中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会の馬駿委員は19日、地方政府が資金調達のために設立した投資会社(LGFV)の債務不履行(デフォルト)が国内市場に「連鎖反応」をもたらす恐れがあると警告した。12月6日、内モンゴル自治区フフホト市政府の投資会社が発行した都市建設債(城投債)がデフォルトとなった。
馬委員は、中国紙・証券日報のインタビューを受けた際、「中国各地にある1万社以上のLGFVのうち、数社がデフォルトを公表するだけで、『連鎖反応』が起きるかもしれない。地方政府に関する不履行は、中国の債券市場の信頼感を損ねる恐れがある」と述べた。
また同氏は、一部の学者の研究や推計では、中国地方政府の隠れ債務は明かになった債務の規模より数倍も多いことが分かったと述べた。「一部の地方政府のLGFVは長年、古い債務を返済するために新たな債務を発行するという方法をとってきた。一部のLGFVは銀行に対して、返済時期の先延ばしを要求した」と言う。
同氏は、景気低迷と不動産市場価格が下落している中、「債務返済の重要な資金源として、過剰に土地譲渡収入に依存するLGFVには、デフォルトのリスクがさらに大きくなるだろう」との見解を示した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は19日の報道で、馬駿氏の発言は、LGFVの深刻な債務急増に対する中国最高指導部の危惧を反映していると指摘した。
いっぽう、中国では昨年8月からすでに3社のLGFVが不履行となった。直近では、内モンゴル自治区フフホト市政府のLGFV、フフホト経済技術開発区の投資会社が私募方法で発行した10億元(約156億円)規模の債券は12月6日、デフォルトに陥った。
中国メディアの報道によると、同社を所有するフフホト市政府が12月8日、6億元相当の債券を先に返済すると決めた。残りは今後3カ月内に支払うという。
国内では昨年8月、新疆ウイグル自治区政府の「新疆生産建設兵団第六師国有資産経営公司」が、国内で発行した約5億2178万元(約81億3600万円)の債券について、期限内の利払いと元本返済ができなくなったと発表した。国内で初めてデフォルトに陥ったLGFVとなった。
また、青海省国有資産監督管理委員会が所管する青海省投資集団有限公司は、今年5月、投資会社である中泰信託有限責任公司を通して発行した4億8040万元(約75億円)の債券の支払いができなくなったと公表。
国内の報道によると、同債券に投資した112人の投資家は12月23日、上海で記者会見を行う予定。投資家らの話によると、デフォルトに陥ってから7カ月経った今も、青海省はまだ返済を行っていない。
今年に入ってから12月11日までに、中国では1202の発行体が、3592の銘柄の城投債を発行したと報じられた。金額規模は、昨年の2兆3000億元(約36兆円)を上回る3兆元(約47兆円)超である。また、現在の城投債の債務残高は8兆元(約125兆円)に達した。
2054の発行体が発行した9205の銘柄の城投債は今後返済をしなければならないという。
(翻訳編集・張哲)
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