「新疆ウイグル人の拘束停止を」国連で日本など22カ国共同声明 中国に異例の要求

2019/07/11 更新: 2024/04/22

スイスのジュネーブで開かれた国連人権理事会で、日本を含む22カ国は、新疆ウイグル自治区でウイグル族や宗教信仰者に対する大量の恣意的な拘禁および広範囲の監視、抑制を解除するよう中国政府に要請した。

声明には、「私たちは中国に自国の国内法と国際的義務を守り、人権と信仰の自由を含む基本的自由を尊重することを、新疆および中国全土で遵守するよう求める」と記された。

22カ国は声明の中で、中国に対して、人権調査のために国連高等弁務官および他の国連専門家が新疆ウイグル自治区への「意義ある立ち入り」を許可するよう要求した。

中国共産党政権は2017年4月以来、新疆ウイグル自治区とその近隣地域において、ウイグル族や他のイスラム少数派を150万人規模で拘束している。その理由は「過激な宗教思想」と「政治的に正しくない考え」を抱いているとして、拘禁を正当化している。

ドイツに本拠地を置く世界ウイグル会議ドルクン・エイサ代表は、今週の声明について「正しい方向への前向きな一歩」「中国は国際社会を欺くことに失敗した」とコメントを出した。

エイサ代表は、声明は「ウイグル族の境遇改善に対して大きな意味を持つ」と22カ国に感謝を表明した。いっぽう、多くのムスリムを抱える国が、今回の声明に同意しなかったことについて、「残念だ」と付け加えた。

米ニューヨーク拠点の人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、声明を歓迎した。ジュネーブ担当ジョン・フィッシャー氏は「新疆の人々だけでなく、国連を頼りにしている大勢の人々にとっても重要だ」と呼びかけた。

22カ国はオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、英国。国連で中国人権問題に言及し共同声明を主導したのは米国だが、2018年に人権理事会を離脱している。

7月初旬、米下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党)は、2020年度情報認可法のなかに、新疆ウイグル自治区における状況対処が盛り込まれた法案を議会に提出した。

同法では、情報委員会が国家情報長官(DNI)に対して、中国当局による少数民族とイスラム教徒への抑圧を報告するよう求めることができる。

中国現地調査が期待される国家情報局は、収容所の収容人数、収容所内の状況、拷問、信仰放棄の強要、「再教育」方法、強制労働、その他の虐待について評価を情報委員会に報告しなければならない。

5月、米国上院外交委員会はウイグル人権政策法を可決した。これは国務省で新疆特別担当官を任命し、同地域について定期報告を要求している。上院議員が全会一致し、下院も承認した。

7月5日、ウイグル人権政策法を共同執筆した米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)ジム・マガバーン委員長(下院議員・民主党)とマルコ・ルビオ上院議員(共和党)共同委員長は、新疆ウイグル自治区は「世界で最も最悪の人権状況の地域」と表現し、米国がより多くの対応を取るよう求める声明を出した。声明は、中国軍が新疆ウルムチで、ウイグル族を武力弾圧した事件の10周年の日に合わせて発表された。

(編集・佐渡道世)