4日午後、日本人の有志が『無印良品』を展開する良品計画の本社前(東京・池袋)で抗議活動を行い、同社が製品に「新疆綿」を使用するのを停止するよう求めた。新疆ウイグル自治区で生産される新疆綿は、生産プロセスに強制労働の疑いがあるとして、欧米の大手企業は相次ぎ使用をやめている。
「無印良品は新疆綿製品の使用をやめよ」「チャイナマネーよりも人権を優先せよ」。参加者の訴えが良品計画本社前に響き渡った。
米トランプ政権は中国共産党政権によるウイグル人の迫害をジェノサイド(大量虐殺)と認定した。米国はマグニツキー法に基づき、迫害に加担したとされる複数人の中国共産党官僚に対し制裁措置を発動した。カナダやイギリスの議会もジェノサイド認定に向けた動きがある。
世界三大綿花の一つとされる新疆綿にも、中国共産党政権による組織的な強制労働が行われ、少なくとも57万人が動員されている。米シンクタンク「センター・フォー・グローバル・ポリシー(Center for Global Policy)」が2020年12月の報告で明らかにした。強制労働の疑惑を受けて、新疆綿を使用するアパレルやスポーツ製品を取り扱う企業などは声明を発表し、この原料の使用停止を表明した。中国で生産される綿花のうち8割以上が新彊綿とされる。
大手ブランドが次々と新疆綿の使用停止を宣言するなか、中国全土に展開している『無印良品』の中国部門が中国共産党の機関紙「環球時報」の取材に対し「新疆綿をボイコットせず使用し続けると明言した」と回答した。
大紀元は良品計画に取材を試みたが、記事発表までに回答を得られなかった。
アジア自由民主連帯協議会の古川郁絵常務理事は大紀元の取材に対し、日本企業が中国の強制労働問題にかかわっているのはショックなことだと答えた。そして、グローバル企業になるのであれば、人権や自由といった普遍的な価値観を擁護しなければならないと述べた。
2019年から香港の抗議活動を支持してきた和服モデルの平野雨龍さんは取材に対し、「ナイキやH&M、ユニクロなど、新疆綿の使用停止を発表するなか、無印は悪目立ちしている」と述べた。また、人権侵害の加担が疑われる企業は国際的にもリストアップされているとし、同社に早急な対応を求める、と答えた。
在日香港人の陳さんは取材に応じ、日本人はチャイナリスクを認識すべきだと述べた。「今は各国が中国に経済的に依存しすぎており、何かあっても反抗できない状態だ。まずはチャイナリスクを世間に知らしめる必要がある」と陳さんは語る。
「今は良い方向になっていると思う。日本のみならず、海外の大企業も人権や中国の問題を認識し、対抗している。各国政府も中国政府と交渉するときも人権を持ち出せる。このチャンスをつかみ、日本企業は中国経済に対する依存を減らすべきだ。そうすれば制裁等の政策を出しやすくなる」。
そして香港の現状を引き合いに出し、日本人に警戒を呼び掛けた。「国家安全法の実施前には言論の自由があり、政府批判もデモもできていたが、今は国家安全法が実施され、SNSで政府批判しただけで逮捕される恐れがある。みんな国家安全法の基準が分からず、政府の勝手な解釈で逮捕・拘禁が行われている。いま、政府は選挙制度を改変しようとしているが、香港人はなにもできない」。
陳さんは、超党派の国会議員が中国の人権問題を非難する国会決議をまとめようとしていることに支持を示した。また、自由意志に基づく選挙制度がある日本に向けて「国益にならない親中派の議員は追い出してほしい」と呼びかけた。
(王文亮)
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