ファンタジー:個人タクシー「金遁雲」の冒険独白(その4前編)
【大紀元日本6月23日】その日は朝から何やら胸騒ぎがして、夏場の早朝、午前五時頃に雲間から降りて来て、外苑の秩父宮体育館近辺で金遁雲号を停めていた。辺りはまだ人影がまばらで、もとより同業者たちの姿は
ファンタジー:個人タクシー「金遁雲」の冒険独白(2)
私がここ東京で個人タクシーなる人間稼業をするようになり、早数日が過ぎた。季節は蒸し暑い夏を迎えようとしている。午前中の陽気が満ち溢れ、油蝉がジィージィーと泣き始める頃、私はいつものように天空の雲の裂け目から金遁雲号に乗って降りてきて、明治神宮外苑のあたりでこれを物質化した。すると、表の大通りからいい白湯の匂いがしてきた。ふと日本人たちが好む柳麺などを食してみたくなった。