政府に指示されたとみられる人物が馮さんの自宅前に売国奴などと書かれた横断幕を掲げる(ネット写真)
【大紀元日本6月27日】一人っ子政策に違反したとして、妊娠7ケ月で強制堕胎された中国陝西省の女性とその家族が海外メディアの取材を受けたことが現地政府の怒りを買い、「売国奴」と家族を罵倒した。この態度について市民から批判が殺到した。米VOAが伝えた。
堕胎術後にぐったりとした様子の馮建梅さんと死亡した胎児が映った写真がネットで公開され、国内外からの注目を受けた馮さん夫婦。その後、ドイツメディアの取材を受けた。社会問題を国外に晒した夫婦に対し地元政府は「売国奴」とののしった。
先日、政府に指示されたとみられる人物が馮さんの自宅前に「売国奴を痛撃し、この地から追い出せ」などと書かれた横断幕を掲げた。この光景はインターネットで公開された。
大手ミニブログ新浪微博での書き込みによると、一家は今、当局の監視下に置かれており、自由に外出できない状態だという。
馮さんの夫、鄭吉元さんは22日、指導部への陳情を試みようと北京に出発したが、途中で現地政府に止められて暴行を受けた上、軟禁されたとの情報もインターネットで出回っている。一方、事件後、中央政府は地元政府のやり方は「規定に違反している」とコメントしていた。
「売国奴」の横断幕に市民が怒りを爆発させた。
「もし、外国メディアの取材を受けるのが売国行為であるならば、われわれ政府関係者が外国メディアの取材を受けるとき、みな嘘を言うしかない。もし本当のことを話したら、国を裏切ることになるのではないか」(騰訊ミニブログ)。
「強制堕胎された女性の家族は、外国メディアの記者に一度会っただけで、売国奴呼ばわりされ、しかも地元から追い出されそうになっている。なるほど、庶民がこのように簡単に国を売ることができるのか。この国の何を売ったのか、面子か? しかし、この国の面子を真に失わせたのは誰なのか。妊娠7カ月の胎児を強制堕胎させたのは誰なのか」(騰訊ミニ・ブログ)。
ウォール・ストリート・ジャーナルの中国語サイトの編集長、同紙アジア版コラム作家・袁莉さんも一人の女性として、怒りの声を発した。
「先日、彼ら(中国当局)は『残忍』という言葉に新たな意味を加えた。 今日、さらに『でたらめ』という用語の意義を再定義した。この暗黒な世はどこまで黒いのか、どれほど先が見えないのか。誰か教えてほしい」(新浪ミニブログ)。
弁護士の張凱さんも 「事件後、私の元には数十通の手紙と電話が届いた。それぞれの遭遇は悲惨そのものだ。9ケ月の胎児を強制堕胎された人もいた。胸が痛い。胎児に対してすら残忍な手段をとる国の道徳状況の改善ができるのか」(新浪ミニブログ)と書き込んだ。
今回の事件は、盲目活動家の陳光誠弁護士を連想させられる。山東省臨沂市在住の陳氏も、現地政府の強引な強制中絶・堕胎に抗議し、当局から投獄・軟禁などの弾圧を受けていた。指導部も当初、現地政府のやり方は「規定を違反した」と認めたが、いかなる対応も取らなかった。今年4月下旬、陳氏はようやく軟禁状態から脱出し、支持者の助けで米国大使館に駆け込んだ。
今回の事件は陳氏の事件と同じように対応されているが、中央政府は国外メディアと国民の批判をいつまで無視するのか、注目されている。
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