【大紀元日本12月12日】国土の半分がスモッグに覆われるなど中国の大気汚染は深刻化の一途を辿っている。この「灰色の災難」に市民は自力救済しようと躍起になり、奇策を連発させている。
さまざまな健康被害が報告されているタバコは今、スモッグ対策に注目されている。フィルタの巻紙を剥がして鼻に入れれば、PM1.6以上の有害物質をろ過する効果があるという噂が巷に広まった。呼吸の邪魔にならないし、短めに切れば外見にも影響ないと日常生活に支障ない「優れもの」。
河北省石家荘市内の小学校では、スモッグによる被害を防げると銘打った武術が開発された。「天地を切り開く」、「海底から月をすくい取る」、「山を切り分ける」などの23式の動作があり、本物の武術からヒントを得ていると学校側は効果をアピールしている。
中国から飛来したスモッグで被害を受けた韓国でも市民は危機感を抱いている。豚のバラ肉とミネラルウォーターは体内に吸い込まれた汚染物質を排出する働きがあるとされ、バラ肉の消費量が普段の3倍も伸びたという。ほかに豚の血や鴨の血を固めたものを食べれば、効果があるとの「未確認」情報も流されている。
しかし、誰にも敬遠されているスモッグだが、すべて悪いことではないようだ。中国各地で近年、健康保持のために毎日、定年退職した人が公園や団地の広場に集まってダンスをしている。大音量で音楽を流し、ノリノリで踊るお年寄りたちに、周辺の住民から「騒音で休めない」、「子供はうるさくて勉強に集中できない」などの苦情が絶えなかった。「広場を使用する権利がある」と主張し、一向に音量を下げないお年寄りに、住民らは、さまざまな方法で音量を下げるように試みたが、状況は改善されなかった。健康によほどの効果があったのか、武漢市ではスモッグの中でもお年寄りらは踊り続けていたが、数日後にメンバーらが続々と呼吸器の不調を訴え、広場ダンスは休止となった。
スモッグは子供の食べず嫌いにも効き目があるらしい。インターネットで好き嫌いの多い妹に野菜を多く食べてほしいと思い、ある高校生は「青菜がスモッグ被害を防げると書き込んでほしい」と呼びかけた。1万人超の利用者はこの善意の嘘に協力したという。
スモッグのメリットはこれだけではない。「スモッグのおかげで、空気清浄機の販売台数がうなぎ上りだ。GDPの成長にも一役を買っている」、「大気汚染で中国人の平均寿命は短くなり、一人っ子政策も必要がなくなる」など様々な分野で“効果”を期待できそうだ。
「霾(スモッグの中国語)は古代の人が考えた文字で、汚染は古来のもの」などの見苦しい弁明を展開する政府は有効策を打ち出せず、空気の質の改善は風や寒波の到来を待つしかない。中国では青空がいつ戻ってくるかは神のみぞ知ることとなった。
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