中国当局が主導する海外のハイレベル人材をリクルートするプログラム「千人計画」。米中貿易摩擦勃発後、「技術窃盗のためのプログラム」との見かたが強くなった。最近、数人の在米中国人技術者が米連邦捜査局(FBI)に逮捕され、同計画は「入獄計画」と揶揄(やゆ)されている。中国教育部(文部科学省に相当)はこのほど、一部の大学に対して、同計画の情報を削除するよう指示したとの情報がある。
「千人計画」の対象は、海外の企業と大学に勤務する研究者、技術者、知的財産と技術保護担当の幹部。中国人専門家向けと外国人専門家向けのプログラムがある。2008年12月の実施開始から現在まで、すでに8千人の専門家を募った。
今年6月21日、米国防省は米下院軍事委員会の公聴会で、同プログラムの目的は米国の知的財産を獲得することにあると警告した。
米テキサス州ヒューストン主要日刊紙ヒューストン・クロニクルの8月の報道によると、FBIは同月、テキサス大学やヒューストン大学など20の大学の関係者が集まった会議で、外国勢力による技術情報窃盗、特に「内部関係者」による情報漏えいに警戒し対策を講じるよう求めた。
FBIは近年、「千人計画」に選ばれた研究者に注意を払っている。昨年9月、バージニア工科大学の張以恆教授は不正詐取を企てたとして逮捕された。また、今年8月、ゼネラル・エレクトリック社の鄭小清チーフエンジニアが重要技術情報を盗み、中国企業に渡したとして同氏を逮捕した。両氏ともに「千人計画」にリクルートされていた。
サウスカロライナ大学の謝田教授は3つの情報源から得た話として、「ヒューストンの研究機関にFBIが訪れた。その直後、複数の中国人研究者が解雇された」と大紀元に伝えた。在米学者の間では「FBIは千人計画のリストに基づいて違反者を摘発している」との話が広がっている。
テキサステック大学は「千人計画に参加するアメリカ人教員を処罰する」との声明を発表し、同大で客員教授に就任予定の中国人教授の招へいをキャンセルした。
そんな中、ネット上の複数の投稿によると、中国教育部は各大学に対して「千人計画」が含まれた情報をウェブサイトから削除するよう通達したという。「友人が通う大学では、千人計画にリクルートされたある教授に関する情報が全て削除された」「国内では、(当局が)大規模に『千人計画』の4文字が含まれた投稿やリストに入っている研究者の情報を削除している。なぜだろう」
SNS微信(ウィーチャット)の投稿によると、教育部はその後、各大学のウェブサイトを点検したという徹底ぶりだった。
10月4日、「千人計画青年計画評審工作小組」の名前で作成された文書がネットに流出した。海外人材のリクルートは「今後、郵便による配送を避け、電話、ファックスなどの方法を使ってください」との指示があった。
現在、北京大学や天津大学のウェブサイトから関連情報は消えている。
ブルームバーグは9月下旬、中国当局は「千人計画」の報道を控えるようメディアに求めていた、と報じた。
謝田教授は以前、「リクルートされた研究者は海外で勤務しながら、年に数回中国に帰国し、業務を行なっている。これは当局の要求だ」と「千人計画」に不可解な点があると指摘した。
(翻訳編集・張哲)
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