複数の世論調査では、スポーツ競技でのトランスジェンダー選手の出場について、特に女性選手にとって「公平ではない」とみる人が過半数を占めることがわかった。
6月25日に発表された米世論調査大手「ラスムセン・レポート(Rasmussen Reports)」によれば、女性がスポーツ競技で生物学的な男性と競争しなければならないことについて、米国人の過半数以上が反対を表明した。
ラスムセンは6月22日から23日にかけて、米国の成人1000人を対象に、電話もしくはオンライン調査で「女性がトランスジェンダーの選手と競争することは公平だと思うか」と質問した。その結果、56%が「公平ではない」と答え、約25%が「公平である」と答えた。19%は「わからない」とした。
支持政党別から見れば、共和党員の74%、無党派層の59%、民主党員の40%が「公平ではない」と回答した。いっぽう、民主党員の35%、共和党員の18%、無党派層の21%が「公平だ」と答えた。
さらに、「公平ではない」と考える人は、男女ともにそれぞれ59%、54%と過半数を占めた。また、回答者の55%は、今後開催される五輪に出場するトランスジェンダー選手に関する最新の報道に、関心があると回答した。
「スポーツは誰でも参加できる」が、出場枠に意見まばら
6月中旬に発表された、アリゾナ州立大学傘下組織の国際スポーツ組織(Global Sport Institute)と民間会社調査OH Predictive Insightsによる世論調査では、トランスジェンダーの選手が生物学的な女性と競うことに反対すると回答した人は53%と過半数を占めた。
また、同調査は、性自認により引き起こされる環境的な混乱についても指摘した。「トランスジェンダーの選手が(生物学的な性別と異なる)ロッカールームにいることを懸念する」と45%が答えた。
多くの人々は、トランスジェンダーの選手はスポーツ大会での出場が認めるべきだという考えで一致しているが、どの枠で出場するかは意見が分かれた。32%は「出生時の性別」、30%は「自分の性自認」、28%は「トランスジェンダー選手の枠の新設」を支持するとそれぞれ回答した。
7月に開幕する東京五輪では、トランスジェンダーの選手が出場する。ニュージーランド代表に選ばれた重量挙げ選手のローレル・ハバード氏(43)は男性として生を受けたが、30代で女性として生活していることを公表した。東京大会では女性選手の枠で出場する。今後のスポーツ大会においても、こうした性自認と競技枠について議論が高まるとみられる。
国際オリンピック委員会のガイドラインでは、出生時に男性だが、女性として五輪に出場するトランスジェンダーの選手について、男性ホルモンのテストステロンを大会の1年以上前から規定の水準まで抑制しなくてはならないと定めている。ハバード選手はこの条件を通過した。
英BBCの報道によると、一部の女性選手は、ホルモンを抑制しても男性の身体能力が維持されるとして、トランスジェンダー選手の出場枠基準の見直しを求めている。同委員会は、医学、人権、法律専門家との協議のなかで定期的に基準を更新していると回答している。
(翻訳編集・佐渡道世)
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