【大紀元日本6月28日】中華正統文化を世界に広げる目的で、海外華人向け中国語放送の新唐人テレビ局主催の「全世界中国舞踊大会」が7月上旬に米ニューヨーク大学で開催することに、同校中国留学生親睦会および研究者から開催反対を受けたが、背景に中共当局が操ることが分かった。英国シンクタンク「ストラテジック・インテリジェンス・フォーラム」によると、欧米で諜報活動する中国人留学生は増加しており、一大脅威になっているという。
昨年12月に発表された報告「中国スパイは一大脅威」で、欧米の情報関係部門は、このほど、中国人産業スパイ事件の提訴が増加しているが、この現象は西側社会の経済と安全を脅かす氷山の一角に過ぎないと指摘。一方、北京側は経済競争を勝ち抜くために、これまでと異なり、専業のスパイではない一般の在外中国人から情報を集める手法に切り替えているという。
資料の中で、注意すべきであると特に言及された次の3項目を取り上げて、説明することにした。
1.2006年は、産業スパイが著しく増加した。
2.中国人学者、留学生、訪問代表団が情報収集し、中国共産党(中共)へ提供している疑いがあり、人数も増えている。
3.中国当局が在外中国人に圧力をかけ、情報提供を強要する。
*学生や学者を諜報員に
報告では、「学生や学者を諜報活動に仕向ける」ことについて、米国では経済または科学技術関連情報約400件が実際に、中国へ不法に移転されたという。
しかし、米当局は、スパイ活動を行っている中国人の多くは、専業の諜報員ではないことから、西側各大学に留学している中国人学生や研究している学者または、政府関係の商務代表者に目を光らせている。連邦調査局の統計によると、米国を拠点とする中国企業3千社は、実際「商社」という看板を掲げてスパイ活動を行っているという。これらの企業の大多数がシリコン・バレーにあるという。
一方、英国当局も、中国のスパイ活動に強く関心を寄せており、2005年末、英国安全部門は、中国人諜報員が英国内で収集した情報はすでに英国の経済安全を脅かしていると指摘した。また、スウェーデンも同様に関心を寄せており、2005年5月、交流目的にスウェーデンの大学を訪れた中国人学者が、アクセス権限を与えられていないデータ・ファイルを盗んだ疑いがあると指摘された。
2005年7月、ベルギーへ亡命した中国人諜報員は、中国当局が「中国人留学生親睦会」を隠れ蓑に、スパイ活動を行っていることを明らかにした。欧州連合の多くの加盟国も同件について、強い関心を寄せている。
「ストラテジック・インテリジェンス・フォーラム」によると、中国人留学生は今後も増加すると予測しており、実際、英国のある大学に入学した留学生は、6割以上が中国からであるという。これらの留学生は、中国政府機関や企業の援助で海外に出ていることから、中国当局とは密接に連絡をとりあっていることが分かる。中国当局が留学生を通じて、所在国の経済情報を収集していることは、西側社会にとって最大の脅威であるとしている。
*中国人留学生の諜報活動、欧州の実例
シンクタンクの「欧州戦略情報・安全センター」は2005年5月、ベルギー国内のある中国人学生が運営するウェブ・サイトは、北欧の数カ国においてスパイ活動を行っていると指摘し、関係者らに対して、すでに2年間監視していると発表した。また、同ウェブ・サイト運営する中国人グループは、対外的に親睦組織を設立し、学生たちやアルバイトを募って北欧各地に諜報員を配置しているという。
前出のベルギーへ亡命した元留学生自身も、働きながら学ぶ留学生であり、欧州の大学や会社勤めで10年間過ごしたという。この元留学生は、ベルギーのカトリック・ルバイン大学(Catholic University of Louvain)にある中国人留学生親睦会の会員だった。
元留学生の話によると、中国は全ヨーロッパに産業スパイを配置していると明らかにした。元留学生は数百人の中国人諜報員の詳細情報をベルギー政府へ提出した。「欧州戦略情報および安全センター」は、スパイは主に工業経済情報を収集しているが、民主活動家や中国政府を批判する者たちの情報も北京および中共安全部へ提出している。
一方、中国武漢から来た黄麗麗氏は2002年に仏コンピネ技術大学(UTC,Compiegne)理工学科を専攻終了後、車の部品製造で世界的に有名なValeo社へ研修した。
同年4月29日、黄氏は「企業機密窃盗」容疑で仏警察に拘留された。本人はスパイ活動を否認したが、自宅で研修報告書を作成するために、会社の資料をダウンロードしたと説明し、自分の行為は違法であるとは知らなかったと弁明した。黄氏は53日間拘留されたのち、解放された。内情の知る者は「この案件の真相は、永遠に解けないであろう」とコメントした。
*中国人留学生の諜報活動、米国の実例
米紙「ワシントン・ポスト」は2003年8月、「中国人留学生にスパイ容疑」のタイトルで、米国に留学した中国人留学生2人が、米国防科学技術情報を中国軍部へ提供したことを報道した。
米FBI調査官は、中国政府は米国にいる先端科学技術を研究している者を利用し、米企業に潜入させ、機密情報を盗ませるという中国当局の手口を分析し、中国人による軍事用科学技術の情報収集の典型的な事例だと指摘した。当時、収集された情報は、中国軍部において超磁歪素子「Terfenol-D」の材料を製造することができる。米国海軍が数千万米ドルを費やして研究し、ようやく開発されたものだという。
留学生2人は、それぞれアイオワ州立大学で研究し、同校のエネルギー学科実験室と密接な関係を築いており、ここで70年代に海軍が発明した同類新型素材を開発した。
もう1つの事例は、同じく米国に留学した学生2人が潜水艦に関する技術情報を中国軍部にいる親戚に渡したという。彼らは帰国後、自ら会社を立ち上げるか、または、軍部に対して情報提供を継続するかになる。
2003年2月、「ニューヨーク・タイムス」によると、米FBIシニア調査員は、中国人留学生および研究者を観察する専門チームの計画を立てているという。調査員によると、中国政府は、特に核粒子、物理など先端領域に関する情報を留学生に収集させているという。
*留学生の身分は隠れ蓑
国際共産主義の研究で著名な米政治学者ロジャー・キャンフィールド(Roger Canfield)博士は、著作「チャイナ・トレーダーズ(China Traders)」や「チャイナ・ドール(China Doll)」で、ここ10年間、中国が米国でスパイを潜入させ情報を獲得する手段を詳しく述べた。例えば、中国人の祖国に文化に対する誇りと愛国心を大義名分に、在米留学生、訪米者、貿易関係者の中から、志願者を募集するなどが挙げられている。
欧州戦略情報安全センター会長のクラウド・モニケト氏は、留学生の身分は諜報員の隠れ蓑しては最適であると分析した。北京から派遣された専業の諜報員、軍人などのほか、一般の学生の場合、中国当局は国内にいる親族や友人にも手を伸ばし、留学生に圧力をかけるという。
アジア太平洋地区の国際平和に貢献するNPO「アジア・アメリカ・イニシアチブ(AAI)」のアル・サントーリ代表は、同団体のニューズレターに寄せた文章で、米国の科学技術を保護するために、大学の研究センターおよび国防関連産業において、外国人雇用に対する厳しい基準を設けるべきだとし、双方の共同認識を培うために、科学技術領域における国際留学生は、人文や芸術、西側民主に関連する授業を受けるべきだと綴り、これにより、留学先の社会的な価値観に対する理解を深めることができると示した。
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