政治生命の最後の6カ月間で『名ばかりの共和党員(RINO:Republican In Name Only)』に成り下がっていなければ、負けることはなかった」と投稿した。

大統領はまた、赤色の「MAGA」キャップの文字が「VETO(拒否権)」に変えられた写真を投稿した。VETO(ヴェト)とは、合衆国憲法に基づき、議会が可決した法案を大統領が承認せず、成立を阻止・差し戻す権限である。

2026年11月3日、アイオワ州デモインのヒルトン・デモイン・ダウンタウンで、アイオワ州共和党員との中間選挙開票速報パーティー開始前に、額装されたドナルド・トランプ米大統領の写真(Anna Moneymaker/Getty Images)

一方、フォックス・ニュースに出演して選挙結果について語った際、トランプの態度はやや異なっていた。大統領は選挙結果を受け入れ、勝利した民主党に祝意を述べた。しかし、一定の一線は引いた。

一部の課題では民主党と協力可能であるとしつつも、国境警備やトランスジェンダー問題などでは対立が予想されると述べた。また、中間選挙の結果を受けて閣僚を交代させることはないとも言及した。

選挙結果の責任について、トランプは「単なる一時点にすぎない。……そういうこともある。そういう空気が流れていたのだろう」と語った。

2026年11月3日、ウェスティン・ギャラリア・ダラスで開催された、共和党候補ケン・パクストン氏の中間選挙開票速報パーティーで、テキサス州上院議員選挙の結果を待つ参加者たち(Ricardo Arduengo/AFP via Getty Images)

アメリカン・エンタープライズ研究所の政治学者でシニアフェローのケビン・コーサーは、大統領に対する有権者の「大規模な拒絶」だったとの見方を示し、トランプ自身が自分が出馬しているつもりで投票するよう呼びかけていた点を指摘した。

 

共和党の今後の行方

アナリストらは、今回の中間選挙の結果を受けてワシントンが政治的停滞(グリッドロック)に陥ると予測している。

多数派を握った下院がトランプ政権への調査・追及を本格化させる一方で、トランプ側は議会を介さない大統領令を連発して強気で政権運営を進める見通しだ。さらに、トランプ自身も民主党が通す法案をことごとく拒否権で潰す構えを見せている。

こうした大敗を受け、ロペスは「共和党内での敗因の追究と責任の擦り付け合いは、凄まじい嵐になるだろう」と指摘した。

10月9日、米ワシントンの連邦議会議事堂(Madalina Kilroy/The Epoch Times)

議席の喪失にとどまらず、党は2024年に共和党支持へと傾いた一部の有権者、特にヒスパニック層における求心力の低下にも対処しなければならない。

政治学者のデュッソは、「共和党は全米人口の約20%を占める層に大きく食い込んだ。しかし、それは完全に台無しにされた」と指摘する。

2026年11月3日、テキサス州オースティンのロング・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツで開催された民主党中間選挙開票速報パーティーで、投票結果グラフの前で人々がシルエットとなって浮かび上がっている(Ronaldo Schemidt/AFP via Getty Images)

そして今回の選挙が終わり、次の大統領選まではあと2年となった。

「『ポスト・トランプ』の未来がどうあるべきかをめぐる共和党内の争いは、明日から始まる」「その行方は極めて注目に値するものになるだろう」とウィルソンは述べる。

大紀元のワシントン特派員。 ワシントン政治を中心に、政治とスポーツ、スポーツと文化の交差点についても取材・報道を行っている。 過去には、Mediaiteのライターや、Jewish News Syndicateのワシントン特派員を務めた。 また、The Washington Examinerにも寄稿したことある。 ジョージ・ワシントン大学卒業。
エポックタイムズの政治記者
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