【連載小説】UFOと老人 最終回
とたん、辺りが隅々まではっきり見えるのに気がついた。普通の朝ではないのだ。邦男はやっと、情景の異常さに気づき、上空をキッと見上げた。光に染まった大きな円盤が空を覆っていた
【連載小説】UFOと老人 第4回
邦男の脳裏にはまざまざと六十五年前のスミがよみがえっていた。スミが嫁に来てくれるとうなずいたときのあの静かな目だ
【連載小説】UFOと老人 第三回
再び、今の邦男は家を飛び出し、スミの駄菓子屋を目指していた。窮地に陥ると、笑ってごまかすのは十の時から世間の荒波を渡ってきた習いだ。木立の影が被さる駄菓子屋の入り口をニカニカしながら入るや否や、邦男はサラッとたずねた。
【連載小説】UFOと老人 第二話
スミと結婚すると言い出したのはちょうどその頃である。付き合った連中が悪かったのか、そもそもませたガキだったのか。戦時中はもちろん男女席を同じゅうせず。それが打って変り、キスシーンが売りのアメリカ映画に毒されて、子供のころからいっしょに育った近所のスミに狙いを定めたとしても、致し方無かったのかも知れない。
実は、スミのほうもまんざらではなかったらしい。十歳の時に寂れた神社で二人っきりになって以来の、ほのかな思慕があったというのだから分からないものである。いずれにしろ二人は若すぎた。邦男の父母に大反対されて、怒った彼は、その時から十八になるまで家出して、行方不明となった。
【連載小説】UFOと老人 第一話
駄菓子屋六十五年の薄暗がりは昭和の匂いでできている。店前にはビー玉とベーゴマが並べられ、真ん中に狭い通路。その右側に置かれているのはくじびき景品付き駄菓子などでニッキのジュースが今なお並び、左にはガンダムとゼロ戦のプラモがごちゃごちゃと重ねてあった
「腰に手を当て、胸を張って飲む」体に良い牛乳のおはなし
半世紀ぐらい前のことです。昭和時代の中期だと思ってください。
ちょうど今のような、夏休み期間中の思い出です。学校のある普段はあまり気がつかないのですが、朝方の心地よい涼しさにひかれて早起きすると、楽しい「町の音」が聞こえてきます。
美智子さまの手を取った陛下 平成最後の1日
退位に伴う「退位礼正殿の儀」が30日、宮殿「松の間」で行われた。陛下は、在位中最後のお言葉を述べられた。
新コラム【人生つづれ織り】(1) 看板建築の岡昌裏地ボタン店 店主・岡武夫さん
【大紀元日本9月4日】 新コラムのスタートにあたって つづれ織りとは、古代より伝わる織物装飾の一種で、英語で言うタペストリーのことです。この芸術の歴史は古く、古代エジプトや古代中国、南米インカ帝国の