中国当局は4日、独自に仮想通貨を発行して資金調達する「新規仮想通貨公開(ICO)」について全面禁止を決めた。この影響で、国内仮想通貨取引市場で、ビットコインなどの主要仮想通貨が急落した。専門家は、中国法体制の不備が金融市場のさまざまな混乱を招いていると指摘した。
中国人民銀行(中央銀行)、工業および信息化部、銀行業監督管理委員会(銀監会)など7つの監督当局は共同声明を発表。ICOによる資金調達は「批准を受けていない不法行為」「(ICOは)金融詐欺、ネズミ講など犯罪の疑いがある」「経済・金融秩序を著しく乱した」と批判した。
ICOはインターネット上で、企業などが新たな仮想通貨を発行することで、投資家から投資を呼び、資金調達できる仕組み。
中国国家ネット金融安全技術専門家委員会が最近、発表した『2017上半期国内ICO発展状況報告』によると、今年に入って中国ではICOが急増し、6月まで約65のICOプロジェクトが実施され、資金調達金額は累計26億1600万元(約428億3680万円)に達した。約11万人が参加し、年齢層は20~49歳で、男性投資家が全体の8割を占める。
過去1年間、国内で多くのICO投資会社が、収益率を「200%」「2000%」と大々的に宣伝し、また国内有名投資家もICO投資で莫大な利益を出したと報道された。そのため、ICO投資は盛んに行われた。
中国メディア「財新網」によると、人民銀行などの金融当局がICOの実態を把握するために調査に乗り出し、「ICOプロジェクトの9割に違法集金、詐欺の疑いがある。資金調達後、実際に投資プロジェクトに投入されたICO事例は全体の1%未満だ」と結論付けた。
中国版LINEの微信アカウント「俠客島」は評論記事で、現在、中国国内ではビットコインを筆頭に700種類以上の仮想通貨がある。今年上半期において、その半分以上の仮想通貨が10倍高騰したという。
ビットコイン取引所大手「火幣網」のデータによると、4日に当局のICO禁止令が発表された後、ビットコイン価格が急落し、当日の終値は前日比約7%安の26348.17元を付けた。5日の取引で一時、前日終値比14%安の22592.31元となった。
また、ライトコイン(Litecoin)、イーサリアム(Ethereum)など主要仮想通貨の価格も4日急落した。
中国の金融シンクタンクの研究員・巩勝利氏は、「法体制の不備」が仮想通貨市場の混乱を招いた原因だと分析している。中国当局は、80年後半から数回憲法を改正して、経済制度に関して、市場原理に基づく私営経済活動をやや認めたが、従来の社会主義公有制をいまだに主体としている。資本主義原理に基づく金融市場については言及していない。
「現在、金融市場での各混乱を処理するのに、憲法を基礎とする法的な根拠がない。同じ問題に対して、市、省、中央レベルがそれぞれ行政命令を出す。だから、中国金融市場も無秩序状態となり、詐欺やネズミ講が横行しているのだ」と巩氏は述べた。
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)
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