【大紀元日本5月3日】無実の罪で投獄された数万人の「良心の囚人」が、残虐にも臓器を奪取され殺害されている。この臓器狩り問題を意欲的に世界に伝えようとする、人権弁護士や元大臣、ジャーナリストからなる専門調査団が、英国議会でのプレゼンテーションのため英国を周遊する。
今回の報告会では、スコットランド議会、オックスフォード、ケンブリッジ、アイルランド、リーズを回る。政治家、医者、学者、人権団体を対象に、これまでの調査結果を報告する。
死刑囚からの臓器摘出との違い
カナダ元国会議員デビッド・キルガー氏は、数万人の法輪功学習者が臓器奪取のために殺害されていると英国議会で発表。 中国政府が認める死刑囚からの臓器摘出と、無実の囚人からの臓器摘出との違いを明確に示した。
「臓器を求めている患者とたまたま適合するという理由から、強制労働所から引きずり出され、手術室に運ばれ、軽い麻酔をかけられたあと、臓器摘出のために殺害される。臓器には5~10万ドルの値がつく」とキルガー氏は述べた
公表された報告書によると、中国での臓器移植件数は、法輪功迫害(1999年)が始まる以前は1万8500件だったが、2000年から2005年の6年間で、6万件に増加している。この時期、明らかになっている限りでは死刑囚は1万8550人。残る4万1450件の臓器は、迫害をやめるよう訴えたために拘束された数万人もの法輪功学習者から強引に摘出された可能性が高いと指摘する。
法輪功学習者であったために2005年、北京の強制労働所に収容されたアニー・ヤング氏は、収容所で受けた肉体的、精神的な迫害を議員の前で語った。ヤング氏は 英国入国後、特例として、英国の居住許可を得た。
存命中の法輪功学習者から臓器を摘出しているというニュースが発表された当時、 ヤング氏は「衝撃的だったが、今ではそうだったのかと思える」と語った。ヤング氏は拘留中、通常では行われない数多くの身体検査を受けた。「血液検査、尿検査、胸部のレントゲン撮影、目の検査、肝臓の超音波検査を定期的に受けた」「犠牲者になる可能性は充分あったと思う」と証言した。
ドイツのヨハネス・グーテンベルグ大学で血管薬理学を専攻するフイグ・リー(Huige Li)教授は、法輪功迫害の後、肝臓と腎臓の移植率が大幅に増加したことを中国の臓器移植協会のシ・ビンイ(Shi Bingyi)副会長が公式に発表していることを指摘し、キルガー氏の見解を裏付けた。
英国の多くの政治家は、中国で行われている臓器狩りという非道な犯罪について、目の前の証拠が出されても信じることが出来ない。デビット・キルガー氏は、多くの政治家が支援に前向きでも、外交官はその限りではないと語る。「事実であるとわかっていても、知らないふりをする外交官もいる。かつてユダヤ人虐殺のホロコーストを否定する者もいた。外交官に一本筋が通っていれば、何人の生命が救われたのか。勇気と信念のある外交官が 優勢になることを願う」と呼びかけた。
動かぬ事実 変わらぬ現状
報告会に参加したベテランのジャーナリスト兼作家イーサン・ガットマン氏は、法輪功学習者6万5000人が2000年から2008年の間に殺害されていると推定。強制労働所に拘留された約120万人から選定されたと見ている。
中国当局による家族への中傷を避けるため、法輪功学習者の多くは抑留されても自分の名を名乗らない。このため人権、人間としての尊厳が皆無に等しい状態だ。ガットマン氏は、法輪功を修めるために国を追われた100人以上にインタビューし、中国全土で拘留中の法輪功学習者に対する血液検査と臓器診断を含む身体検査が定期的に行われていたことを明らかにした。通常、中国では、囚人の健康への配慮はほとんどなく、拷問が行われているため、これらの検査には臓器の適合をチェックするため以外の目的はない、とガットマン氏は語る。
キルガー氏は人権弁護士マタス氏と共に調査に乗り出し、中国語を話す調査員に、臓器を探している患者の親族のふりをして、中国の病院に電話をかけさせた。驚くべきことに多くの場合、医師が法輪功学習者の臓器を利用していることを認めた。健康的な生活を送る学習者を、貴重な臓器提供源とみなしていた。これらの会話は録音テープに収められている。
