中国江蘇省:労働改造農場、1万人大暴動

2005/12/19 更新: 2005/12/19

【大紀元日本12月19日】江蘇省北部にある大豊労働改造農場は10月16日、1万人以上の大暴動事件が発生した。今回の暴動で、500人以上の負傷者が出ており、千三百名の囚人が逃走し、近年中国での労働改造農場の最大規模の暴動事件となった。国務院は江蘇省及び近隣の安徽省、山東省の三省から二万人以上の警察を動員し、道路や水路を封鎖し切断して逃走者を捜査すると命じたが、10月末現在、650人が行方不明。香港・中国政情誌「争鳴」11月号が伝えた。

大豊労働改造農場

江蘇省北部にある大豊労働改造(注:共産体制の国で思想改造や洗脳の目的に人々を監禁して強制労働させる制度)農場は黄海に面し、中国の八大労働改造農場の一つ。1957年に上海市、江蘇省公安部と司法部により設立し管轄されている。

江蘇省北部の大豊県にある当所は、元々海水沖積でできた塩土地と沼地だったが、50年代末江蘇省、上海市、浙江省、安徽省、山東省の各省から右派と定められた若者たちの手によって開拓された。ピーク時で当時4万人以上もの「右派者」がここで労働改造されたという。60年代中期には労働改造農場に変身し、「スパイ、反逆者、資本主義向けの党派と革命者」といった者を監禁するところになった。ピークの1969年は10万人も監禁された。

当時、農場の名前は「大豊」労働改造農場だったが、「大」は偉大なる指導者の毛沢東に反する意味がされやすいため、本来の「大豊」の名を「海豊」にしたが、1985年に地名に沿って再び大豊労働改造農場という名に戻した。

農場の敷地は、20数万エーカーを占め、十数棟の水産品、農副産品の加工工場を持つという。ここでは刑期満了からそのまま就職した者が二万人いるほか、江蘇、安徽、上海、山東三省一市から刑期5年以上、十年以下の若い受刑者が常に服役している。

「代休」を取り消されたことで、大暴動に

事件のきっかけは、農場の管理側が、元々約束した10月16日の代休を取り消した原因にあった。管理側が、祭日において市場の農産品の需要を満たすため、10月1日、2日の連休を取り消し、代わりに受刑者に当月16日に代休とすると約束した。しかし、当日になって、長官は臨時的に代休を取り消す命令を出した上、これは受刑者が「表現(名誉模範)」を目指す」ために自主的に代休を放棄する結果であると解釈した。こうして管理側の無理な強圧、詐欺からの不満に対し大暴動の引き金となった。

16日朝、約一万五千名の受刑者は広場に集合し、代休を取り消された理由を長官に求めた。受刑者たちは「人権、守則、正義」と要求した。午前11時に長官が現れ、「守則」という内容を読み上げ、集会に参加した者を「反乱」、「反改造」、「暴動」とでっち上げた。これに不満を抱いた群集の一人が「認めるのか?」と声を出したところ、大勢が「認めない、絶対認めない」と口を揃えた。長官は制し切れないと見ると「10分以内で改造抵抗をやめ、各自の部隊に戻れ」と命じたが、群れからまた「妥協するものか?」「絶対妥協しない!」と群衆は叫んだ。さらに、「公安に会わせろ、司法長官に会わせろ!」「人権侵犯に反対、詐欺に反対!」「長官を変えろ!」と受刑者らが抗議の声が次々に出た。10分後、警察が発砲して威嚇したが、抗議者らが手をつなぎ、列を作って立ち向かった。

現場を抑えきれない警察は、受刑者の人数を考えると勝ち目が無いので、応援が来たら取り締まるという方法をとった。受刑者側は警察からの誠意が見えないので、12時頃、5階の事務所に乱入しはじめ、長官室に入った。駐在警察200人と監視員500人は、応援が今かと待ち望みながら、慌てて鎮圧をし始めた

この暴動では、建物にある5階の事務所が全壊し、20数台のトラックが壊され、10数台のジープ、オフロードが盗まれた。盗難車は受刑者に逃走用として奪い取られたか、監視員が混乱時の機に乗じ自分のものにしたのかいろいろな説が出た。

中共当局よる暴動鎮圧の命令

10月16日午後、江蘇省党書記の李源溯と公安部副部長の劉金国はそれぞれが暴動鎮圧の指揮を取り、鎮圧命令を下達した:

①24時間以内、暴動を抑え、秩序を戻す②48時間以内、逃走者と失踪者を逮捕する③農場の管理問題を整頓し検討する。

当局は近隣の淮陰県と塩城市からおよそ5千人規模の軍隊を百数台の軍用車に割り当て現場に派遣しており、さらに泰州市から3千名の警察を大豊の左右両面に手配した。江蘇省辺境の守備隊は六艘の哨戒艇を出動させ水路を封鎖した。圧倒的な軍事力で大豊労働改造農場の大暴動を鎮圧させた。

この事件で、負傷者が500人以上出たほか、怪我や死亡の警察と監視員を合わせると約130人になったという。

その後、大豊労働改造農場の周辺通路は軍によって封鎖された。

暗黒の監獄と労働改造農場

この10年間で、中国大陸の監獄と改造労働農場では暴動や騒乱などの事件が続発しており、その原因は劣等な環境や、監視員の素質の低さや、基本的な人権さえも保障できない、受刑人に対する虐待など。今年だけ、江西省九江、萍郷監獄、雲南省思茅農場、陜西省榆林監獄、河北省石家莊監獄、河南省開封刑務所、黒龍江省チチハル刑務所など、暴動と騒乱が発生したという。

経済効果を最重視の中、農場職員らが受刑者に金をゆすったり、その家族からの送金を横取りしたり、「表現評価」を理由に、金銭的な取引を行わせ、受刑人に対する待遇を差別したりしている。公安と司法部門とが共謀して、一時出所の医療証明書を売り物にすることもある(受刑者の経済状況によって、5万元から5百万元くらいまでという)。

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