【大紀元日本3月4日】重慶事件があたかも一つのスーパー爆弾のようであり、薄煕来の「唱紅打黒」といういわゆる「重慶方式」を打ち壊したばかりでなく、中共の政界や軍隊の中でも連鎖的な反応を引き起こしている。
両会開会の今、中共指導部は薄煕来にいつものように「無事」を演じさせているが、しかし、大紀元記者の金晴の取材によると、「無事」の背後には波乱万丈が隠されているという。
軍隊内部の高官によると、目下、中共指導部における闘争はすでに決戦前夜に至っており、権力闘争の格闘は軍隊の中でも大々的に展開されている。
中国の軍隊が三つの派閥に分かれている中で、中堅である少壮派とエリート派は、今のような中共内部闘争に巻き込まれ、その犠牲者になりたくないので、なるべくトラブルから逃れようとしている。章沁生副総参謀長がその一人である。
中国人民解放軍総参謀部第一副総参謀長の章沁生(上将)は、軍隊の国家化を主張したことにより、軍事委員会から停職処分を受けたという。これは、谷俊山の失脚後に軍隊における一つの重大事件である。
フランス国際放送(RFI)も1日、複数の情報源に基づいて章氏の停職処分を報道した。
瀋陽軍区の元高官と関係を持つ張氏が、大紀元に次のように情報を吐露した。章沁生副総参謀長が停職処分となった原因は、決して軍内の腐敗などを厳しく批判したため、他人の恨みを買ったものではないという。
江沢民派閥のメディアと見られる海外の「明鏡ニュースネット」も、章沁生副総参謀長の停職処分について、原因は彼が軍隊の国家化を言及したことにあり、軍事委員会主席胡錦濤が停職処分を下したと報じている。
張氏によると、章氏は中国軍隊の中の超エリートで、派閥多き軍隊の中で今の地位に登れたのも彼の優れた才能ゆえであり、したがって江沢民と胡錦濤との決戦前夜に突如軍隊の国家化を言及したのも、熟慮した上での行動にほかならいという。
つまり、章氏や前国防相張愛萍の息子張勝や李先念の娘婿の劉亜州中将ら多くの少壮派とエリート派は、軍隊が外敵を防ぐ使命を有する国家の機器であって、党内闘争の道具ではないと主張する。
張氏の分析によると、良識のある軍人たちにとって、中共内部闘争が白熱している今、どうすればよいかという問題がある。もし胡錦濤を支持すれば、「中共の指揮に従う」ことになるが、一方、軍内の最大派閥である江沢民勢力が今回の闘争中で勝利を収められるとも限らない。より重要なのは、国民の税金で養われている軍隊が個人の権力闘争の犠牲者になってはならない。
もし江沢民の勢力にも頼らず、中共の指揮にも従いたくなければ、唯一の道は軍隊が中立できる国家の軍隊化を実現することにある。
関連の評論によると、中共の統制がかなりの危機に陥っている今、もし国家の軍隊化が実現されれば、あっという間に中共は崩壊してしまう。これについて指導部も認識している。したがって軍隊化を絶対許さないのである。
張氏は、おそらく章氏は乱が起きる前夜に故意にこのような発言をし、権力闘争の中心から逃れ、目の前の安全を守った上で、今後機を見て再起を図るのではないかと分析する。これこそ軍事戦略家に相応しい行動だろう、と張氏はいう。
上記の動向に関連するか否か、両会の開会前から、中国軍内で中共に忠誠心を示す運動が大々的に展開されている。軍事委員会のメンバーから各軍区の司令官、一般の幹部まで、ことごとく中共に忠誠するとの態度を表明している。
2月10日から軍事委員会に所属する各機関がいずれも「政治を重んじ、大局を顧み、紀律を守る」という教育運動を大々的に展開し、「党中央と胡錦濤主席の指揮に従う」とのスローガンを表明している等々も、その象徴的である。
しかしこういった、故意に態度を表明させるという行為自体に疑問が投げかけられる。すなわち中共への忠誠心の欠如が逆に読み取れるのである。
激変の前夜において、今後、軍隊も次第に分裂し、予想外の事件の発生も排除できない。軍隊の動向はまちがいなく、中国の政局に決定的な影響を与えていくものと思われる。
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