中国の移植数は米国に次ぐ世界2位だが、2010年までは、死亡と認められた人から臓器提供を行うドナー制度は導入されていなかった。マタス氏は、この制度による臓器提供は、統計的にもごくわずかに過ぎないと指摘。なぜなら、中国文化には臓器を提供することに対する違和感が根付いているからだ。しかし統計上、移植希望者の要求に適合する臓器がわずか1週間か2週間で見つかり、手術が行われている。どこかに巨大な「臓器バンク」が存在しているはずだとマタス氏は主張する。
現在、中国の臓器移植件数は減っていないため、今もなお臓器狩りは行われていると 今回の一団のメンバーは確信している。臓器狩りについて、国連や他機関が再三、中国当局に実態調査の要請をしているにも関わらず、適切な説明はない。国連は独立調査員を派遣し、この受け入れを要請しているが、中国は拒否し続けている。
臓器売買、並びに処刑された囚人を提供源とすることは終結したという中国政権の発表を欧米のメディは一律に報道している。キルガー氏とマタス氏の共著である『血まみれの臓器狩り』では、このような発表は、現状が変化しているという印象を与えるための煙幕に過ぎず、実際の中国では法の制定と施行のギャップは甚だしいことが指摘されている。
英国内メディアも臓器狩りを報道
今回の英国議会でのプレゼンテーションについて、BBCラジオも臓器狩りについて報じた。
4月30日朝、BBCのラジオ番組で、キルガー氏とガットマン氏は、強制的な臓器摘出に反対する活動家として、インタビューに応えている。キルガー氏は、法的な審査もなく法輪功学習者が対象となっていることを指摘し、ガットマン氏は、医師が囚人を臓器の状態を調べるように診断している事実を語った。「囚人のカタログを作っているんですね」というインタビュアーの質問に対して「いや、その場で臓器狩りをしているんですよ」と残虐な現実を示した。無実の囚人の10~20%の臓器が摘出されているという自分の調査に基づく推定値も明示している。
臓器売買の市場がどのように成立しているかなどにも言及している。
同日の昼のBBCワールドのラジオ番組では、オーストラリアのシドニー大学で1987年に資格をとった中国人医師で、中国衛生省の元次官・黄潔夫氏が、臓器狩りの主要人物だと番組は報じている。
BBCは、シドニー大学医学部のマリア・フィアタロン・シンギ教授が、黄博士に与えられたシドニー大学名誉教授の肩書きは剥脱すべきだと運動している話題から報道した。 この問題は4月30日付けのABCニュースでも大きく取り上げられている。キルガー氏によると、シンギ教授もこのたびの報告ツアーに手紙を寄せているという。
同番組では、スコットランド議会で4月26日に発言したウイグル出身の外科医エンヴァー・トーティー(Enver Tohti)氏への録音インタビューについて報じた。トーティー氏は、1995年7月、処刑場に行くよう指示され、銃で右胸撃たれまだ存命中の囚人から肝臓と腎臓2つを摘出するように言われたことを証言。 「何も聞くな、ただやれ」と命じられた。
トーティー氏は後に、一度でも臓器狩り犯罪に関与したことで罪悪感にさいなまれるようになった。
インタビュアーはトーティ氏に「休日に突然、処刑場に呼び出され、移植手術を行うよう命令されてことに対して、疑問を抱かなかったのか」と質問した。「聞くな。言うな。ただ行え」と命じられる、冷暗で抑圧的な中国社会を指摘。また、今でも同様の出来事は行われているだろうと証言し、中国政権下で良心が麻痺してしまうと、その重苦しさを語った。
キルガー氏は、トーティー氏には選択の余地がなかったことを指摘し、トーティー氏が起訴されることはないだろうとインタビューの中でコメントしている。
世界の動き
オーストラリアの保健省は、中国の医師が臓器移植技術で養成を受けるプログラムを廃止すると発表。中国との臓器移植に関する共同研究プログラムも禁止した。
イスラエルでは2008年、臓器の売買を禁止し、イスラエルの国民が中国の臓器移植に関する保険制度を通して融資することも中止した。
英国議会は、2004年人体組織に関する法規、スコットランドは2006年人体組織に関する法規の施行により、臓器提供者の合意なしでの臓器移植を禁じている。合意がない場合は犯罪となる。スコットランド議会で今回発言したマタス氏は、他国での合意のない臓器摘出を防ぐためにも、法的管轄領域の外にも適用されるため、この法規への修正が必要だと主張している。
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